NTTドコモは、スマートフォンや監視カメラなどの映像から、個人情報を削除した上で人物の行動や興味関心を可視化する技術を開発したと発表した。2023年度末の商用化を目指すとしている。
サイバー攻撃の際の情報漏えいリスクの軽減をしながら、人物・顧客行動を分析することが可能
本技術では、映像から人物の骨格情報などの必要なデータを取り出した後、顔や服装などの個人情報を映像から削除し、人物の骨格を線で描画。個人情報を自動で削除するため、プライバシーを保護した上で人物行動の可視化が可能となる。
また、削除した人物の背景を自動で生成するため、モザイクなどの加工映像と比較してより自然な映像になるうえ、本技術適用前の映像は、閉域網で高セキュリティな「docomo MECTM」網へ送信され、「docomo MEC」網内で加工されるため、サイバー攻撃の際の情報漏えいリスクの軽減をしながら、人物・顧客行動を分析することが可能だという。
↑カメラ映像のプライバシー保護イメージ
加えて、スマートフォンや監視カメラなどで撮影した映像から、人物の滞在時間や目線、物体タッチの情報を取得し、映像から自動作成した3次元のバーチャル空間上に投影することも可能。
例えば、本技術をコンビニエンスストアや商業施設の店舗などで利用すると、顧客人数のカウント、性別・年代推定に加え、顧客の商品タッチ・目線、店内動線・立ち止まりのヒートマップを取得することができる。
これらの顧客行動データを参照することで、手に取られやすい・目にトピックス入りやすい棚や商品、通行量の多いメイン通路、商品購入時に比較検討されやすい商品などを特定でき、商品配置の変更や人流改善などの施策検討、リアルタイムでの実店舗でのサイネージ変更などの高度な店舗マーケティングへの活用が期待できる。
さらには、近年注目されているメタバースと、映像から人物行動を取得する本技術が融合することで、例えば実空間で行動する人々がバーチャル空間へ転写され、バーチャル空間上の人物と共に楽しめるテーマパークなど、さまざまな新しいサービスに対して活用できる可能性があるという。
↑人物行動(商品タッチ)のバーチャル空間表示イメージ
なお、2023年4月から、本技術を用いてコクヨならびにNTTコミュニケーションズとオフィス空間内の人物行動可視化に関する実証実験を行なうとのこと。
客観的なオフィス評価の実現に向け、歩行および立ち止まり箇所のヒートマップなどを取得し、コクヨ社のオフィス内で従業員の人流や行動の解析を行ない、本技術の有効性をともに検証するとしている。
↑スマートフォンで撮影した映像から作成したコクヨ社オフィスにおける従業員動線イメージ
関連情報
https://www.mec.docomo.ne.jp/
構成/立原尚子