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安さが魅力のはずなのになぜ!?バーガーキング、サブウェイが打ち出した超高級メニュー戦略

2023.04.15

ファストフードチェーン店での消費金額は一体どれくらいが一般的だろうか。500円くらいだろうか、それとも700円だろうか。いや、近年の原材料費の高騰などを鑑みると800円かもしれない。少し古いデータにはなるが、平成20年に農林水産省が行なった「外食産業に関する基本調査」ではファストフード店を「来客1人あたりの消費金額が700円未満で、料理提供時間がおおよそ3分未満のもの」と定義している。いずれにしても概ね、700~800円程度というのが私たちの肌感覚に近いだろう。

だからこそ、もしファストフードチェーン店で1000円越えのメニューに出会ったら「高級」という感想を抱くに違いない。しかもそれがセット価格ではなく、単品価格であればなおさらである。「なぜこんな高級メニューが販売されているのだろう。一体、だれが買うというのだ」と思わずにはいられない。実は今、私たちのよく知るファストフードチェーン店でこうした高級メニューが販売されているという。なぜ、「安さ」が魅力のファストフードで安さを捨てた高級メニューを販売するのか。その理由を探ってみた。

ケース① バーガーキングの場合
高くても美味しければ消費者に受け入れてもらえる

バーガーキングの看板商品と言えば、やはり『ワッパー』(単品価格590円)だろう。ふっくらとしたバンズに肉厚なパテと新鮮な野菜を豪快に挟んだボリューミーな逸品だ。正直、『ワッパー』を食べると他のハンバーガーが少し物足りなく感じる中毒性もある。ボリューミー過ぎて、半分サイズの『ワッパーJr.』(単品価格400円)ですら十分な満足感を得られる程である。安い、デカい、旨いの3拍子がそろった正にファストフードの王道のような商品である。

ところが、バーガーキングが今年3月31日に発売を開始した新作バーガー「ビッグマウス」シリーズはこの王道から外れたものである。

『ベーコンブースター ビッグマウスバーガー』。ビーフパティ2枚とスモーキーなベーコンを8枚使用。食べ応え抜群の本格バーガー。

『チーズ&チーズ ビッグマウスバーガー』。ビーフパティ3枚に4種類のチーズを贅沢に使用した、濃厚な味わいの本格バーガー。

直火でじっくり焼いた100%ビーフパティを使った『ベーコンブースター ビッグマウスバーガー』『チーズ&チーズ ビッグマウスバーガー』は、ともに単品価格1490円と1000円の大台を軽々と超えている。さらにセット価格は1790円と2000円の大台が目前に迫っているのだ。

なぜ、このような価格帯のハンバーガーを販売しているのか。バーガーキング広報担当者に話を聞いた。

「『ビッグマウス』シリーズの他に、これまでも2019年に発売した『ワンパウンドビーフ』シリーズの『ワンパウンドビーフ(ビーフパティ4枚)』(価格:単品1180円、セット1120円)を皮切りに、1000円越えのハンバーガーを発売してきました。中でも2022年に販売した単品1390円の『ディアブロ・ガーリックダブルチーズバーガー』は2022年に発売した期間限定バーガーで売上No.1を記録しております。

我々のミッションは、直火焼きの100%ビーフパティを使用した本格バーガーをより多くの方に食べていただき『本物のバーガーのおいしさ』をご体験いただくことです。商品開発段階から『価格の高いバーガーを作ろう』と考えているのではなく、『お客様に満足いただける本当においしい、本物のバーガーを作ろう』という想いで新商品開発をしております。皆さまに満足いただける本当においしいバーガーを開発した結果として、高価格帯のバーガーの発売に至っております。

『ディアブロ・ガーリックダブルチーズバーガー』のように、本当においしい物は、高額でも購入いただけるということがわかり、バーガーキングのこだわりが間違っていなかったと実感しております」

外食産業において、低価格競争は日常的に行なわれている。それはファストフード業界においても例外ではない。そのような中、でバーガーキングは結果として低価格競争とは真逆の戦略を取り、なおかつ成功に繋げているのだから面白い。価格の高さをねじ伏せるだけの“旨さ”と“満足感”を提供できるバーガーキングならではと言えるだろう。

「もちろん、我々もお得さや手軽さも重要だと思っております。この3月にはセットメニューを『オールデイキング』とリニューアルしてさらにお得になっています。バーガーとフレンチフライ、ドリンクのお得なセットがどの時間帯、平日も休日もお買い求めいただけます。今後も本格的でおいしい本物のバーガーをご提供すること目的に、様々な新商品の開発・発売を計画しております。続報にぜひご期待ください」

ケース② サブウェイの場合
自然発生的に生まれた高級“裏”メニュー

パンや野菜を自由にカスタマイズでき、自分好みのサンドイッチを注文できることが魅力のサブウェイでは、この魅力を有効活用(?)した少し変わった高級メニューが存在する。その名も『デストロイヤー』だ。

サブウェイを日常的に利用しているユーザーでも「あれ?そんなメニューあったかな?」と思うに違いない。実は『デストロイヤー』は東京大学工学部2号館店(東京文京区)限定で販売をしているサブウェイの高級“裏”メニューなのである。

『デストロイヤー』。『ローストビーフ~プレミアム製法~』をベースにローストビーフを5枚トッピングしている

東京大学工学部2号館店では『デストロイヤー』のオリジナルメニューが掲示されている。

日本サブウェイ広報担当に話を聞くと、「この裏メニューには面白い誕生秘話がある」と快く取材に応じてくれた。

「サブウェイのグランドメニューの一つ『ローストビーフ~プレミアム製法~』に、ローストビーフをトッピングした、見た目も食べごたえもゴージャスな商品です。『デストロイヤー』には4段階バリエーションがあって、『デストロイヤー』『キングデストロイヤー』『ゴットデストロイヤー』『インフィニートデストロイヤー』となっています。それぞれトッピングするローストビーフの枚数が5枚、10枚、15枚、20枚となっています」

しかし、このメニューはサブウェイが主導で開発したものではないと続けてくれた。

「『東京大学工学部2号館店』では、定期的にスタンプカードを配布しており、スタンプが貯まるとサンドイッチ1個が無料になるという特典があります 。ある日スタンプが貯まった一人の学生さんが来店し、一番価格の高いローストビーフのサンドウィッチを注文した上で、さらにローストビーフをトッピングしました。あまりに豪華なボリュームだったので、周りのお客様たちやスタッフも『これはすごい!名前をつけて販売しよう!』と盛り上がり、東大店限定メニューとして商品化することになりました。詳しい誕生時期は不明なのですが、2012年にテレビ取材を受けているため、それ以前から販売しているのは確かです」

『デストロイヤー』がグランドメニューとして全国デビューする予定はないのだろうか。

「東大の中で生まれた商品であり、東大の店舗で受け継がれていってほしいので、グランドメニューに入れる予定はありません。ただ他の店舗でもご注文は可能ですので、興味のある方はぜひお試しください」

注文方法は至ってシンプルだ。『ローストビーフ~プレミアム製法~』にローストビーフをトッピングするだけでいい。「デストロイヤー」がローストビーフ+5枚「キングデストロイヤー」が+10枚「ゴットデストロイヤー」+15枚「インフィニートデストロイヤー」は+20枚だ。

サブウェイは裏メニュー『デストロイヤー』シリーズを除いては、高級メニューを展開していない。ファストフードの高級メニューというものにビジネスチャンスは感じないということなのか尋ねたところ、「いえ。ニーズが大きければ、いつでもチャンレンジしたいと考えております」との答えが返ってきた。今後も、ファストフードチェーン店の生存戦略に注目していきたい。

取材・文/峯亮佑

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