自己解決能力を高められるかどうかが成否のカギ
もちろん、本田圭佑や香川真司のように高卒でプロ入りして成功した選手もいるから、必ずしも大学経由の選手が全て成功するとは言い切れないが、三笘に関してはインテリジェンスを磨く最高の場になったと見ていいはずだ。
「大学時代の彼は無双していたわけではありません。でも目指すべき場所に辿り着くべく、ブレることなく自分のやるべきことをやり続けたのは確かです。今の環境で何をすべきかを考え、取り組んでいく『自己解決能力』は本当に際立っていた。そこが彼の最大の強みだと思います。
この1年間の飛躍には本当にビックリしていますが、言動含めていろんな人にリスペクトされる選手になってほしいですね。『日本代表のスターと言えば三笘』と言われるように成長を続けてほしいと願っています」
恩師からこう太鼓判を押された三笘。確かに遠藤航(シュツットガルト)にしても、ずば抜けた自己解決能力を備えていると湘南ベルマーレ時代のチョウ・キジェ監督(現京都)に言わしめていた。そこを育てることが一番の成功のカギなのかもしれない。
今や「野球は大谷翔平、サッカーは三笘薫」という声も高まりつつある。20代アスリートの理想像を言われつつある選手が歩んだ道のりから学べることは少ないはずだ。
取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。