今年20周年を迎えた東ハトのスナック菓子「暴君ハバネロ」は、同社のヒット菓子「ポテコ」「なげわ」と比べ、特に辛党に注目される商品だ。ロングセラーで安定の人気を誇る商品に見えるが、冬の時代もあったという。開発秘話や歴史、歴代の味ランキングやビジネスパーソンにおすすめのアレンジ術などを商品開発担当者に聞いた。
「暴君ハバネロ」とは?
リング状でウマ辛い味わいが楽しめるポテトスナック菓子「暴君ハバネロ」は、今年で生誕20周年を迎えた。
2003年生誕当時、キャラメルコーンの顔パッケージへのリニューアルに成功した同社は、次なるヒット商品の模索を続けていた。そうした中、“世界一辛い唐辛子”として当時ギネス認定されていた「ハバネロ」に着目。ハバネロは、メキシコのユカタン半島が原産とされ、辛さはタバスコの約10倍の辛さに当たるという。
試作を重ね、ハバネロの辛味とチキン、オニオンなどの野菜の旨味を融合したウマ辛さを実現した。
発売当時の「暴君ハバネロ」
商品開発部の速水雄飛氏は、開発当時について次のように語る。
「当時は、辛い食品が出回るのは夏場でしたが、“寒い冬に体をポカポカにしてくれる”と考え、あえて11月に発売しました。発売時はテレビCMや新聞広告などのマス広告は出さずに、動画などをHPで公開し、クチコミが広がり、話題沸騰。初年度に約3,000万袋を出荷し、2004年のヒット商品番付にも選ばれ、数々の賞を受賞しました。また流行語大賞にもノミネートされ、激辛ブームの先駆けとなりました」
東ハト 商品開発部 速水雄飛氏
流行語にもなったネーミングにはこだわったという。
「“暴君”として名を轟かせたローマ帝国第5代皇帝ネロと掛け、口の中で暴れるようなウマ辛さを表現し、名付けられました。独特の語り口で暴言を吐く個性的なキャラクターです」
冬の時代を迎えた「暴君ハバネロ」
しかし、発売から2年が経った2005年から2010年にかけて、暴君ハバネロは売り上げ低迷の冬の時代を迎えることとなる。
試行錯誤をしてさまざまな工夫を行ったと速水氏は語る。
「リング形状からギザギザリング形状に変更し、視覚的なサプライズを演出するとともに、表面積を大きくすることで、より暴君ハバネロのウマ辛さをお楽しみいただけるようにリニューアルしました。また、生地に唐辛子粒を練りこんで赤くすることで、見た目から辛さを演出し、野菜のうまみを加えることで、後味まで美味しくなるような仕立てにもしました」
当時の商品パッケージ
当時の商品パッケージ
「2010年には、パッケージの訴求に力を入れ、暴君ハバネロならではのウマさと辛さの絶妙バランスを『ウマ辛黄金比』と表現し、金メタリック調のデザインにしてみたり、暴君ハバネロの顔を前面にデザインすることで店頭での見栄えを良くしようとしました。
さらには激辛マニアの声に応え、ハバネロの量を2倍や5倍に増量してリニューアルしたことも。このようなさまざまな試みを行ったものの結果にはつながらず、波が引いたかのように、冬の時代が数年続くこととなりました」