イノベーションの恩恵を受けるのは世界中のすべての人々
埋め込み型人工腎臓について、ウィーリング氏は、「大量の水やプラスチック削減につながります。現在、一年間で12人分の血液透析に使われる水の量はオリンピックプール1つ分にも相当します。
また、透析のために一年間で使い捨てされるプラスチックチューブの長さは300万キロメートルで、これは地球と月の間を4往復するのに匹敵する長さです。このイノベーションの恩恵を受けるのは単に透析患者だけではなく、全世界の人々なのです」と語り、現在、更なる投資を募っている。
「埋め込み型人工腎臓実現のための投資は約700~2800億円で、これは多くの国で(地形にもよりますが)50~200キロメートルの高速道路を造るのと同等の投資額です。
資金が集まり、世界中の優秀な研究グループが集まって努力すれば埋め込み型人工腎臓は実現できるでしょう。これは1961年当時、人類の月面着陸を目標に据えた『ケネディ声明』のように聞こえるかもしれませんが、ゴーサインが出れば、それは月面着陸と同様に実現可能であり、日本人工臓器学会(JSAO)へも参画できます」と述べている。
これら2つの画期的な開発は、透析患者にとって朗報であるだけでなく、環境保護の観点から世界中の人々にとって役に立つものとなっている。いち早い実用化のためにも、注目していきたい。
出典:
オランダ・ブラバント州主催「ブラバント・イノベーション・デイ
れた、同州内の企業、研究機関による最新イノベーション事例を参
取材・文/柿川鮎子