ソニーは、幅広い映像表現とシステムカメラとしての優れた操作性を実現するマルチフォーマットポータブルカメラ『HDC-5500V』、および『HDC-3500V』を2023年12月、7.4型フルHD有機ELパネルを搭載した新たなビューファインダー『HDVF-EL780』『HDVF-EL760』『HDVF-EL740』を2023年6月より発売する。
マルチフォーマットポータブルカメラ『HDC-5500V』、『HDC-3500V』(左から)
税込価格は『HDC-5500V』が約17,050,000円、HDC-3500Vが約14,850,000円(システム構成により価格は異なる)。そして7.4型有機ELカラービューファインダー『HDVF-EL780』が1,650,000円(税込)、『HDVF-EL760』が1,320,000円(税込)、『HDVF-EL740』は770,000円(税込)。
また、今回発売する『HDC-5500V』および『HDC-3500V』に標準搭載される、新開発の光学式可変NDフィルターユニットや、ビューファインダースライド機構を既存のHDCシステムカメラに搭載する追加オプションも併せて発売する予定だ。
発表に際して同社では、「本商品群の提供により、ソニーは、放送局やプロダクションなどの映像制作現場に向けて、コンサート、舞台、スポーツ、ドラマなどでのより幅広い映像表現や柔軟な撮影スタイルを提供するとともに、高品位なライブ制作環境をさらに拡大していきます」と述べている。
光学式可変NDフィルターを標準搭載(『HDC-5500V』、『HDC-3500V』)
フィルターの透過率を1/3から1/256まで、シームレスに調整が可能な光学式可変NDフィルターディスクユニットを標準搭載。透過率を連続可変できるため、透過率の変更時に物理的なフィルター枠の映り込みが発生せず、オンエアー中でもNDフィルターの透過率を自由に調整することができる。
本フィルターディスクユニットは、可変NDフィルターと効果フィルターを併用することができることに加え、スローモーション撮影時にも可変NDフィルターの利用も可能。
また、レンズの絞りと可変NDフィルターを連動制御させることで、明るさを一定に保ったまま被写界深度のみをシームレスに調整できる新機能も搭載予定だ。
本機能を活用することで、通常のシーンは深い被写界深度で中継し、得点シーンといった場面では浅い深度に切り替えてドラマチックな映像を演出したり、制作意図に合わせた効果フィルターを適用したりするといった、柔軟かつ新たな映像表現の実現に貢献でいる。
なお、本フィルターディスクユニットは、オプション『HKC-VND50』としても発売する。既発売のシステムカメラ『HDC-5000』『HDC-5500』『HDC-3500』『HDC-P50』に搭載可能で、既存のカメラシステムでも新たな映像表現を可能にするものだ。
可変NDフィルターユニット『HKC-VND50』
発売日:2024年予定
希望小売価格(予定):1,300,000円
4K 4倍速スローモーション撮影に対応(『HDC-5500V』)
オプションボード『HKCU-UHF50』を搭載した『HDCU-5000』と接続して使用することで、4K 4倍速スローモーション撮影に対応する。
4倍速の他、3倍速、2倍速のフォーマットも選択が可能だ。可変NDフィルターと組み合わせることで、シームレスな被写界深度調整とスローモーション撮影を同時に実現できるため、スポーツ中継などでより印象的な映像表現が実現する。
なお、本機能は、オプションボード『HKCU-UHF50』を搭載した『HDCU-5000』と接続して使用することで、既発売のシステムカメラ『HDC-5000』『HDC-5500』でも利用できる。
4K 4倍速プロセッサーボード『HKCU-UHF50』(『HDCU-5000』用)
発売日:2023年12月末予定
希望小売価格(予定):1,800,000円
ビューファインダースライド機構搭載(『HDC-5500V』、『HDC-3500V』)
『HDC-F5500』(既発売)同様の大型ビューファインダーのスライド機構を標準搭載。これにより、任意のポジションでビューファインダーをカメラに固定することができる。
ビューファインダーを三脚の回転軸に近づけた位置で固定すると、操作の安定性が向上するだけでなく、撮影者が広い視野角で撮影することが行なえる。
また、カメラ本体と撮影者の立ち位置が近い撮影現場では、ビューファインダーを前にスライドさせることで、より見やすい角度での撮影が可能になる。
『HDVF-EL780』『HDVF-EL760』『HDVF-EL740』の主な特徴
新開発の7.4型フルHD有機ELパネルを搭載したビューファインダー。1920×1080の高解像度と高コントラストによる高い視認性および優れた動画応答性によって、動画のブレや残像も少なく表示できるため、さまざまな撮影シーンにおいて、正確なフォーカシングをサポートしていく。
また、HDC-5000シリーズ、HDC-3000シリーズなどとの組み合わせでは、カメラ映像のデジタル伝送に対応する。これにより、ビューファインダー本体からカメラ側のメニュー操作が可能になるなど、これまで以上にカメラとの連携が強化できる。
既存のカメラとの接続にも対応し、既存資産を含めた幅広いカメラシステムでの活用が期待される。
関連情報
https://www.sony.jp/professional/
構成/清水眞希