2011年に原点回帰で売上回復
やがて2011年になり、無事に売上低迷の時期を脱したという。何が復活の決め手となったのか。
「どうしたら売れるのか妙案がないまま、ある種の開き直りから原点に立ち返り、発売当初の暴君ハバネロのウマ辛さを再現した『帰ってきた暴君ハバネロ』を発売しました。激辛マニアの声に応え、辛さを強化し続けたことで間口が狭くなってしまったこと、パッケージデザインを変更しすぎてしまったことでお客様に暴君ハバネロを認知いただけなくなったことも不調要因の一つと考え、発売当初をイメージしたウマ辛さとデザインに変更しました」
当時の商品パッケージ
「これが功を奏し、売上は回復。暴君ハバネロに求められているのは、ただ刺激の強い激辛スナックではなく、辛さと旨さの絶妙なバランス“ウマ辛さ”であることを確信しました」
製造現場ではゴーグルとマスクは欠かせない!?
ところで、暴君ハバネロの製造現場ではゴーグルとマスクが欠かせないとのこと。一体、どういうことなのか?
東ハト中央研究所で暴君ハバネロ開発に携わったという篠原奈央氏は次のエピソードを語ってくれた。
「暴君ハバネロ開発当初、味付けに唐辛子スプレーを用いたり、オリジナルで配合した唐辛子パウダーを用いるなど様々な方法を試しました。当時はゴーグル、マスクを装着せずに試作を行っていたので、唐辛子の液体が飛沫したり、パウダーが舞って顔や体にかかり、汗や涙が止まらなくなりました。辛み成分を浴びすぎて、体がしびれて動かせなくなったことは今でも鮮明に覚えています」
開発風景
「それ以来、暴君ハバネロの試作をする際、ゴーグルとマスクは欠かせないアイテムとなりました。過去に温めた唐辛子パウダーを使って試作した際には、試作部屋にパウダーが充満し、周りの試作者にも影響が出てしまったこともありましたね」
暴君ハバネロは、開発段階から暴君であったようだ。
歴代の担当者がもう一度食べたいフレーバーランキングTOP3
暴君ハバネロは発売開始の2003年から現在に至るまでに、店舗限定・地域・形態別を含めて約150種類を発売してきた。最近では毎月1種類以上発売をしているそうだ。その中から、速水氏がもう一度食べたいフレーバーランキングTOP3を教えてくれた。
1位「暴君ハバネロ 熟ハバ」(2018年5月発売)
新潟県産のハバネロを糀・柚子・塩と混合し、十年間熟成発酵させた香辛調味料かんずりを使用した、旨味が強い芳醇な辛さが特長のスナック。柚子の香りがアクセントになり、クセになる味わい。
2位「黄金暴君ハバネロ」(2020年7月発売)
江戸時代より存在したといわれる黄金色に輝く唐辛子で作られた“日本一辛い黄金一味”を使用した、キレのあるウマ辛な味わい。かつおと昆布の旨味をきかせた、だし醤油仕立て。
3位「暴君ハバネロ ハバピザ」(2016年3月発売)
表と裏で色見と味が異なる、プクプクしたポテトチップス。表がチーズ味・裏がトマト味で、口に入れるとウマ辛なピザ味に。
●最新の「暴君ハバネロ」
最新の商品には、2023年3月6日に新発売された 「暴君ハバネロ」のリニューアル版と、4月17日にコンビニルート先行(一般ルート5月8日)で期間限定新発売された「暴君ハバネロ200%」がある。
「暴君ハバネロ」(リニューアル)
旨味と辛味を両立しながら、ともに強調した新生・ウマ辛を楽しめる。辛さの目安:5
「暴君ハバネロ 200%」
東ハト従来品比で、辛さ約200%、内容量200%の暴君ハバネロ。(辛さの目安:10
ビジネスパーソン向けアレンジ術2選
そんな暴君ハバネロ、実はアレンジも可能だ。2つのレシピを伝授してもらった。ぜひ試してみよう。
1. ビールがすすむ!「暴君ハバネロちくわマヨ」
【材料】
暴君ハバネロ、ちくわ、マヨネーズ
【作り方】
暴君ハバネロとちくわをマヨネーズで和えるだけ。お好みでねぎを散らしてもよい。
2.クセになるやみつきスナック「酸辣暴君ハバネロ」
【材料】
暴君ハバネロ、お酢、ラー油、黒コショウ
【作り方】
暴君ハバネロ、お酢、ラー油を混ぜて、最後に黑こしょうをかけるだけ。お酢多めがオススメ。
ただの激辛スナックではないところがヒットの理由だと判明した「暴君ハバネロ」。これからも辛さと旨さの絶妙なバランス“ウマ辛さ”で、多くの人々を魅了し続けてほしい。
文/石原亜香利