DIME MAGAZINE
最初にやるべきは、どのリーグ優先かの絞り込み
最小コストで納得いく視聴環境を整える場合、第一にやるべきなのは、「何を優先するかの絞り込み」だろう。
「Jリーグや日本代表がマスト」という人はDAZNは必須だし、「プレミアリーグやブンデスリーガなどの日本人選手を必ず見たい」「最高峰リーグの動向をチェックしたい」「アーセナルやマンチェスター・シティ、バイエルン・ミュンヘンのファンである」といった人は各国リーグを必ず視聴できるSPOTV、スカバーへの加入を最優先に考えるべき。一番料金の高いDAZNを削ることができるのなら大助かりである。
ただ、扱っているリーグや試合の数、スポーツのジャンルの幅広さを考えると、どうしてもDAZNは止めづらい。ならば、DAZNは維持して、プレミアとブンデスはABEMAの無料放送だけを視聴するという手もある。
ABEMAが有難いのは、三笘のゲームを継続的に見られること。4月も27日のノッティンガム・フォレスト、29日のウルバーハンプトンの2試合が無料視聴可能だ。
ドイツに関しても、鎌田大地（フランクフルト）と堂安のゲームが無料中心だ。今後も4月23日のフライブルク対シャルケ戦、4月29日のケルン対フライブルク戦、同日のフランクフルト対アウクスブルク戦の2試合が無料。少なくとも今季終了までは同じような形が続くと見られるだけに、5月のラストまでは現状維持でもいいかもしれない。
ABEMAの無料放送は多くのサッカーファンにとって心強いが…（画面より）
ただ、問題はその先だ。それぞれのリーグの放映権がどこに移るか分からないため、その動向を待って判断するしかないのだ。
今後、ABEMAの無料配信も縮小、あるいは終了する可能性が高い。今季、彼らが三笘、鎌田、堂安の試合を無料配信し続けたのは、カタールW杯の熱気維持と同時に、サッカー視聴習慣を多くの人に根付かせたかったからだ。その役割が今季限りで終わったと判断すれば、来季からはプレミアム一本化という可能性も否定できないのだ。
今、日本サッカー界の注目すべき選手は三笘だから、彼の試合を課金するのは現実的な話。もちろん三笘が来季もブライトンにとどまるのか、他のビッグクラブに移籍するのかにもよるが、動向次第では完全有料でしか見られないということもあり得る。今夏の移籍が確実な鎌田にしても同様だろう。
今の時代はサッカーのみならず、スポーツ全体が有料チャンネルのコンテンツと化している。大谷翔平のエンゼルスの試合にしても、NHK・BSを筆頭にABEMA、Jスポーツ、UNEXTで放送している状況なのだから、何かしら加入しなければ見られないというのが実情だろう。
となると、次世代を担う子供たちの関心を引くのは難しくなる。無料視聴環境を多くし、広く普及を図っていくことができれば一番いいが、放映権料の高騰でそうもいかない。ゆえに、我々視聴者は「優先順位」をしっかりつけて、払う金額の上限を設けなければいけない。それこそが、サブスク時代の賢い乗り切り方と言える。
日本人選手が一番多いブンデスリーガも捨てがたい（画面より）
＜各放送・配信の概要＞
DAZN（https://www.dazn.com/ja-JP/home）…3700円（税込）・年間3万円（税込）。視聴デバイス2台・登録デバイス5台、配信のみ。サッカーはJリーグ全試合、AFC主催大会、リーガ、セリエA、リーグアン、ベルギー、ポルトガル、DFBポカール、FAカップ他
WOWOW（https://wod.wowow.co.jp/）…2530円（税込）。テレビと配信。サッカーはUEFAチャンピオンズリーグ、ヨーロッパカップ、リーガ。映画やドラマも並行してみたい人にはお勧め
スカパー（https://streaming.skyperfectv.co.jp/）…2480円（税込）。テレビは一部、他は配信でカバー。サッカーはブンデスリーガ、ルヴァンカップ、天皇杯、高円宮杯など。アクセス集中時は視聴環境が悪化するのが難点
SPOTV（https://www.spotvnow.jp/intro）…1300円（税込）・年間9900円（税込）。配信のみ。サッカーはプレミアリーグ・スコットランド。新興メディアで今後の伸びしろはありそう
ABEMAプレミアム（https://abema.tv/）…960円（税込）。プレミア・ブンデスの無料放送の見逃し配信など。特殊カメラ映像など高度な技術を駆使した映像制作が特徴
Hulu（https://www.hulu.jp/）…1026円（税込）、配信のみ。サッカーはエールディビジのみ。主にドラマや映画を見たい人にお勧め
＊それぞれ無料体験やオンデマンド配信のみサービスなど違った選択肢もあり。詳しくは各HPをチェック。
取材・文／元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』（小学館）、『蹴音』（主婦の友）『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」（カンゼン）『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』（汐文社）ほか多数。
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