あなたが「感じがいい」と思うのは、どんな人でしょうか?
いつも率先して元気に挨拶をしてくれる職場の部下。相づちのバリエーションが豊富で、聞き上手な同僚。仕事のプロセスから正当な評価をしてくれる上司は感じがいいと思うのではないでしょうか?
一方で、仕事の指示が曖昧なのに、突然「まだ?」と自分の都合で催促してくる上司や、ネガティブワードや余計なひと言が多い部下、人が話している最中に何かと自分の話をかぶせてくるような同僚は、決して感じはよくないと思います。
こうしたちょっとした場面で始まる「感じがいい・悪い」の印象づけは、ビジネスシーンにおいても大きな影響を及ぼします。組織の中で働いている以上、人との関わりをなくすことはできません。せっかく縁があって知り合ったわけですから、気持ちよく付き合える関係を築き上げたいものです。
本記事では50万部を突破した『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』シリーズの著者で産業カウンセラーの大野萌子さんの著書『「感じがいい人」の行動図鑑』の一部を抜粋し、再構成して気持ちよく働くためのヒントをお届けします!
Column「感じがいい」言いかえテク
ビジネスを円滑に進める上で重要なのが、言葉のコミュニケーション。「感じがいい人」は語彙が豊富で、品性を感じる言葉遣いを心得ています。ここでは、すぐまねできる大人のスマートな言いかえを紹介します。
依頼
[ 手助けをしてもらいたい時 ]
この企画にご協力ください
→ この企画に(ぜひ)お力をお貸しください。お力添えください
★ このままでも悪くはないが、協力=(対等に)力を合わせるという意味があるので、目上の人に使う場合は言いかえるのがベター
[ 上司に資料を見てほしい時 ]
資料を見ておいてください
→ 資料をお目通しのほど、お願いいたします
★ 書類などをひと通りさっと見ることで、上司や取引先などに対して使う「お目通し」。「ご一読ください」も同様。「お願いいたします」で、より丁寧に
[ 目上の人に何か教わる時 ]
書類の申請方法を教えてください
→ 書類の申請方法をご教示ください
★ 「ご教授ください」という言い方もあるが、これは大学の先生などから継続的に教えを請うことで、仕事上、目上の人から教えてもらう時は「ご教示ください」が適当
質問
[ 話の内容が曖昧な時 ]
今のお話は○○ということですか
→ 今のお話は○○という理解でよろしいでしょうか
★ 相手の話がわかりにくい時に、自分の認識を伝えて齟齬がないか確認の意味で使う。トーンを和らげたい時は「こちらの理解不足かもしれませんが」をプラス
[ わかったかどうかを確認したい時 ]
ここまでの説明、おわかりになりましたか
→ ここまでの説明で何かご不明な点はございますか
★ 丁寧語を使っているとはいえ、相手の理解度を問うような上から目線の言葉遣いはNG。相手の立場に立った配慮や気配りのある表現に言いかえを
[ 話を聞き逃した時 ]
もう一度聞きたいのですが
→ 念のため、お尋ねしたいのですが
★相手がせっかく話したことを「聞いてない」では相手を不快にさせる。「念のため」と前置きし、スマートに聞き直すのがよい
謝罪
[ 依頼を忘れていた時 ]
申し訳ありません。忘れておりました
→ 申し訳ありません。失念しておりました
★ 失念=うっかり忘れていたこと。忘れていた、とストレートに言うより丁寧で大人の印象に。行動に対しての言葉で、謝罪の言葉とセットで使う
[ 反省している時 ]
気をつけます
→ 肝に銘じます
★ 注意された時は「(指摘を)しっかりと心に刻む」意味を持つこのワードで反省を示す。さらに深い反省を強調したい場合は「猛省しております」を使いたい
[ 知らないことを聞かれた時 ]
わかりません
→ 不勉強で申し訳ありません
★ わからないことを素直に言うことも大切だが、ビジネスでは信用を損ないかねない。「勉強不足」も使えるが、努力が足りない反省を表わす「不勉強」がより大人っぽい
断り
[ 相手の要望に応えられない時 ]
それはできません
→ おっしゃることはわかりますが、それはいたしかねます
★ 「~しかねる」は「仕兼ねる」と書き、「することが難しい」「できかねる」の意で、断りを柔らかく伝える表現。さらに相手に気遣った言葉を加えると丁寧
[ 難しい仕事を断りたい時 ]
私には無理です
→ 私には荷が重いです
★ 「無理」はやる気のない印象を与えるため、言いかえてやんわり辞退。「荷が勝ちます」も同意
催促
[ 急いでもらいたい時 ]
早くしてください
→ 急かすようで申し訳ありませんが
★ 直接的言葉はさらに相手を焦らせる。「~その後いかがですか」と進捗確認セットでソフトに催促
[ メールの受信を確認したい時 ]
今朝のメール、届いていますでしょうか
→ 今朝のメール、ご覧になっていただけましたでしょうか
★ メール受信を確認したい場合は、責めるような上から目線の言い方をせず事実のみを問う
and MORE
[ 状況が変わって不要になった時 ]
先日の提案は忘れてください
→ 先日の提案はご放念ください
★ 放念とは、他者に対し「気にしないでください」「忘れてください」という意味で使う言葉。状況が変わって依頼が不要になった場合などに使う
☆ ☆ ☆
職場、取引先、親族、近所付き合いなど、様々な人と関わる中で「感じがいい人」は、絶妙なコミュニケーションの術を無意識のうちに、あるいは意識的に身につけています。そんな「感じがいい人」がさりげなくやっている行動や言動の事例を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
ちょっとした話し方や言葉遣い、意識の向け方を変えるだけで、相手に与える印象は必ず好転します。「感じがいい人」の行動図鑑』の中で紹介している65のアクションをヒントに仕事も、人間関係も、うまくいく幸せ習慣を手に入れてください。
著/大野萌子
著者/大野萌子(おおの・もえこ)さん
公認心理師。産業カウンセラー。2級キャリアコンサルティング技能士。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ(R)資格認定機関)代表理事。著書の『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』はシリーズ累計50万部を突破。