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新NISA、相続税、インボイス、令和5年度税制改正で会社員の生活はどう変わる?

2023.04.13

令和5年度税制改正の大綱が、2022年12月23日に閣議決定された。今回の改正の背景は、家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげることを目的に、NISAの抜本的拡充・恒久化、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化するための税制上の措置が取られた。その他、相続税やインボイス制度関連の改正もある。

今回は令和5年度税制改正大綱について有識者の解説の下、中小企業や会社員の立場にとってどのような変化があるのか、主要なトピックスについて紹介する。

NISA等の拡充

今年2月、税理士・公認会計士事務所およびその顧問先企業向けの業務用アプリケーションソフトを提供するミロク情報サービス主催で、令和5年度税制改正大綱の中身に対して、税務のエキスパートが税制改正を独自に解説するセミナーを開催された。中小企業や会社員が気になるトピックスとしてNISA等の拡充、相続税の見直し、インボイス実施への対応の3点について取り上げられた。

税務のエキスパートとして登壇した税理士で、MJS 税経システム研究所 税務システム研究会 顧問の植田卓氏は、まずNISA等の拡充について、「国民のポテンシャルを最大限引き出すための大胆な資金フロー」と述べた。

●NISA制度の抜本的拡充・恒久化

財務省「令和5年度税制改正(案)のポイント」

少額からの投資を非課税で行える「NISA」は、従来、「つみたてNISA」と「一般NISA」いずれかの選択式だった。つみたてNISAの場合、非課税保有期間は最長20年間で、口座開設可能期間は2018年~2037年であった。一般NISAの場合、非課税保有期間は最長5年間で、口座開設可能期間は2014年~2023年であった。

そのNISA制度が今回の税制改正で恒久化した。2024年1月以降、非課税保有期間を無期限化するとともに、口座開設可能期間については期限がなくなった。

つみたてNISAは「つみたて投資枠」、一般NISAは「成長投資枠」と名称が変わり、選択式ではなく、併用可能となった。つみたて投資枠も成長投資枠も、非課税保有期間と口座開設可能期間が期限なしとなった。

その他、年間の投資上限額が、つみたて投資枠については120万円に拡充、成長投資枠については240万円に拡充。一生涯にわたる非課税限度額が新たに設定され1,800万円となり、成長投資枠については、その内数として1,200万円が限度となった。

植田氏はこの改正を受けて、次のようにアドバイスする。

「株式は、必ず儲かるものではなく損が生じる場合も多くあります。NISAで株式を運用すると、その譲渡益と配当金はすべて非課税になる代わりに、譲渡損失が出ても切り捨てられてしまいます。NISA以外の口座での運用と比べると、不利な扱いとなります。なぜなら、通常、損失が出た場合に、複数の口座間で利益と損失を相殺することができますが、NISAの損失と他の口座の損失とは通算ができないからです。したがってNISAの非課税保有限度額の範囲内で運用する場合は、できるだけNISAに運用を集約するほうがいいでしょう」

●スタートアップへの再投資に係る非課税措置の創設

財務省「令和5年度税制改正(案)のポイント」

スタートアップ企業に対する再出資について、非課税措置が創設された。自分の持っている株式を処分して、自己資金によって創業を行ったり、ベンチャー企業に投資するエンジェル投資家がプレシード・シード期のスタートアップ(※)企業への再投資を行ったりする際に、株式を処分をすると譲渡益が出る場合があるが、20億円分は非課税となった。

※プレシード・シード期のスタートアップとは
現行エンジェル税制の対象企業である未上場ベンチャー企業のうち、(1)設立5年未満、(2)前事業年度まで売上が生じていない又は売上が生じているが前事業年度の試験研究費等が出資金の30%超、(3)営業損益がマイナス、等という状況であること。

植田氏は、スタートアップ創業時代のように一番資金が要るときに出資すれば20億円まで非課税にするという、かなり大きな優遇措置と指摘。これまでは国内でこのような優遇措置はなく、20億円という額は米国を上回るという。

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