『厄瓜多』は、ある国名の漢字表記ですが、読み方を知らない人も多いでしょう。厄瓜多の正しい読み方や、国名の由来を解説します。また厄瓜多がどのような国なのか、地理・歴史・観光名所・主な産業といった特徴も見ていきます。
厄瓜多の読み方
『やくかた』と読み間違えやすい『厄瓜多』ですが、正しくは何と読むのでしょうか?厄瓜多と同じように、読みにくい漢字表記名を持つ国も紹介します。
厄瓜多は「エクアドル」の当て字
厄瓜多の正しい読み方は、『エクアドル』です。漢字の音読みの音を当てはめた当て字で、漢字そのものに特に意味はありません。厄瓜多以外にも、当て字の国名として亜米利加(アメリカ)・英吉利(イギリス)・仏蘭西(フランス)・伊太利(イタリア)は、目にした人も多いでしょう。
希臘(ギリシャ)や伯剌西爾(ブラジル)など、見慣れない漢字が使われていることから、読み方が難しく感じる人もいるでしょう。国名は一般的にカタカナで表記されますが一般的ですが、厄瓜多のように、当て字の漢字表記名もあるのです。
厄瓜多の国名はスペイン語の「赤道」に由来する
国名の由来は、『赤道』という意味のスペイン語です。なぜスペイン語由来なのかは、歴史的背景と関係しています。由来について詳しく見ていきましょう。
赤道直下に位置する「エクアドル」
赤道直下に位置する『エクアドル』の名前は南アメリカの赤道直下に位置する地理的特性から、『赤道』という意味のスペイン語『ecuador』が由来です。
首都キトにある『赤道記念碑公園ミッター・デル・ムンド』は象徴的な存在で、観光客はここが真の赤道直下であるという実感と、地球の一部としてのつながりを体感することができます。
公園内には巨大な地球儀のモニュメントがあり、その上で記念写真を撮ることができます。さらに、公園内には博物館も設けられており、地球の自転や赤道に関する科学的な事実を学ぶこともできます。
エクアドルはまた生物多様性でも知られています。国土の一部はアマゾンの熱帯雨林に含まれ、多くの希少種が生息しています。さらに、ガラパゴス諸島は『進化の実験室』とも言われ、多くの研究者や観光客が訪れます。赤道直下のエクアドルは、科学的な興味から観光的な楽しみまで、幅広い魅力を持つ国です。
スペインに征服された歴史
国名がスペイン語由来なのは、エクアドルがスペインの植民地だった時代があるためです。
15世紀前半にエクアドル地域では複数に分立していた国家が統一されました。15世紀後半にはインカ帝国の一部でしたが、16世紀前半にインカ帝国がスペインに征服され、エクアドルもスペインの植民地になりました。1822年にスペインから独立しましたが、現在でもスペイン語が公用語で、国民のほとんどがカトリック教徒です。
欧州系と先住民の混血が72%を占めるのも影響の一つといえるでしょう(2010年 国勢調査)。エクアドルは先住民であるインディオの文化をベースに、今もスペインの影響が色濃く残った国です。
厄瓜多の意味
エクアドルと聞いても、どのような国なのかあまり知らない人に向けて、地理や主な見どころ、産業などを紹介します。世界的に有名な『ガラパゴス諸島』についても触れています。
厄瓜多はどのような国か
エクアドルは南アメリカ大陸の北西部に位置し、北にコロンビア、南にペルーと国境を接しています。正式な国名は『エクアドル共和国』で、国土の面積は約25万平方kmと日本の本州と九州を合わせた程度の広さがあり、約1,770万人が暮らしています。
エクアドルは地域ごとに気候や特徴が大きく異なるのが特徴です。赤道直下にありながら寒流の影響で気候の穏やかな西の『海岸地帯(コスタ)』、国の中央部を南北に走るアンデス山脈内にあり、標高が高いため年間を通して快適に過ごせる『山岳地帯(シエラ)』、高温多湿な東の『熱帯雨林地帯(オリエンテ)』、火山の多い『ガラパゴス諸島』の4地域に分かれています。
厄瓜多の首都は歴史遺産の宝庫
標高2,850mを超える高地に位置する首都のキトには、スペイン植民地時代の建物が数多く残っています。中でも有名なのが、『サンフランシスコ教会・修道院』です。南米最古の修道院で、完成までに70年以上を要したといわれています。
160年以上の歳月をかけて完成した『ラ・コンパニーア聖堂』も見どころの一つです。7トンもの金を使った主祭壇があり『黄金の聖堂』と呼ばれています。
キトのシンボル的存在である『バシリカ・デル・ボト・ナシオナル』も歴史遺産です。数あるバシリカ教会の中でも南北アメリカ最古といわれる教会では、美しいステンドグラスが見られます。16世紀の街並みをほうふつさせる旧市街は、全体が世界遺産に登録されています。
厄瓜多の主な産業
エクアドルの主要な産業の一つが石油の輸出です。1971年以降に開発が進み、国内の輸出額も高くなっています。
輸出用農産物の栽培も盛んです。バナナに関しては世界有数の輸出国で、日本にも輸出しています。コーヒーやカカオの産地としても知られており、品質が高く香りも豊かなカカオは、さまざまな国で高級チョコレートに使われています。
また生花も主な輸出品で、気候や日照環境が適したバラの栽培が有名で、世界でも有数のバラの輸出国です。エクアドルは輸出用の石油や農産物が主な産業といえます。
進化論で有名なガラパゴス諸島
ガラパゴス諸島は、イギリスの自然科学者のチャールズ・ダーウィンが『進化論』にたどり着くきっかけとなった場所です。ガラパゴス諸島は本土から西へ約1,000km離れており、隔離された過酷な自然環境であるため、独自の進化を遂げた多数の動植物が生息しています。
島によって異なる形の甲羅を持つゾウガメや、赤道直下に生息するガラパゴスペンギン・青い足を持つアオアシカツオドリ・泳げるウミイグアナが独自の種として有名です。1978年に世界自然遺産の第1号として登録された場所の一つでもあります。
構成/編集部