ヤフーは、日本最大級のインターネットニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」が提供する「Yahoo!ニュース コメント」(以下、コメント欄)において、より多様な意見が上位に表示されやすくなる独自AI「コメント多様化モデル」の導入を開始した。
「Yahoo!ニュース」は、ユーザーがニュースに関する多様な意見を共有しあい、新たな視点を得るきっかけを創出することを目的として、2007年からコメント欄を提供。安心して利用できる健全な言論空間を提供するために、誹謗中傷を含む不適切なコメントの対策を行なうと同時に、コメント欄の目的の実現のために、多数投稿されるコメントをどのような順番で表示しユーザーに届けるかについても、さまざまな研究開発に取り組んでいる。
これまでにも、独自のAIによって「新たな考え方や見識を提供する」などの条件を満たす建設的なコメントをスコアリングし、スコアが高いコメントを上位に表示する「建設的コメント順位付けモデル」など複数のAIモデルの導入や、「そう思う・そう思わないボタン」の押下などユーザーのリアクションデータを活用し、コメント表示順の工夫や調整を続けている。
また、「Yahoo!ニュース」が2023年1月に行なった調査では、「新しい気付きを得られるコメント」や「記事に対する他の視点を得られるコメント」が強く求められる傾向があることが判明。一方、多種多様なコメントが投稿されていても、似た内容のコメントが上位に並んでしまうケースがあり、“新たな視点を得るきっかけを創出する”という目的の実現にあたっての課題があった。
そこで、今回、よりユーザーニーズに沿った有意義なコメント欄を提供し、この課題を改善することを目的として、新たに開発したAIモデルの導入によって、より多様な意見が上位に表示されやすくなる取り組みを開始した。
新しいAIの「コメント多様化モデル」は、まず記事に対して投稿された各コメントの意味・内容を把握したうえで、それぞれの内容の類似度によってグループ分けし、各グループから抽出した代表的なコメントをコメント欄の上位に表示することで、ユーザーが多様な視点からのコメントに気付きやすくする仕組みとなっている。
↑「コメント多様化モデル」のイメージ
ヤフーでは、既存の「建設的コメント順位付けモデル」などに加えて本AIモデルを導入することで、建設的かつ多くの人が共感している意見だけでなく、異なる視点の意見など多様な意見を知るきっかけの提供を目指しているとのこと。
さらに、似た内容のコメントが並んだ結果、そのコメントの意見が多数派で正しい意見であるかのような印象をもたらし、他のユーザーからも同様の投稿やさらに過激化した投稿が過度に集中してしまう、いわゆるエコーチェンバー現象の軽減効果も期待しているという。
なお、本AIモデルを含むコメントの並び順は、ユーザーからの評価などを踏まえて、引き続きさらなる改善に取り組んでいくとしている。
↑「コメント多様化モデル」が活用されているコメント欄で表示されるメッセージ
関連情報
https://about.yahoo.co.jp/
構成/立原尚子