事例3.Bot Expressスマホ市役所「GovTech Express」
株式会社Bot Expressは、LINE上に役所窓口を開設できるスマホ市役所「GovTech Express」を手がける。申請や予約、学校の欠席連絡など、あらゆる行政手続きがスマホから24時間365日可能になる。契約はサブスクリプションで、機能は自治体職員自らノーコードで開発ができるため、継続的にアップデート可能だ。
執行役員 PR・コーポレート担当 松尾明美氏は、「LINEをインターフェースとすることで、新しいアプリのインストールや、見慣れないWebフォームでの入力も不要となり『説明書がいらない』状態に。住民利用率・満足度の高いサービスを目指しています」と話す。
●渋谷区の一時保育のLINE予約事例
渋谷区は2023年4月に、一時保育のLINE予約をスタート。利用者は渋谷区LINE公式アカウントからメニューを選択し、氏名や住所などの必要な情報を入力するだけで、一時保育の利用登録申請が可能。所要時間は1分程度だ。これまでのWebフォームによる申請時と比較し、手間なども削減された。
松尾氏はサービスにかける思いと展望について次のように述べた。
「自分たちの事業が成長したかどうかではなく、町の住民の生活を変えることができたかが、私たちの成績表。それを一つ一つの町と一緒に取り組んでいきます。結果として、『日本全国でほとんどの住民が、今、すぐに行政サービスにアクセスできる』、Amazonで買い物するのと同じように、行政サービスを利用できるという状態が当たり前になることが、私たちの目標です」
サービス例 うるる「GoSTEP」
株式会社うるるの「GoSTEP」は、官公庁ビジネスの与件をデータベース化したプラットフォームだ。
GoSTEP上では、官公庁や自治体が公開している、情報量の多い概算要求資料や事業予算情報などが、民間企業の担当者が見やすい形にカスタマイズされ提供されている。
●「GoSTEP」開発の背景
開発のきっかけは、同社運営の入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」の利用企業からの声にあった。
取締役 Govetech事業管掌役員の渡邉 貴彦氏は次のように語る。
「入札市場で結果を出すために、入札情報が出る前から前もって官公庁や自治体の事業予算や課題を把握した上でアプローチをしたい、というニーズをいただくことが多くありました。そこで公示案件の上流から把握し、提供することが課題解決につながると考えました」
2023年3月のサービス開始時点では、令和4年度の事業(予算)情報を中心に、地方自治体や中央省庁から約146,000件の情報を登録。
民間企業のライバルに先駆けた営業活動を支援するとともに、官公庁と民間企業との適切なマッチングにも寄与する。
渡邉氏は今後の展望について次のように結んだ。
「今後は基本構想・基本計画などのさらに上流の政策・施策情報など、官公庁ビジネスに関連性の高い情報も収集していきます。
またNJSSとの連携もより深めていくことで、民間企業における行政課題の解決を支援し、全国でガブテックを推進してまいります」
いずれの事例やサービスも、住民の利便性底上げやサービス向上、自治体課題の解決など、民間企業のGoveTechならではの強みを行政サービスに活かしている。今後もさらに、GoveTech企業にしかできないテクノロジー提供と熱意に期待したい。
文/石原亜香利