アゴアシとは、主に芸能界で使われている言葉です。意味は『食費・交通費』で、ビジネスシーンでも使われることがあります。『アゴアシはどうなってる?』などと聞かれたとき、すぐに反応できるようにしておきましょう。アゴアシの意味や例文を紹介します。
アゴアシとは?
ビジネスパーソンなら『アゴアシ』という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。アゴアシの意味を見ていきましょう。
食費と交通費の意味
『アゴ』は飲食代、『アシ』は交通費を指します。すなわち『アゴアシ』とは、飲食代と交通費を合わせた代金の意味です。
アゴが飲食代なのは、食べるときにあごを使ってかみ砕くため、アシが交通費なのは、移動するときに足を使って動くためです。もともとアゴアシは寄席芸人に支払う手当を意味していたといわれ、『アゴアシ付きの仕事は割がよい』と好まれていました。
現代でも芸能界では頻繁に使われているほか、ビジネスパーソンが使うことも珍しくありません。例えばアゴアシを使った例文として、以下のものがあります。
- アゴアシ付きの出張とはうらやましい。
- ××さん、○月△日の講演を受けてくれるそうです。アゴアシの手配をお願いします。
アゴアシは、接待的な意味で使われるケースが少なくありません。また場合によっては飲食代と交通費だけではなく、宿泊費まで含むケースもあります。
「アゴアシマクラ」ということも
『アゴアシマクラ』は、飲食代・交通費・宿泊代の意味で使われます。就寝するとき、枕に頭を横たえて眠ることから、枕が宿泊費を表す隠語となったとするのが一般的です。
相手から招待を受けて出向く場合、飲食代・交通費・宿泊代のどこまでを出すかは相手次第です。相手が全て面倒を見てくれる気前のよい人であればアゴアシマクラを期待できます。
一方、相手の接待が不十分な場合は、『アゴマクラ』『アシマクラ』あるいは『アシのみ』などというケースもあるでしょう。
アゴアシの使い方と例文
アゴアシは、ビジネスパーソンの間でも頻繁に使われます。アゴアシの使い方や例文を確認しておきましょう。
アゴアシ代
飲食代と交通費を合わせて『アゴアシ代』というケースもあります。またそれぞれが単独で支給される場合は『アゴ代』『アシ代』などと分けていうのも一般的です。
例えば飲食代や交通費がかかる仕事を任された場合、『アゴアシ代は誰が負担するのですか?』と確認します。
また、飲食代・交通費を確認したい場合は『今回の仕事ではアゴ代は出ますか?』『合同イベントでは、アシ代はどちらの負担ですか?』など尋ねればよいでしょう。
アゴアシ込み
『アゴアシ込み』というときは、飲食代と交通費が1セットで含まれているという意味です。仕事で団体や個人を招待するときなどには、アゴアシ込みということで『待遇がよいこと』をアピールできます。
例えばイベントに劇団を招待するとき、『アゴアシ込みで面倒見ますので』などというと喜ばれます。劇団は人数が多く、遠距離のイベントにかかる飲食代や交通費が高額になる傾向です。飲食代も交通費も不要な『アゴアシ込みの仕事』は、好待遇な仕事と考えられています。
また自分がどこかに招待される場合は、『アゴアシ込みなら検討してもよいですよ』などと交渉することも可能です。
アゴアシマクラ付き
『アゴアシマクラ付き』というときは、飲食代・交通費・宿泊代が付いているということです。
『アゴアシ』だけでも、宿泊代が含まれているケースは多々あります。ただし確実ではないため、確認が必要です。宿泊代が含まれているか否かを知りたいときは『アゴアシマクラ』を使いましょう。
例えば『その報酬金額は、アゴアシマクラ付きですか?』と聞けば、報酬金額に飲食代・交通費・宿泊代の全てが含まれていると分かります。一方『アゴアシマクラ付きなら、考えます』といえば、『飲食代・交通費・宿泊代を出してくれ』という明確なアピールとなるはずです。
このほか接待で使われる用語
アゴアシは接待のときなどで頻繁に使われる用語です。このほかの接待で使われる用語についても、理解を深めておきましょう。
ごちそう
ごちそうは、相手をおもてなしするときに使う言葉です。食事の後に『ごちそうさま』などということもあり、日常生活になじみが深いといえます。
ごちそうは『ご馳走』と書き、本来は『馬で走り回る』という意味です。物流が今ほど発達していなかった昔、人々はおもてなしのための食材を馬で駆け回って集めていました。大変な苦労をして人をもてなす様子から、『馳走』という言葉に『もてなす』の意味が含まれるようになったといわれています。
なお現代でごちそうというときは、もてなすという意味のほか『贅(ぜい)を尽くした素晴らしい食事・料理』そのものを指すときにも使われます。
大盤振る舞い
大盤振る舞いとは、たくさんのごちそうを気前よく振る舞うことです。また、高価な物を景気よく人に与えるときも『大盤振る舞いだね』などといわれるでしょう。
大盤振る舞いの『大盤』は、もともと『椀飯(おうばん)』と書くのが一般的でした。椀飯とは、椀に高く盛られたご飯です。
平安時代の宮中行事では、豪華なごちそうを椀飯とともに振る舞っていました。時代を経てこの習慣が広く庶民にも伝わり、『椀飯振舞』が『気前よくおもてなしをすること』という意味になったといわれます。
椀飯が大盤になったのは、江戸時代以降とするのが一般的です。庶民に椀飯振舞の習慣が浸透するにつれ、『椀飯』と『大盤』が混同されるようになりました。やがて椀飯よりも大盤の方が定着し、今では『大盤振る舞い』と書くことがほとんどです。
構成/編集部