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景気後退のタイミングは今年後半か?過去の景気後退局面における株式のパフォーマンスとポートフォリオに及ぼす影響

2023.04.22

ディフェンシブな株式スタイルが勝者だが、小型株も無視できない

これまでの景気後退局面では、ディフェンシブ戦略がスタイルにおける勝者となりました(図表5)。

これは、投資家が強固なバランスシートと安定したキャッシュフローを有する優良な株式を避難先として求めたためと思われます。

同時に、投資家は、市場全体よりもリスクの低い最小分散戦略に投資しました。この分析に使用したその他の様々な株式スタイルの定義に関しては、図表6をご参照ください。

図表5:過去の景気後退局面では米国のディフェンシブ・スタイルが優位

図表6:株式スタイルの定義

一方、インデックスにおけるテクノロジー株の割合が増えたことで、過去30年間の景気後退局面において、グロース・スタイルはより高い収益を提供しています。

これらの企業は将来的に大きな収益を創出する傾向にあり、利下げによって、これら企業の将来キャッシュフローはより低いレートで割り引かれることになります。

対照的に、最もパフォーマンスの悪かったスタイルは小型株とバリューでした。バリューは、国債利回りの上昇と順相関であるため、金利の低下によって損失を被っています。

小型株は、景気後退局面には一般的にマイナスのリターンとなりますが、その終盤には大きく見直されます(図表7)。

これは、投資家が当初、小型株の収益回復を慎重に予想するものの、小型株は大手の競合他社に比べて金融緩和策の恩恵をより大きく受ける可能性があるためと思われます。

図表7:景気後退局面当初および終盤における米国株式スタイルの市場対比パフォーマンス

景気後退局面では不調なコモディティ

コモディティは通常、景気後退局面には下落圧力を受け、エネルギーや産業金属などは最もパフォーマンスが悪化するセクターですが、これらのセクターは経済成長の変化に最も感応度が高いことによるものです(図表8)。

これらのセクターはコモディティ分野において大きな比重を占めており、景気後退局面にはインデックス全体を引き下げることになります。

図表8:景気後退局面には殆どのコモディティ・セクターがマイナス

これに対して、金は景気後退局面には良好な結果を示す傾向にありますが、投資家が安全な避難先として触手を伸ばすためです。

同時に、金融緩和と実質金利の低下は通常、景気後退局面において金価格の支援材料となります。ただし、景気後退局面における米ドル高との綱引きになります。

これらの結果は、過去の米国の景気後退局面を基にしたものであり、現在世界最大のコモディティ消費国である中国が考慮されていないことを、はっきり申し上げておく必要があります。

例えば、中国は世界の銅消費量の半分を占め、世界2位の石油消費国となっています。

米国が今年後半、景気後退に入ると予想される一方、中国の成長は、ゼロコロナ政策による制限の解除により、力強く回復する可能性があります。

中国の回復はサービス部門が中心と考えられますが、これはエネルギー・セクターにとって支援材料となり、米国の景気後退による潜在的な影響を一部相殺する可能性があります。

まとめ

国債や一部の社債は一般的に、景気後退局面には良好なパフォーマンスを示しますが、コモディティ価格や株価は大きな損失を被ります。

ディフェンシブな株式セクターやスタイルもまた、パフォーマンス上の勝者となります。しかし、投資家は、景気後退局面の終盤における株式市場、特定の株式スタイルやセクターの反発を見逃さないように留意すべきです。

景気後退局面におけるFRBの緩和政策により、最終的には、経済や企業収益の回復期待が高まることとなります。

コモディティ、特に産業用金属やエネルギーなどのパフォーマンスは、概ね過去の景気後退局面において劣後しました。

ただ、金は安全資産への逃避の動きから恩恵を受けます。しかしながら、この歴史の教訓は、今年、力強く成長すると予想される中国の影響を考慮していません。

従い、コモディティに関する景気後退局面の筋書きは今回に関しては異なるものになるかもしれません。

景気後退のタイミングについては何の保証もありませんが、シュローダーは、今年後半に起こると予想しています。景気後退局面の当初数ヵ月間、まず投資家は自ずとディフェンシブな資産を求めるでしょう。

しかし、市場の見直しによる反発の機会を無視すべきではなく、景気サイクルの次の段階に移行するための準備をしておく必要があると思います。

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関連情報
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/intermediary/insights/

構成/清水眞希

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