常時10人以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則を定める必要があります。
事業場ごとの労働者数が10人に満たない場合でも、ある程度の人数を雇用する会社は、就業規則を定めることが望ましいでしょう。
今回は「就業規則」について、概要・作成義務の対象者・定めるべき事項・手続きなどをまとめました。
1. 就業規則とは
「就業規則」とは、事業場で雇用する労働者全員に対して適用される勤務ルールです。
労働契約を締結する時点において、就業規則所定の労働条件が以下の要件をすべて満たす場合には、その労働条件が適用されます(労働契約法7条)。
①労働条件が合理的であること
②就業規則を労働者に周知させたこと
③労働契約において、労働者と使用者が異なる労働条件を合意した部分でないこと
また、労働契約の締結後に就業規則を変更した場合にも、以下のいずれかに該当する場合は、就業規則の労働条件が適用されます(同法9条、10条)。
(a)変更内容が労働者にとって有利である場合
(b)変更内容は労働者にとって不利益だが、以下の要件をすべて満たす場合
・変更後の就業規則を労働者に周知させたこと
・変更内容が変更に係る事情に照らして合理的なものであること
・労働契約において、就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分でないこと
2. 就業規則を定める義務を負うのは「常時10人以上の労働者を使用する使用者」
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成する義務を負います(労働基準法89条)。
「10人以上」という人数基準は、事業場ごとに適用されます。
たとえばX社が、A事業場で10人、B事業場で9人の労働者を常時雇用しているとします。この場合、A事業場では就業規則を作成する必要がありますが、B事業場では就業規則を作成しなくても構いません。
「常時」使用する労働者には、正社員だけでなくパートやアルバイトも含まれます。その一方で、繁忙期などに合わせて一時的に雇用されたに過ぎない労働者は、「常時」使用する労働者に当たりません。
なお、会社全体である程度の人数の労働者を雇用している場合は、就業規則の作成義務がない事業場でも、他の事業場と共通の就業規則を適用するケースが多いです。
統一的に労務管理を行う観点からは、できる限り就業規則を作成することが望ましいでしょう。