DJIは、フルサイズセンサーを搭載したプロ向けオールインワン型ドローン「DJI Inspire 3」を発表した。
「DJI Inspire 3」は、洗練された一体型デザインと、161°超広角FOV ナイトビジョンFPVカメラ、O3 Pro伝送での制御システムを備えているのが特徴。
また、同クラスのドローンの中でトップレベルの飛行性能を有し、大規模撮影にシームレスに適用できるプロ向けエコシステムに完全対応。
さらに、DJI製ドローンのなかで、唯一RTKを使ったWaypoint Pro機能と全方向障害物機能の両方に対応し、より安全に、より高い精度で飛行ミッションを実行できる。
洗練された一体型設計
前モデルから機体設計を一新した「DJI Inspire 3」は、軽量な一体型ボディで、携帯性に優れたフォームファクターと精密かつ堅牢な変形型フレームを装備。
FPVカメラ、複数のビジョンセンサーや測位用アンテナ、データ格納ストレージスロット、これら全てが機体フレームとシームレスに融合された設計となっている。
また、刷新された機体設計では360°パンに加え、新たにチルトブーストにも対応。ランディングギアが下がっているとき、ジンバルは上向き80°までカメラを向けて撮影できるので、機体フレームなどの映り込みないという。
さらに、新しいデュアルTB51インテリジェントバッテリーはホットスワップに対応し、最大28分の飛行時間を実現。パワフルな推進システムにより、最大飛行速度は94 km/h、最大上昇速度は8m/s、最大下降速度は8m/s、そして、最大下降(チルト)速度は10 m/sを達成した。
シネマグレードのフルサイズ8Kイメージングシステム
DJI史上最軽量のフルサイズセンサー搭載ジンバルカメラ「Zenmuse X9-8K Air」を搭載しているのも特徴。このジンバルカメラは、DJI最新の映像処理システム「CineCore 3.0」を備え、最大8K/25fps CinemaDNG動画や8K/75fps Apple ProRes RAW動画を内部収録することが可能。
S&Qモードでは最大4K/120fpsのクロップなしフルサイズ撮影動画をProRes RAWで内部収録できる。
また、X9-8K Airは、デュアルネイティブISOに対応。30fps以下のフルサイズ撮影の場合、EI 800/4000に対応し、映画制作でよく使われる24fpsを利用できる。30fpsを超える場合は、EI 320/1600に対応する。
14+ストップのダイナミックレンジもサポートし、日の出や日没のような複雑な照度環境下でも、明暗部のディテールまで鮮明に捉えることができるうえ、ハイダイナミックレンジにより後編集での選択の幅が広がり、大きく露出を調整した場合でも、現実に忠実な色合いを保持できる。
機動性に優れた高精度フライトシステムを使用したインテリジェントモード
建築や測量の分野で使われているRTK高精度測位技術を搭載し、センチメートルレベルの測位を実現。RTK測位用の2層式セラミックアンテナが内蔵され、3種類のGNSSシステム (GPS + Galileo + BeiDou)の信号を受信でき、複雑な環境でも正確に飛行を操作することができる。
また、ネットワークRTKを有効にする、もしくはD-RTK 2 モバイルステーションを設置すると、追加モジュールなしで高精度の測位が可能になる。
さらに、内部標定機能も備え、Waypoint Proが新たに搭載。Inspire 3に搭載されたWaypoint Pro機能ではリピータブル ルートと3Dドリーの2種類のモードが利用できる。
最先端の全方向障害物検知システム
9個のビジョンセンサーを使った強力な全方向障害物検知システムを搭載し、あらゆる方向の障害物を検知。加えて、障害物回避のカスタム機能が新たに搭載され、より優れた飛行安全性とより自由度の高い撮影を両立させている。
水平方向、上方、下方の障害物検知は、それぞれ個別で有効/無効にすることができ、様々な撮影シナリオに合わせ、障害物警告範囲を手動で設定することが可能。
この機能は、能動的な障害物回避機能が無効になっている間、ナビゲーションディスプレイ上に障害物との距離をリアルタイムで表示し、障害物が設定範囲内にある時にアラートが発動する(機体は自動的に障害物を回避しない)。
超広角ナイトビジョンFPVカメラ
超広角161° FOVのFPVカメラを搭載し、1/1.8インチ ナイトビジョンセンサー、3μmピクセルサイズ、最大1080p/60fpsのライブ映像を実現。昼夜問わずクリアで安定した映像を低遅延で伝送できるため、周囲環境の状態を確認しやすくなり、より飛行安全性が高まる。
映画撮影に使えるO3 Pro映像伝送&制御システム
Inspire 3のO3 Pro映像伝送システムは、伝送距離/遅延/全体的な安定性の面で、従来の伝送システムから大幅にアップグレードし、シングル制御モードでは最大伝送距離15km、デュアル制御モードでは最大伝送距離12kmを実現。
最大1080p/60fpsの安定した高画質ライブ映像をわずか90msの超低遅延で伝送する。また、今回初めて、最大伝送距離5kmの4K/30fpsライブ映像伝送にも対応した。
さらに、デュアル制御モードにも対応。2台の送信機がそれぞれドローンから映像を受信したり、ドローンを制御したりできるため、現場のパイロットとジンバルオペレーターは撮影現場内の別の場所でそれぞれの作業を行なうことが可能だ。
このほか、7インチ 1200ニト高輝度画面を搭載したDJI RC Plusも同梱し、強い直射日光下でもクリアな映像を確認しながら操作できる。RC Plusの内蔵バッテリーの駆動時間は約3時間18分で、ホットスワップに対応したWB37外部バッテリーを使えば、6時間まで駆動時間を延長可能だ。
送信機はHDMI出力ポートが備えているほか、前面、背面、上部にカスタムボタンやカスタムダイヤルを搭載。DJI Pilot 2アプリ(Inspire向け)もインストールされている。
DJI Proエコシステムに対応
3.5mmジャックを介したタイムコード同期に対応し、現場での高精度の制御を実現。複数のカメラで撮影した大量の映像を処理する必要があるとき、タイムコード同期を使えば、編集プロセスが大幅に簡略化され、効率的に作業できる。
また、1台の「RC Plus」と1台の高輝度遠隔モニターをペアリングして使うことができる。このモニターを使用することで、DJI Proエコシステムへのリンクが可能になり、「DJI 4Dハンドグリップ」や「DJI Master Wheels」といった製品を使うことができる。
これにより、「Ronin 2」と同等のジンバル制御体験を実現し、撮影監督にとって慣れた操作方法でジンバルを制御することが可能だ。さらに、「DJI 3ch Follow Focus」をRC Plusに接続することもでき、Zenmuse X9-Airカメラのフォーカスや絞りを調整できる。
発売時期と価格
6月末までに、公式オンラインストアおよび正規販売代理店より販売される予定。価格は「DJI Inspire 3 コンボ」が1,769,900円。
機体、Zenmuse X9-8K Airジンバルカメラ、RC Plus送信機、TB51 インテリジェントバッテリーx 6、充電ハブ、PROSSD 1TB、トロリーケース、折りたたみ式クイックリリースプロペラ(1組)×3、レンズ収納ボックス、RC Plus ストラップなどを同梱する。
製品情報
https://www.dji.com/jp/inspire-3
構成/立原尚子