日本糖尿病協会は「糖尿病」という名称を変更し、新たな病名を提案する方針を打ち出した。日本糖尿病学会とも連携し、具体的にどのような名称とするかなど、現在、検討を進めている。
患者の尿に糖が出るという意味で付けられた糖尿病だが、患者に共通する症状は「高血糖」であり、尿に糖が出ない患者も多い。病名として正しくない点に加えて、「尿」がついているため、イメージも良くない。医師や看護師だけでなく、患者やその家族などからも、積極的に名称変更を求める声が大きくなっている。
そんな中、チップ技術の進歩が、透析のソリューション進化と糖尿病患者のQOLを高める道を開こうとしている。オランダの国際研究機関Holst Centre(ホルストセンター)にあるImec(アイメック)の主任科学者Fokko Wieringa(フォッコ・ウィーリング)氏が、持ち運び可能なポータブル透析装置の開発協力を進めている。
実は透析大国だった日本
慢性腎不全の治療には大きく分けると透析と腎移植があり、透析にも血液透析と腹膜透析の2つがある。腹膜透析を行っている医療機関は血液透析に比べると少なく、糖尿病性腎臓病にあまり適さないなどの特徴があり、日本の腹膜透析は全体の約3%と少ない。日本で透析といえば、血液透析が圧倒的に多い。
日本の慢性透析患者数は2020年の統計で約34万8000人、人口100万人当たりの透析患者数は実に2750人と、台湾に次いで世界二位。およそ386人に1人の割合で人工透析を受けており、患者の約44%は糖尿病性腎臓病である。
厚生労働省によると、透析治療の医療費は月平均一人当たり約40万円、国全体では1.6兆円で、医療費全体の約4%を占めている。日本は透析大国だった。
症状によっても異なるが、一般的に血液透析は週に3回、1回約4時間程度と長時間拘束されてしまう。自宅にいながら、さらには旅行先に滞在しながら医療機関と同じレベルの透析治療ができる日を、患者は長い間、待ち望んできたのではないだろうか。