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連休中に見直そう!ベテラン税理士が指南する今すぐやるべき相続対策

2023.05.03

一冊の本ができるほど難しい相続における保険の扱い

――相続対策として、生前贈与を目指した保険が人気なようです。効果はありますか?

秋山先生 保険は課税関係だけで一冊になるぐらい難しい分野のひとつです。契約者が誰か、被保険者は誰なのか、保険受取人は誰なのかで、課税関係がコロコロ変わります。一時所得か贈与税か相続税か、契約のケースによってコロコロ変わるのです。

一般的に、契約内容によって一番税金がきついのが贈与になるケースです。これは契約者がA(夫)・被保険者がB(妻)・受取人がC(子供)」というような場合です。Aが契約して保険料を支払い、Bに保険事故が発生して、Cが生命保険金を受け取りますと、AからCへの贈与になります。

また、契約者がA(夫)・被保険者がA(夫)・受取人がC(妻や子供)」というような場合は、Aが契約して保険料を支払い、Aに保険事故が発生して、Cが生命保険金を受け取りますので、Aの相続財産とみなされて相続の対象になります。

贈与の対象になれば贈与税の基礎控除は110万円しかありませんので、生命保険金の金額によっては莫大な贈与税がかかります。ちなみに、相続税の対象になれば500万円×法定相続人の数が控除され、控除を超えた分が相続税の対象になります。

贈与税対象か相続税対象かによって納める税金が極端に変わる場合がありますので、一度保険証券を確認してみてください。

また、「実質所得者課税の原則」というのがあって、税務関係は全てこの「実質課税の原則」に従って判断されますので、一時所得になるのか・贈与税対象になるのか・相続税対象になるのかは「実際はどうなのか」ということで判断されるので注意が必要です。先ほどの例で、契約者がB(妻)で、被保険者もB(妻)、受取人はC(子供)だったとしたら相続税の対象ですが、実際に保険料をA(夫)が支払っていたのであれば実質の契約者はA(夫)になるので、相続税の対象ではなくAからCへの贈与税の対象になりますので、保険料は実際誰が支払っているのかというのも重要な注意点です。

今すぐやるべき相続税対策とは?

――最後に@DIME読者が今やるべき、最も効果的な相続税対策は何でしょうか?

秋山先生 ひと言で言うのは難しいですが、生前贈与を受けて親の財産を減らして相続税対策をやるのが基本です。生命保険の事例が出ましたが、生命保険契約して、親が亡くなった時に保険金として下りるようにすれば、500万円×法税相続人の分だけ節税できます。現預金ではできない節税です。

あと、生前の親の財産を減らす方向で行くのが良いと思いますが、難しい場合もあるでしょうね。例えば土地の名義を変えるにしても、登記が必要なので、司法書士さんにお願いしなければいけません。

預金額を減らしておけば、相続税がゼロになるケースもあります。子どもに渡すお金も110万円までは課税されないので、申告も納税も必要ありません。相続専門の税理士は、税理士の中では少ないですが、法律に則って将来の相続の備えをアドバイスすることができます。

相続税は難しく、金額も大きく、申告も面倒です。でも、資産の再分配という概念からすると、社会の役に立っている点も見逃せません。日本が欧米の様に大金持ちと極貧層に二極化しないかというと、相続税の存在があるのも一つの要因です。相続税がなかったら、お金持ちは未来永劫、ずっとお金持ちになってしまいます。文頭のチェック項目に一つでもあてはまったら、ぜひ新刊書を参考にしてみてください。

――ありがとうございました。

税理士 秋山清成 先生
国税局、税務署などの専門機関で40年以上、主に相続税を取り扱う資産課税部門に勤務。2015年、兵庫県姫路市にて秋山税理士事務所を設立。40年以上にわたり培った専門的なノウハウを生かした相続対策及び相続税の節税策を行っている。
YouTube 【相続専門チャンネル】秋山税理士事務所

文/柿川鮎子

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