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景気後退のタイミングは今年後半か?過去の景気後退局面における株式のパフォーマンスとポートフォリオに及ぼす影響

2023.04.22

アメリカ経済は大方の予想を超えて底堅く推移しているが、銀行セクターにおける最近の混乱により、景気は拡大に向かっているのか、後退に向かっているのか、についての議論が再燃している。

そんな中、シュローダー・インベストメント・マネジメントから、「景気後退がポートフォリオに及ぼす影響」と題したリポートが到着した。

今回のリポートでは、過去50年間のデータを基に、経済がマイナス成長となった際の様々な資産のパフォーマンスを分析しているので紹介していきたい。筆者はストラテジストのティナ・フォング氏。

安全第一、ただし市場における再評価を見逃さないこと

景気後退は、成長率の落ち込みやインフレの低下と見なされ、政策担当者は金融緩和や財政政策、あるいは度々その両方を行うように促されます。

投資家は通常、安全性の観点から国債や一部社債を選好します(図表1)。また、米ドルも、景気後退時、特に世界の他の地域における経済が米国経済より弱い場合は安全な逃避先と見なされ、買われる傾向があります。

それに対し、株式とコモディティは経済活動の急激な低下によって大きな損失を被ります。

一般的にリスク資産のパフォーマンスは、世界金融危機の際に生じた巨額の損失により、過去30年間の景気後退局面においてはさらに悪化しました。

図表1:過去の景気後退局面では国債がアウトパフォーム

米国株式は、景気後退局面に大体底値をつけていますが、その終盤には力強い反発を見せています。(図表2)

株式の回復は、割安となった株式のバリュエーションと、FRBの金融緩和策に支えられた将来的な経済活動や企業収益の回復に対する期待が組み合わされることによって、もたらされます。

過去の景気後退局面に生じた冴えないリターンを単純に見てしまうと、投資家は市場による再評価の機会を見逃してしまうことに留意すべきです。

また、これは景気後退局面における株式やスタイルへの投資にも関連しますが、次でご説明します。

図表2:景気後退局面の終盤では通常、株式と社債は上昇

過去の景気後退局面における株式のパフォーマンスはどうだったのか?

株式は通常、景気後退局面には調整しますが、米国では生活必需品やヘルスケアのようなディフェンシブなセクターは平均的に最も良好なリターンを提供しています(図表3)。

これは、経済が低下圧力を受けている際に、投資家はより高い収益性と、強固なバランスシートを有する企業を求めるためです。

一方、金融や資本財のようなシクリカルなセクターは、最もパフォーマンスが悪化する傾向にあります。

まず、セクターがディフェンシブかあるいはシクリカルかを定義する確実かつ不変なルールはないことにご留意ください。

ディフェンシブ・セクターは一般的に、市場に対するベータが低い、生活必需品、ヘルスケア、公益事業、および不動産といったセクターになります。

それに対して、シクリカル・セクターは通常、市場に対するベータがより高い、資本財、エネルギー、金融、情報技術(テクノロジー)、素材、一般消費財、および通信サービスといったセクターになります。

図表3:ディフェンシブ・セクターは市場全体やシクリカル・セクターに比べて好調に推移

しかし、景気後退局面に最もアンダーパフォームした、不動産や金融のような一部のセクターは、景気後退局面の終盤に大きく回復しています(図表4)。

金融、特に銀行は、預金者に支払う利息よりも高い金利で貸し付けること(いわゆる純利息収入)で利益を得ています。従い、銀行の受け取る純利息収入は金利の上昇と共に拡大します。

景気後退局面の利下げは収益力を弱めますが、緩和策は最終的に、イールド・カーブの再スティープ化、そして銀行の純利息収入の改善につながります。

その結果、景気後退局面の終盤には金融セクターのパフォーマンスは回復することになります。

図表4:景気後退局面当初および終盤の市場全体に対する米国株各セクターの平均リターン

結果として、一般消費財やテクノロジーといった、金利により敏感な一部のシクリカル・セクターのパフォーマンスでさえ、景気後退局面が終わる前に回復しています。

このような景気後退局面が終了する前の株式市場の再評価のように、これらのシクリカルなセクターは、市場が経済活動や企業収益の回復を当初低く予想していることから、利益を享受することになります。

一方、公益事業のようなディフェンシブ・セクターは、景気後退局面の初めにおいて底堅く推移する傾向にありますが、景気後退局面の終盤には損失を被っています。

シクリカル・セクターとして考えられている通信サービス・セクターのパフォーマンスもまた、景気後退局面に同様のパターンを示しています。

これは、2018年以前、同セクターがいわゆる「電気通信」として知られるディフェンシブなセクターに分類されていたことによるものです。

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