外はすっかり暖かくなった。いや、暑くすらなっている。
これでようやく、寒さに苛まれることなくバイクに乗ることができる。もっとも、筆者の場合は年がら年中バイクに跨っているのだが、やはり気候は温暖であるに越したことはない。
極寒の中のバイク走行は、その最中に失禁してしまいそうだ。
今の季節はそんな心配もなく、思う存分バイクを走らせ……と言いたいところだが、バイクというものは突然のトラブルが発生しがちな乗り物でもある。
いざという時に重宝するのが「マルチツール」だ。この記事では、筆者が5年に渡って愛用している製品について説明したい。
銃刀法違反にならないマルチツール
岐阜県関市のプレス加工会社ツカダの『Key-Quest』という製品がある。
これはプルタブ起こし、栓抜き、マイナスドライバー、ナット回し、カートンオープナー、糸切りの計6機能を集約したマルチツールだが、その見た目は家の鍵のようだ。
少なくとも、我々が漠然と想像する「マルチツール」とはかなり異なる。
要は「ナイフがない」ということだ。
厳密には糸切りの部分に4mmの刃がついているが、これはナイフとも言えないごくごく小さなもの。Amazonの該当ページにある説明には、
国内線の機内持ち込みが可能!! 刃が奥まったところについているため、銃刀法にも抵触しません!
と、ある。
そしてこの記事を書いている最中、日本ではとんでもないことが起こってしまった。岸田文雄首相が襲撃されたのだ。和歌山市の漁港の一件である。
逮捕された容疑者は、刃渡り約13cmの果物ナイフを所持していたという。「ナイフを携帯している者は危険人物だ」と主張する気は全くないが(そもそも、ナイフは武器ではなく生活用品)、この件で全国の警察が一般人の所持品に目を光らせるようになることは間違いないだろう。
広島で開催されるG7サミットも、大いに関係している。この時期、いくらツーリングに必要な道具とはいえナイフ付きのマルチツールを携帯できるのか……と聞かれれば、頭を抱えざるを得ない。
が、鍵と大差ない形状の『Key-Quest』なら安心してポケットの中に忍ばせることができるはずだ。