Microsoftは2023年1月10日(米国時間)、Windows8.1のサポートを終了した。サポート終了後は新たな脆弱性が見つかっても、アップデートがない。
Windows8.1サポート終了後、使い続けるリスクと移行課題とは? Webセキュリティの第一人者といわれるEGセキュアソリューションズ株式会社取締役CTO 徳丸浩氏に話を聞いた。
Windows8.1のサポート終了とは?
Microsoftの公式ページには、「Windows 8.1サポートは、2023年1月10日に終了しました」という案内文がある。
具体的には、「テクニカル アシスタンスとソフトウェア更新プログラム」は提供されなくなるという。
そのため、「より最新のサービス内およびサポートされているWindows リリースにアップグレード」することを勧めている。
Windows8.1のサポート終了とは具体的に何が終了するのか。徳丸氏は次のように解説する。
「Windows8.1向けのセキュリティアップデートが受けられなくなります。WindowsにはWindows Updateという機能により、脆弱性(ソフトウェアのセキュリティ上の弱点)に対する修正プログラムが定期的に提供されています。サポートが終了すると、修正プログラムが提供されなくなり、脆弱性が修正されなくなります」
Windows8.1サポート終了後、使い続けるリスク
サポートが終了したのに、Windows8.1が搭載されたデバイスを使い続けることで、企業は具体的にどんなことに困るのだろうか。
「Windowsのサポートが終了して一番困るのは、ウイルス感染の可能性が高まることです。メールなどで送られてきたファイルを開くだけでウイルス感染するなどの可能性が高くなります。
また、サポートが終了したWindowsに適合していたWindows以外のソフトウェアも、いずれはアップデートされなくなります。このためウイルス感染の危険性はますます増加することになります。
これに関連して、新たにソフトウェアを導入したくても、Windowsのバージョンが古いために導入できないというケースもあります」
OSをアップデートしなかったことで起きた事例
WindowsのOSをアップデートしなかったことで、過去に起きた最悪の事態にはこんなことがあるという。
「大規模なウイルス感染の事例があります。例えば、2017年5月に世界中で猛威を振るったランサムウェア『WannaCry』はWindowsの脆弱性を悪用して感染を広げるタイプでした。
この種のウイルスが将来、発生した場合に、Windowsをアップデートしていないと感染を防ぐことができません。ランサムウェアによりファイルを勝手に暗号化されて利用できなくなったり、重要情報を持ち出され、これらをネタに身代金を要求されることが予想されます」