筆者がパスポートを取得するために、静岡市役所へ赴いた時のことを説明させていただきたい。
パンデミックのせいでしばらく海外渡航ができない状態だったから、期限切れのパスポートもほったらかしだった。
そのため、パスポートを更新するためには戸籍謄本が必要だ。残念ながら、その時の筆者は現金を持っていなかった。戸籍謄本を交付してもらうのには手数料が必要である。
が、憂鬱はほんの30秒で晴れてしまった。戸籍関連書類の発行窓口が、キャッシュレス決済に対応していたからだ。
戸籍謄本取得の手数料をキャッシュレス決済で
去年から今年にかけて、全国自治体の窓口で「タッチ決済導入」が相次いでいる。
静岡市役所の場合は、去年10月からクレカ、交通系ICカード、FeliCa、バーコード・QRコード決済が一気に導入された。クレカは6銘柄で、その中には何と銀聯カードも。
「電子マネー」というカテゴリーに入れられているのは交通系ICカードの他、WAON、nanaco、楽天Edy等の6銘柄。そしてバーコード・QRコード決済はお馴染みPayPayを始め、au PAY、d払い等の8銘柄である。
なお、クレカはタッチ決済にも対応している。これは筆者自身が実証済み。
去年10月以前までは戸籍関連書類を取得するのにわざわざ現金を持っていかなければならなかったことを考えると、これは「革命」とも言えるほどの変化である。
静岡市役所の中にもATMはあるが、現金を引き出すとなると手数料がかかってしまうことも。
そうしたことも考慮すると、自治体の書類発行窓口でキャッシュレス決済を導入するのは「時代の流れ」でもある。
キャッシュレス導入自治体が次々と
静岡市以外の自治体の様子を見てみよう。
埼玉県富士見市では、今年4月から市役所本庁舎、出張所、その他公共施設等でのキャッシュレス決済導入が始まっている。クレカ5銘柄、電子マネー5銘柄、交通系ICカード。
市民課での証明書交付手数料の他、環境課での犬の登録手数料、ペットの死体処理手数料、道路治水課での土木証明手数料の支払いにも対応する。
岐阜県瑞浪市でも、4月からキャッシュレス決済導入が始まった。市役所市民課及び税務課が対象で、クレカ6銘柄、交通系ICカード、そしてバーコード・QRコード決済8銘柄。
こうした事例が、まさに連鎖反応的に全国各地で起きている。
もちろん、市区町村の施設でキャッシュレス決済が導入されれば、市民生活の利便性は大幅に向上する。自宅から路線バスで市役所まで行くのに交通系ICカードを使用し、市役所での証明書発行の際も同じカードで決済する。
つまり、市民からすれば「決済手段の一本化」がしやすくなるということだ。