「感じがいい」ビジネスパーソンに共通するのが、人を不快にさせる言葉を使わないということ。ネガティブ発言や曖昧表現、上から目線の言葉などは何気なく使っていることも多いため、感じのいい言いかえ表現をぜひ意識してみてください。
否定発言→肯定発言
人は「~しないで」と「否定形で指示」されるより、「~して」というように「肯定形で依頼」されるほうが、受け止めやすいもの。ほかにも使いがちな否定表現を肯定形に変えるだけでも好印象に。
× ○日までに納品してもらわないと困ります
○ ○日までに納品していただけると助かります
→ 期限付きの依頼は強い言い方になるので、敬語も混ぜてソフトに
× そのやり方で、うまくいくはずがありません
○ やり方を変えれば、うまくいくと思います
→ できないと否定するのではなく、前向きなアドバイスが好印象に
× 今週は忙しいからダメ!
○ 来週は時間があるから対応できますよ
→ 頭ごなしの「ダメ」ではなく、可能にする条件つきで肯定化
曖昧回避
「ちょっと」「可能なら」「なるはや」なども、使いがち表現のひとつ。相手に配慮しているつもりでも、人によって受け取り方が違う曖昧な表現は、逆にモヤモヤさせてしまいます。
× 検討します
○ 検討して明日の12時までにお返事します
→ ビジネスで頻繁に使う「検討します」。社交辞令か本気かを明確に
× できたらやります やれたらやります
○ できるかどうか確認して連絡します
→ 曖昧すぎる返事。やれるかやれないかだけでも、はっきり返事を
× 大丈夫です
○ お気遣いなく、問題ございません
→ 肯定、否定両方にとれる「大丈夫」は、具体的に言いかえて使う
上から目線解消
立場が対等か下であるのにもかかわらず、まるで上のような立場からものを言う「上から目線」言葉。無意識のうちに使っているだけでなく、そうとは知らずに使っている場合も多いので、今一度チェックを!
× 課長のお話に感心しました
○ 課長のお話に感服しました
→ 感心は人に対する評価を表わすので、目上にはNG、部下や後輩ならOK
× 出張、ご苦労さまでした
○ 出張、お疲れさまでした
→ 「ご苦労さま」は目上→目下の言い方。同僚・上司には「お疲れさま」を
× ウェビナーの進行、参考になりました
○ ウェビナーの進行、勉強になりました
→ 目上の人には「話を聞いて知識が増えた」を伝える「勉強」が○
× ご存じないとは思いますが
○ ご存じかと思いますが
→ 情報通を気取って見下すような発言は慎み、相手を立てる言い方に
× よかったですね
○ それは何よりです
→ うれしい気持ちを目上の人や取引先に使う時は、寄り添う気持ちをプラス
話し言葉と書き言葉
普段の会話などで使う言葉が「話し言葉」で、主に文章を書く時に用いられるのが「書き言葉」。カジュアルなシーンでは前者でもOKですが、ビジネスでは主に後者を意識して使うのがおすすめです。
× 資料を一応、共有しておきます
○ 資料を念のため、共有させていただきます
→ 曖昧表現の「一応」は、「念のため」と言いかえると好印象に
× そこはちゃんと確認しておくべきです
○ そこはきちんと確認しておくべきです
→ 「きちんと」のほうがより丁寧。「しっかりと」も書き言葉
× やっぱりA案だそうです
○ やはりA案だそうです
→ 「やっぱり」は「やはり」のくだけた表現。公的シーンでは控える
× 詳細については後でご連絡します
○ 詳細についてはのちほどご連絡します
→ 同様の時間表現として、すぐ→早速、今→ただ今、さっき→さきほど
× その切り口、すごくいいと思います
○ その切り口、非常にいいと思います
→ 「すごく」はほかにも「大変」や「極めて」を使うとオフィシャルな印象に
大野萌子(おおの・もえこ)さん
公認心理師。産業カウンセラー。2級キャリアコンサルティング技能士。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ(R)資格認定機関)代表理事。著書の『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』はシリーズ累計50万部を突破。
著/大野萌子
発行/小学館
定価/1430円(税込)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09311523
著者/大野萌子