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アップルが米国で発表した年利4.15%の預金サービスが金融業界に与えた衝撃

2023.04.19

 米Appleが2023年4月17日(米国時間)に、年利4.15%の預金サービスを開始した。同社が手掛けるクレジットカードサービス「Apple Card」の利用者向けのサービスで、米国の大手銀行ゴールドマン・サックスの預金口座と連携したものである。サービスが利用できるのは米国の居住者で、日本のユーザーは同日現在、利用することはできない。

預金の預け入れ上限は、米国での預金保険の保護対象である25万米ドルが上限となっている。

Appleは、年利4.15%という金利に対して、全米の普通預金金利の10倍以上の金利であるとしている。サービスの内容含め、既存の商業銀行に対して一石を投じた格好だ。

なぜAppleは預金サービスに乗り出したのか。高金利と言わざるを得ない年利4.15%を実現できるのはなぜか。本記事でまとめた。

米国の政策金利(4.75%~5.00%)相当で預金を運用できれば年利4.15%は不可能ではない

 顧客から預金を集めた銀行は一般的に、企業などに資金を貸し出したり、国債などの金融商品に投資したりして、運用することで収益を得ている。その収益の一部を顧客に利息として支払う仕組みだ。

 集めた預金を、一番リスク低く運用するためには、国債への投資が行われるのだが、米国の場合、その国債の金利の基準になるのは政策金利である。正確にはFF(フェデラル・ファンド)金利と言い、米国の市中にある銀行と中央銀行との間で預金を貸し借りするときに適用する金利である。

 2023年4月18日現在で、米国の政策金利は4.75~5.00%である。米国では、コロナ禍の対策のために、市中のお金の流通量が多くなり、インフレが起きた。これを抑えるために、米国が政策金利を上げてきて今の金利になった。ちなみに日本の政策金利はマイナス0.1%である。

 運用先として投資できる米国国債の金利を見てみよう。

■米国国債の金利(満期別)

引用元:Investing.com(https://jp.investing.com/rates-bonds/usa-government-bonds
国が投資家から借金をする国債には、期間(満期)が定められている。例えば、3か月ものの米国国債の利回りは、約5.17%となっている。

単純計算で、Appleの預金サービスに預けられた資金をこの国債で運用すれば、預金者に利息を支払いつつ、Apple側も利益が得られる計算になるのだ。

実際には、預金は出し入れが自由であるため残高が毎日のように変動する。運用する国債の満期が来たら別の国債に投資をし直す。国債の金利自体も変動する。などの制約やコストがあるため、この方法だけで利益が得られるとは言い切れないが、年利4.15%の預金サービスが非現実的ではない理由だ。

■ゴールドマン・サックスが手掛けるデジタルバンキングサービス

引用元:Marcus(https://www.marcus.com/us/en)
ゴールドマン・サックスが米国で手掛けているデジタルバンキングサービス「Marcus」では、年利3.9%の金利が得られる預金サービスである。アップルの預金サービスと直接関係はなさそうだが、同預金サービスはゴールドマン・サックスの口座を利用するため、仕組みやノウハウが使われているとみられる。

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