ChatGPTが世の中を騒がせていますが、「AIスゲぇー!」と驚いている場合ではありません。ビジネスにおいてどう活用していくか、生活を便利にするためにはどう使えばいいのか、それを使う私たち自身もアップデートしなければ、置いて行かれてしまいます。
ビズリーチ→メルカリ→スマニューといったユニコーンを渡り歩く転職8社目の現役プロダクトマネージャー「たいろー」さんが“中の人”視点で毎日5分、業界トレンドやAI活用のコツについて楽屋裏トークするVoicyの人気番組「Work in Tech!」。今回はこちらの配信の中からDIME編集部がセレクトした注目コンテンツを記事としてお届けします。ぜひVoicyの放送と合わせてご覧ください!
※この記事はVoicyで配信したされた「#898『Copilot(副操縦士)』としてのGPT(2023年2月27日)」を文字起こしのうえ、再構成したものになります。
生成型AIの役割は「Copilot(副操縦士)」
皆さん、今日もテックにやっていますか? 最近の話題として頻繁に登場していた「ChatGPT」 ですが、新しい世代のAIがどういう風に僕らを助けてくれて、どういう風に使うと人間が楽になるのか。その使いどころがわかってきた気がしますので、キーワードをふたつ提示します。
ひとつはマイクロソフトのサティア・ナデラCEOが新しいGPT (General Purpose Technology:汎用技術)モデルを搭載した「bing」の紹介をする時に使っていた言葉ですが、「Copilot(副操縦士)」です。飛行機に乗ったことがあっても飛行機の操縦席に足を踏み入れた人はほとんどいないと思いますが、飛行機の運転席には主担当と副担当のふたりの操縦士がいるというのはイメージとしてわかりますよね。まさにあれになぞらえているわけです。インターネットとウェブの新しい時代においては、人間は依然として主担当であり操縦席に座っていますが、副操縦席にAIがいていろいろなサポートをしてくれるようになります。
特にBtoBエンタープライズ向けでは「Copilot」を結構使っているので、この概念はこれから広がっていくと思います。便利そうな言葉なので、これからたくさん見るようになると思います。
「正解を聞かない」で指示・命令で活用
もうひとつのキーワードが「正解を聞かない」ということです。質問をするのではなくて、指示・命令をするのが「ChatGPT」をはじめとした生成型AIを使う時の基本の構えです。例えばそれっぽい文章を生成するみたいなものは、いろんなところで話題になっているのでわかっているとは思いますが、実はプログラミングも結構やってのけてくれます。ただ正確かどうかはわかりません。
特に数学的な演算は結構怪しいというのが、僕の周りの海外の人たちが得ている実感です。これからはサービスを開発するときやアプリケーションを作っていくときの設計を人間が行い、各処理の実際の行動を仮に「ChatGPT」に生成させて、その動作のテストを事前に組み込んでおいて行う。生成型AIが書いたコードが期待通りの動きをしたかチェックしていく全体の仕組みを作ることは、ソフトウェアエンジニアの仕事として比重が大きくなっていくというのが僕の目線から思います。
「それっぽい何か」を創作してもらうツール
しばらくは新しいGPTを搭載した「bing」や「Bard」という新しい仕組みを入れたGoogleが間違った結果を返すたびに叩かれるということは何度も起きると思います。しばらくはそれが続くと思いますが、僕はこの新しい技術の使い方としてそれは期待の仕方が間違っていると明確に思います。それは生成型AIに期待することではなくて、検索エンジンに対して期待することですね。
何らかの意図をもって質問をして、それに対してなるべく関連性が高く鮮度が高い一致する情報のリストを返してくれるのがGoogleをはじめとした検索エンジンなので、正解を知りたいのなら検索すればいい。そうではなく、正解は自分が知っているか、あるいは正解そのものが存在しない何らかのテーマにコンセプトを与えて、「それっぽい何か」を創作してもらうというのが生成型AIの使いどころだということです。
僕の方では、引き続きテックの集大成とも言える生成型AIをどう僕らの日々の現場の仕事に活用していけるかをいろいろと試してみようと思います。
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たいろー(森山大朗)
早稲田大学卒業後、リクルートや新規サービスの立ち上げを経て2013年から株式会社ビズリーチで求人検索エンジンの開発を推進。2016年から株式会社メルカリで検索アルゴリズム改善やAI出品機能の開発に従事し、Head of Data/AI/Searchとしてエンジニア組織を統括。2020年からスマートニュース株式会社でテクニカルプロダクトマネージャーとして開発をリードしながら、株式会社ソウゾウも支援。ブログやSNSでは「たいろー」名義で転職やキャリア、テック業界についての情報を発信している。
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『Work in Tech! ユニコーン企業への招待』
著/森山 大朗 扶桑社 1580円
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