アドビは、写真編集ソフト「Adobe Lightroom」に新しいAI技術を搭載したと発表した。
今回、提供開始した「Adobe Lightroom」の新バージョンに、AI技術を活用した「ノイズ除去」や「トーンカーブ」などの新機能を搭載し、AIマスク機能に新カテゴリーを追加。アドビでは、「新たに追加されたアダプティブプリセットと、選択した人物のマスクカテゴリにより、ワンクリックで空の色から人物の髭の質感まで、細部を簡単に調整することができます。さらに、マスク機能におけるノイズ除去やトーンカーブなどの新機能により、わずかな労力でより多くの作業をこなし、時間を節約してより完璧な作品に仕上げることができます」としている。
ノイズ除去
(Adobe Lightroom Mac/Windows 版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Row)
撮影が難しい照明の条件下で撮影した写真を、新機能「ノイズ除去」によって画像からデジタルノイズを除去することで、ディテールを失うことなく品質を向上させることができる。例えば、ビーチで夕日の撮影、夜の街でスナップ写真撮影、キャンドルで照らされた人物を撮影する際など、低照度下で高 ISOファイルを扱う際に特に役立つ。
なお、この新機能は、現在 RAW ファイルでのみ対応。近日中に他のファイルタイプでも利用可能になる予定だという。
↑ワンクリックで画像に含まれるノイズをほぼすべて取り除くことができる(左:使用前、右:使用後)。
マスクへのトーンカーブ適用
(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Raw)
マスクに対してトーンカーブを使ったコントラスト、トーン、カラーの調整が可能になり、画像の特定部分に対して高度にカスタマイズされた精密な編集が行えるようになった。マスクとトーンカーブの組み合わせにより、写真の特定の部分の階調や色味をさらに細かくコントロールし、完璧な仕上がりを実現することができるので、例えば、風景写真の影のディテールを目立たせたり、色味を補正したり、クリエイティブなエフェクトを加えるといった編集をする際に役立つ。また、ポートレートでは、全体の露出に影響を与えずに、部分的に暖色を加えたり、明るくしたりすることが可能だ。
↑選択領域のトーンカーブを調整したり、変更したい部分にのみ重点的にカラーエフェクトを適用できる。
AIマスク機能「被写体を選択」に新カテゴリーを追加
(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Raw)
昨年10月に開催されたAdobe MAXで発表したAIマスク機能「被写体を選択」が進化し、あらゆるポートレートにおいて個人またはグループのマスクを自動作成する際、AI マスクのカテゴリーとして「服」や「ひげ」も指定できるようになった。これにより、例えば、シャツなどの衣服の領域だけを選択し、最小限の労力で色味を変更することが可能。また、ヒゲの部分を選んで濃くしたり質感を調整したりすることもできる。
↑AIマスク機能「被写体を選択」のカテゴリーに「服」と「ひげ」が追加。より簡単に洋服の色味を調節したり、ひげを濃くしたりすることが可能になった。
「ポートレート」アダプティブプリセットの拡充
(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Raw、Adobe Lightroom iOS/Android/web版)
昨年から提供を開始したアダプティブプリセットに、人物の肌を滑らかにし、顔の特徴を洗練させる「洗練されたポートレート」、人物の髭を濃くする「ひげを濃く」、コントラスト、彩度、質感を高め、服のディテールを際立たせることができる「衣服を強調」を追加。このほか、「強調」「グラマー」「歯を白く」「髪の質感」も新たに加わった。
ビデオの白黒化
(Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom iOS/web版のみ。Android版は近日提供予定)
2022年にAdobe Lightroomに加わったビデオ機能に、あらゆるビデオを白黒にする機能が追加。ワンクリックだけでビデオをクラシックな映画スタイルを彷彿とさせる洗練された白黒調に変換できるようになった。
そのほかのアップデート
Adobe Lightroom Mac/Windows版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Raw、Adobe Lightroom iOS/Android/web版に18種類のプレミアム「トラベル」プリセットを収録。また、Adobe Lightroom iOS版に、フレームやボーダーを付けての写真の書き出し機能を導入。さらに、Adobe Lightroom web版では、「被写体を選択」「空」「背景」の各AIマスク機能が使用できるようになったほか、前述の「歯を白くする」や「グラマー」などのアダプティブプリセットも利用可能となった。
関連情報
https://www.adobe.com/jp/products/photoshop-lightroom.html
構成/立原尚子