ドン・キホーテのヒットをきっかけに、ネット動画専用の「チューナーレステレビ」が目下急増中。画質、音質、使いやすさなどをポイントに、新作&売れ筋モデルの性能と機能をチェックした。
チューナーレステレビ
CHECK POINT
【1】映像
映像の色合いや明暗差など画面の見やすさを目視。
【2】接続の速さ
リモコンを使ったVODの起動時間を測定。
【3】音響
画面の下のスピーカーで再生される音質を評価。
【4】端子
HDMIやUSBなど接続端子の種類や数をチェック。
家電ジャーナリスト
安蔵靖志さん
幅広い家電製品のスペシャリスト、ジャーナリストとして、様々なメディアで活躍。
編集・タジリ
編集部屈指の映画通。画質・音質を見抜く眼力でチューナーレステレビをチェック。
タジリ 昨年の本誌「トレンド大賞」にも選ばれた「チューナーレステレビ」は、ここ数か月で一気に機種が増えましたね。
安蔵 すべてのモデルが、Android TV 機能を搭載しているので、できることは基本的に同じです。NetflixやPrime Videoといった動画配信サービスやYouTube、Androidアプリを楽しめます。
タジリ 各モデル共通で、リモコンに「Netflix」や「Prime Video」「YouTube」などのダイレクトボタンがありますね。押すだけでホーム画面が起動するのでスマートに使えます。
安蔵 そのほか、スマホ画面をテレビ画面に表示ができるChromecast機能や、ノートPC、ゲーム機をテレビと接続できるHDMI端子などもすべてのモデル共通で標準搭載されています。
タジリ となると、どこをポイントに選べばいいのですか?
安蔵 ひとつは解像度です。現状では4K、フルHD、ハイビジョンから選ぶことができます。
タジリ 価格差もないですね。最安値の32型フルHDと43型4Kを比べても約4000円です。
安蔵 そうなんです。設置場所があれば4K43型がおすすめです。
タジリ ひと通り視聴しましたが画質差や音質差はありますね。
安蔵 画質面ではHDR対応が圧倒的に美しい。サウンドではDolby Audio搭載のモデルが非搭載モデルに比べて明らかに高音質でした。先ほど話しに出たリモコンのダイレクトボタンのレスポンスでも差が出ましたね。
タジリ 一番のおすすめは?
安蔵 ASTEXの『AX-MSK43』はバランスがいいですね。画質がよく音もとても聞きやすかった。
タジリ 今後よりポピュラーになる可能性はありますか。
安蔵 TVerを利用すればテレビ番組も見られますし、チューナーをつなげば普通のテレビとしても使えるので、勢いは続きそうです。
タジリ 安いので個室に置くサブテレビとしても便利ですね。
安蔵 向かないと思ったらゲームやノートPCのモニターに使えるので、無駄にはなりません。
4Kモデル
黒が引き締まり画質評価はNo.1
ASTEX『4K HDR対応 チューナーレス スマートテレビAX-MSK43』2万9800円
4Kの43V型IPSパネルの「ゲオ」限定モデル。明暗差を1024段階表示できるHDR10に対応し、3辺に使う薄いベゼルレスフレームで没入感も高めた。壁掛けが可能。
サイズ:W95.7×H60.63×D20.6cm
【CHECK 1】上から見ても鮮やか!
視野角が上下左右178度。「斜め上からも映像がきれい」(安蔵さん)。
【CHECK 2】VODの起動もストレスはなし
リモコン操作のレスポンスはいずれも良好。イライラしながら待つことはない。
【CHECK 3】クセがなく各音域も耳になじむ
スピーカーは10W×2。「特筆はないがバランスがとれ聞きやすい」(安蔵さん)
【CHECK 4】Wi-Fiは2.4Gのみに対応
接続端子はHDMI 2.0×3、USB 2.0×2、光デジタル音声出力などひと通り揃う。
〈ANZO’S EYE〉色の明暗差を映し出すHDRに対応し、黒の締まりがよく全体的に自然で見やすい。テスト機で最も画質がよかったですね。
ブームの仕掛け役ドンキの4K版
ありえ値!情熱価格『Android™TV機能搭載チューナーレス スマートTV』3万2780円(43V型)
43V型VAパネルを用いたドン・キホーテの4Kモデル。HDMI入力×3を備えゲーム機やノートPCなどと接続できる。Wi-Fiは2.4/5GHzの無線LANと有線LANを搭載。
サイズ:W96.8×H60.6×D19.734cm
【CHECK 1】白が飛び、色は薄め
視野角は上下左右178度。「明るすぎて白が浮き気味」(安蔵さん)。
【CHECK 2】起動まではほぼ待たせない
リモコンの専用ボタンを押してからVODホーム起動まで時間は一番速かった。
【CHECK 3】サウンドバーの追加をおすすめ
スピーカーはモニター下に配置。「音はこもりがち。低音は弱いかな」(安蔵さん)
【CHECK 4】外部機器を接続しやすい端子配置
HDMI3端子は、音声が出力できるARCや、接続機器とリンク可能なCECに対応。
〈ANZO’S EYE〉リモコンのレスポンスの速さが印象的。色は薄めだが正面からの画質は悪くなかった。音質だけは残念でした。
スピーカーはDolby Audio対応
ニトリ『43V型 4KチューナーレススマートTV(MST-43-4K)』3万7400円
正面からの視聴に強い高コントラストなVAパネルを搭載。HDMI端子は3基ありHDMI3はARC&CECに対応する。
サイズ:W95.8×H55.8×D7.2cm
〈ANZO’S EYE〉HDR10を採用。スピーカー出力は8W×2。Dolby Audioに対応しているのが◎です。
TikTok TVアプリも搭載済み
FASTLIFE『43V型 4Kチューナーレススマートテレビ(SMT-43-4K)』4万9500円
4K HDRとDolby Audio、多彩な接続端子を搭載したVAパネル43V型の4Kモデル。TikTok TVアプリにも対応する。
サイズ:W95.8×H55.8×D7.2cm
〈ANZO’S EYE〉ほかの4K・43V型より高額ですが高画質+高音質機能で差を付けています。ベゼルレスデザインも◎。
フルHDモデル
解像感に満ちた音質で群を抜く
ORION『AndroidTV™搭載 チューナーレス スマートテレビ 40v型 SAFH401』4万800円
40型VAパネル採用のフルHDモデル。遮光性が高く、高コントラストで締まった黒を再現するHDRを搭載する。Dolby Audioに対応。8Wスピーカーを2基搭載する。
サイズ:W90×H56.9×D17.9cm
【CHECK 1】薄い発色はビミョウ
赤やグリーンの発色がやや弱く、「全体的に画面が白っぽい」(安蔵さん)。
【CHECK 2】レスポンスはまったり系
リモコンボタンを押してからVODホームが起動するまでの時間がやや長い。
【CHECK 3】Dolby Audioでサウンドは秀逸
8W×2のスピーカーを搭載。「Dolby Audioサウンドで音は断トツ」(安蔵さん)。
【CHECK 4】拡張性抜群の接続端子を採用
HDMIのARC機能によってサウンドバーやスピーカーシステムに接続が可能。
〈ANZO’S EYE〉4Kに比べ画質は見劣りするが、Dolby Audio対応の音質のよさは突出。低音がよく響き、高音もクリアで解像感がある。
ハイコスパなエントリーモデル
ダイアモンドヘッド『HTW-32M SHION 32V型 android搭載モデル チューナーレス スマートテレビ』
2万5313円
ワンルームや個室に最適な32型1366×768のハイビジョンタイプ。コスパがよく、ARC対応のHDMIやUSB×2も揃う。パネルはVA型。
サイズ:W72.8×H47.5×D16.7cm
〈ANZO’S EYE〉基本性能が整うチューナーレステレビの入門機。リモコンのダイレクトボタンも使いやすい。
HDRによって見やすさをアップ
ASTEX『チューナーレススマートテレビ 32V型Ai-S32』2万6800円
映像の明暗や輝度差、色合いの表現力が豊かなHDR対応の32型ハイビジョンモデル。端子が豊富で様々な機器とつなぐことができる。
サイズ:W73.2×H48.1×D19.1cm
〈ANZO’S EYE〉この低価格で画質を向上させるHDRを備えているのは強み。壁掛け設置できるので便利です。
過不足なしのスタンダード機
ありえ値!情熱価格『32型フルHDチューナーレススマートTV TSM-3201F2K』2万7280円
ブームの火付け役ドン・キホーテの32型フルHDモデル。3基のHDMIが搭載されHDMI 1はARC&CEC、HDMI 2/3はCECに対応する。
サイズ:W73.04×H47.7×D17.05cm
〈ANZO’S EYE〉ベーシックな機能でまとめたスタンダード的存在。拡張性を重視した接続端子に注目です。
42型サイズで壁掛けもできる
ティーズネットワーク『TSM-4202F2K』3万9000円
フルHD画質の42型。チューナーレステレビのベーシックな機能を詰め込み壁掛けでも使用ができる。HDMI×3でHDMI1はARC&CECに対応。
サイズ:W95.2×H58.8×D19.7cm
〈ANZO’S EYE〉32型では小さいというユーザー向け。価格が43型の4Kモデルを上回るのは悩ましいところ。
取材・文/安藤政弘
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年3月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。