人事評価報酬制度は優秀な部下の退職リスク回避に有効
目標達成クラウド「ジョブオペ」を展開する給与アップ研究所は、直近10年以内に給与を不満理由として転職を行った管理職(役員相当・部長相当・課長相当)102名を対象に、管理職の賃上げに関する実態調査を実施。回答結果をグラフにまとめて発表した。本稿ではその概要を紹介していく。
昨年度と本年度を比較して給与が上昇したと答えた管理職は65.7%
「Q1.昨年度と本年度を比較し、あなたの給与(月額のベース賃金)は上昇しましたか」(n=102)と質問したところ、「大幅に上昇した」が18.6%、「上昇した」が47.1%という回答結果が得られた。
会社全体の上昇率と自身の上昇率、76.1%が「自身の給与上昇率が上回っている」
Q1で「大幅に上昇した」「上昇した」と回答した人に、「Q2.会社全体の上昇率と自身の上昇率を比較した場合、ご自身の給与の上昇率が上回っていますか」(n=67)と質問したところ、「大幅に上回っている」が23.9%、「上回っている」が52.2%となった。
賃上げされない理由、「賃上げのための原資がないから」が最多
Q1で「変わらない・減少した・大幅に減少した」と回答した人に、「Q3.自身の給与が上がらない(賃上げされない)理由として考えられるものを教えてください(複数回答)」(n=35)と質問したところ、「そもそも会社の利益が出ておらず、賃上げのための原資がないから」が51.4%、「経営者に賃上げする意思がないから」が48.6%、「賃上げを行うべき社員とそうでない社員を区別する仕組み(人事評価報酬制度)がないから」が20.0%という回答となった。
人事評価報酬制度に反対する人はわずか7.8%
「Q5.成果があげられなければ給与が下がるリスクはあるが、成果が上がれば従来より大幅に給与が上がる可能性がある人事評価報酬制度について、賛成・反対どちらの立場ですか」(n=102)と質問したところ、「非常に賛成」が22.5%、「賛成」が45.1%となり、反対する人はわずか7.8%だった。
賛成派が考える給与が下がるリスクに、半数以上が「大幅に給与が上がる可能性が上がるならウェルカム」
Q5で「非常に賛成」「賛成」と回答した人に、「Q6.Q5の制度の場合、給与が下がるリスクについてはどの程度許容・受け入れしていますか。最も近い考えをお選びください」(n=69)と質問したところ、「大幅に給与が上がる可能性があるなら全く問題なく、ウェルカム」が53.6%、「大幅に上がる可能性があるとしたら、下がるリスクがあるのはしょうがない」が43.5%という結果となった。
9割以上が「成果基準の人事評価報酬制度を通じて、優秀な部下の退職リスクを回避できる」
Q5で「非常に賛成」「賛成」と回答した人に、「Q7.あなたは、この人事評価報酬制度を通じて、優秀な部下の退職リスクを回避できると思いますか」(n=69)と質問したところ、「非常にそう思う」が40.6%、「ややそう思う」が50.7%だった。
調査結果まとめ
今回は、直近10年以内に給与を不満理由として転職を行った管理職(役員相当・部長相当・課長相当)102名を対象に、管理職の賃上げに関する実態調査を実施した。
成果があげられなければ給与が下がるリスクはあるが、成果が上がれば従来より大幅に給与が上がる可能性がある人事評価報酬制度に、67.7%が「賛成」の意を示し、反対と表明した方はわずか7.8%となっている。
また、賛成者のうち、本制度を「ウェルカム」としてかなり好意的に捉えていることも判明。さらに、9割以上が優秀な部下の退職リストを回避できると考えることも明らかになった。
今回の調査では、元々給与に不満を抱えていた経験がある管理職が、成果を中心とした人事評価制度をポジティブに受け止めており、また優秀人材の定着には、報酬と成果の関連性を深めることが必要だと考えていることがわかった。
報酬制度によって優秀な人材を手放すことがないよう、人事評価報酬制度を再考することが必要かもしれない。
調査概要
調査概要/管理職の賃上げに関する実態調査
調査方法/IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」の企画によるインターネット調査
調査期間/2023年4月18日〜同年4月19日
有効回答/直近10年以内に給与を不満理由として転職を行った管理職(役員相当・部長相当・課長相当)102名
関連情報
https://www.salary-up.com/
構成/清水眞希