■連載/コウチワタルのMONO ZAKKA探訪
今回紹介するのはスイスの時計メーカー・モンディーン社が製造販売していた懐中時計『Pocket Travel Alarm』である。
こちらの製品、残念ながら2023年4月時点ではすでに製造終了しており、私自身フリマサイトを通じて入手しているのだが、実に気に入っている製品で毎日欠かさず持ち歩いている。
製造終了している製品ということもあり店頭で目にすることは稀であるため、実際に使用して感じた点も踏まえてこの製品の特徴を紹介していこうと思う。
『Pocket Travel Alarm』とは?
『Pocket Travel Alarm』はスイスの時計メーカー・モンディーン社が製造販売していた懐中時計であり、残念ながら2023年4月時点では既に製造終了となっている。
モンディーン社からは類似の製品として、『Pocket Watch』と『Alarm Clock』が製造販売されている(もしくは、されていた)が、『Pocket Travel Alarm』は正にその両者を良い所取りした製品となっている。
つまり懐中時計としての携帯性を持ちながら、アラーム機能を有しているのである。
個人的にはこの製品こそ一番需要がある気がしているので、すでに製造終了となっている点が不思議であるし、勿体なく思っている。
『Pocket Travel Alarm』の特徴
◆文字盤はモンディーン定番のデザイン
私の認識ではモンディーンらしさと言えば「文字盤に数字を使用しない」「特徴的な赤の秒針」の2つである。
スイス全土3000カ所の駅に設置されている「スイス レイルウェイ ステーションクロック」がデザインされてから今年で79年目となるが、モンディーン社が1986年に受け継ぎ、腕時計へと姿を変えたのがこの文字盤のデザインである。
多くの国の人が行き交うスイスの駅においては、特定の国の人にしか読めない表記にするべきではないとの配慮から「文字盤に数字を使用しない」特徴が採用されたと言われる。
また、「特徴的な赤の秒針」は、デザインされた当時スイス国鉄の駅員が列車の発車を合図する際に使用していた発車灯をイメージしていると言われ、先端についている赤い丸のおかげで遠くからでも秒針の動きを確認することができるそうだ。
日本にいながら異国スイスの駅の情景が浮かんでくるようなこのデザインが私は昔から好きである。
◆懐中時計として携帯できるだけでなく、置時計としても使える折り畳み式スタンドが付属
本来のサイズは直径約40mm、厚さ約13.5mm、重量は約75gとなっている。
現在販売されている『Pocket Watch』と比べると1mmほどこちらの方が厚みはあるが、懐中時計として携帯するには何ら問題のないサイズである。
なお正面のミネラルガラスは緩くカーブを描いているため横から見ると平らというよりは若干膨らんだデザインとなる。
この『Pocket Travel Alarm』 の特徴は何と言っても置時計としても使える折り畳み式スタンドが付属している点である。
非使用時は本体に沿うように収納されているためデザイン性の観点からも非常によく出来ていると思っている。
スタンドの角度自体は1段階のみで調節することはできないが、元より視認性の高いモンディーンの文字盤である。多少の角度の違いは文字盤を読むことに支障を与えるものではなく、個人的にはこの角度で使いづらいと感じたことはない。
◆アラーム機能がついており目覚まし時計としても使用可能
今の時代、目覚まし時計代わりにスマホを使っている人はかなり多いのではないだろうか。かくいう私自身もそんな人間の一人である。
複数の時間を設定することができるし、分単位で細かい時間の設定ができるのもスマホでは当たり前である。
それでも是非ともアラーム機能付きのモデルが欲しくて私はこちらの『Pocket Travel Alarm』を購入した。表向きの理由は、同じ時計を使用するなら少しでも機能が多い方がいいではないかというもの。
しかし本当の理由は旅への憧れの気持ちからである。アラームの機能が付いている懐中時計を持っていることが、旅を愛する自分の価値観に合った行動のように感じて心地がよいのである。
この製品では本体上部にあるリューズを2段階引き出すと時間調節ができるが、1段階引き出すことでアラーム時刻の調節ができる。アラーム時刻を示すのは文字盤の上にある赤い矢印のついた針である。
そしてアラームのON/OFFを切り替えるのが11時の位置に付いているボタンであり、引き出すとONの状態となり、押し込むことでOFFの状態になる。アラームが鳴った際もこのボタンを押してアラーム音を停止する。
『Pocket Travel Alarm』を購入するには?
『Pocket Travel Alarm』の定価は29,000円(税別)であったが、冒頭でも触れている通り2023年4月時点ではすでに製造終了となっており、店頭で新品を見つけることは難しい状況だ。
基本的にはフリマサイト等を通じての購入になると予想するが、フリマサイトを通じて購入する場合、購入する製品がきちんと稼働するかの保証はないため、その点は個人の責任で判断してもらうことになる。
フリマサイトでは根気よく探していると数カ月おきに出品されている製品であるので、気になった人は探してみるとよいだろう。
ちなみに私はフリマサイトを通じて税込み・送料込み8,700円(ジャンク品扱い)で購入しているが、本体のみの受け取りでチェーン、説明書、外箱等は無しの状態であった。
また、出品者が電池交換を行った際に容量の小さい電池を入れたためにアラーム音がならない状態となっており、点検・電池交換を行った関係で追加で5,000円程度かかっているが、それでも良い買い物ができたと満足している。
文/Wataru KOUCHI
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