徹底したドリブル練習と卒論の両面からドリブルをブラッシュアップ
もう1つ大きかったのが、卒業論文への取り組み。テーマは「サッカーの1対1場面における攻撃側の情報処理に関する研究」。ドリブルを仕掛ける選手の視線の位置や角度などが人によってどう違うかを分析するため、20人の選手の頭に小型カメラをつけ、データを蓄積。それを論文にするという難易度の高い経験をしたのである。
「ドリブラー20人が場所・距離・相手など全て同じ条件でやらないと研究データが取れないので、そこが大変だったと思います。DFは山川が担当していましたが、三笘なりに誰が何を見ながらドリブルを仕掛けているのか、自分とどう違うのかを突き詰めたと思います。
それが今の1対1のスキルアップに直接的につながったとは言い切れませんが、1つのプラス要素の1つにはなったのでしょう。
それ以上に、本人は1対1の練習を徹底的にやりこんだ。そこまでドリブル技術をアップさせようと必死にやる選手はなかなかいません。自分のトレーニングと客観的なデータの両方があって、今の彼なのかなと感じます」(小井土監督)
このように多様な角度から自分自身を見つめ、世界レベルに到達する術を考え抜いた4年間があったから、三笘は2020年に川崎入りした後、急激な成長曲線を描くことができた。やはり大学4年間というのは意味あるものなのだ。
存在感をグングン高めている三笘。今や日本のスターだ(筆者撮影)