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不動産業界でDXが加速、入居者も管理者もメリットが多い賃貸物件のスマートホーム化

2023.04.18

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

賃貸住宅でスマートホーム化を実現しているRobot Home

管理している2万6103戸のうち約4割(1万509戸/2022年12月末時点)に、オートロック、IoT機器標準搭載した賃貸住宅を提供している「Robot Home」では、IoTプラットフォーム「Residence kit」を軸とした賃貸マンションのデジタル化、不動産DXへの取り組みを推進している。

「Residence kit」は入居者、オーナー、メンテナンス業者、仲介業者とすべてのプレイヤーを賃貸管理の基幹システムにつなげて、シームレスに管理運営ができるプラットフォーム。AI、IoTを活用し、入居者も管理者の双方で効率化を図れる。

入居者と管理会社をアプリでつなぐ「Residence for Customer」は賃貸管理の基幹システムにつながっており、ごみの出し方、室内の傷、画鋲使用の可否など、些細な困り事や相談でもチャットで伝えればすぐに管理チームが対応する。生活動線上に必要な機器がインターネットでつながっている利便性から、入居者のアプリ利用率は非常に高くなっている。

入居者はスマートフォンにkitアプリをダウンロードし、アカウント情報を登録すれば、住設機器、手持ちのIoT製品を紐づけて、kitアプリにて操作が可能になる。Amazon Echoでの音声操作も可能。

〇エントランスシステム

アプリで操作可能なエントランス(集合玄関)はパナソニックとの共同開発。エントランスから呼び出しがあると、セントラルコントローラーやkitアプリに通知。アプリから遠隔で応対、施錠が可能で、外出先からでも訪問者を確認でき開錠できるため、家族や宅配業者の来訪に活用でき、「物流2024問題」で課題となっている再配達の防止にも役立つ。個別玄関もスマートロックで、ICカード、テンキー、kitアプリに対応、物理カギでも開錠できる。

〇室内IoT

Bluetooth製品、Wi-Fi製品に対応しているkitアプリでは、アプリひとつで部屋のすべての家電を操作できる。学習リモコンでは室内環境のデータを取得し、スマホからテレビやエアコンの操作が可能で、アプリがなくても赤外線リモコンで操作できる家電なら学習リモコンを活用すればIoT化できる。

空気清浄機やロボット掃除機等、入居者が持ち込んだ家電についても追加することでIoT化が可能。従来のIoT機器は製品のアプリをインストールして、使うときに製品のアプリを立ち上げる必要があるが、kitアプリではひとつのアプリで一元化できる。

窓に付いているタグセキュリティ装置は、窓の開閉、振動を検知して外出中でもkitアプリに通知する。窓を開けたまま外出してしまったときや、防犯対策としても役立つ。

【AJの読み】IoT標準装備の賃貸物件は付加価値として入居率も高い

マンションや戸建に関してはスマートホーム化が進んでいるが、近年では賃貸住宅でのIoT標準装備が付加価値のひとつとして注目されている。Robot Homeが管理している物件では、入居率が97.4%(2023年3月末時点)と高い入居率を維持。1つのアプリで様々な機器を操作できることに加え、セキュリティの面でも安心感があることから単身層の人気が高い。

ごみ出しや騒音、住設機器の不具合など住まいにおける困り事も、電話ではなくチャットで気軽に相談できるというのも居住者にとってはうれしいところ。

エントランスや個別玄関がIoT化されていると心配なのが締め出しだが、締め出しを防止するために暗証番号の登録を推奨している。また、外出時はスマホのバッテリー切れや故障、ICカードの紛失も想定し、同社では物理カギも携帯してほしいとのこと。住まいを便利にIoT化しても、出かけるときはカギを忘れずに、ということだろう。

文/阿部純子

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