仕事時間のミニマル化
スケジュールを組む時、〝主体的〟に動く時間を最優先にする
バリューイノベーション代表取締役社長
南 和繁さん
1976年生まれ。雑貨ブランド「abrAsus(アブラサス)」創業者兼デザイナー。現在、マレーシアと日本の2拠点生活を送る。著書に『「薄い財布」の社長が明かす ミニマリスト仕事術』。
自分のために使う時間を確保することがカギ
ミニマリスト御用達の『薄い財布』で知られるアパレルブランド、アブラサスの創業者である南和繁さん。現在は日本とマレーシアの2拠点生活の中で、アパレル、飲食、ホテル業と多様な事業を展開するビジネスパーソンだが、その活躍を支えるのが、徹底的にミニマル化した時間術だ。
「もともと仕事好きなので、かつては予定を詰め込む忙しい生活を送っていました。でも、ある時『他人の予定にとらわれて、自分のために使う主体的な時間がない』と気づき、生活を見直しました」
まず、南さんが実践したのは「自分が楽しくて喜びにつながる時間は何か」を考えること。
「目先の仕事に追われると、気づかぬうちに幸せを感じられる時間が失われて、満足感を得られない。僕の場合は子供たちと遊ぶ時間や自分のやりたいプロジェクトに向き合う時間が大切だったので、先にその時間を必ず確保し、そこにはほかの作業やアポを絶対に入れないよう意識しました」
最初は「これでは会社が回らないのでは」と不安もあったが、いざ実践すると、日々の満足度がどんどん上がっていったという。
「自分にとって重要な予定ややりたい予定は先延ばしにせずに時間や労力を集中させる一方、惰性で続けていた習慣などは最小限までそぎ落とす。すると1日のうちやりたいことが増えていって、日々が充実するようになりました」
それでは収入も減るのではと懸念も浮かぶが、南さんは「無理に成長する必要はない」と語る。
「無理な成長を目指すと、〝おもしろくないタスク〟も増えます。お金だけのために働くのはつまらない。仮に、思ったほど稼げなくても主体的に動ける状況をつくるほうが人生は楽しいし、自分が夢中になれることにリソースを割くと、自然と収入もついてきます。実際、僕の場合も、成果が目に見えて表われるようになりました」
いきなりすべてを実践するのは難しくとも、まずは、やりたいことを増やし、やりたくないことを減らすところから始めてみたい。
南さん流・ミニマル仕事術の大原則
まずGoogleカレンダーに〝やりたいこと〟を入れる
多くの人は「他人との予定」を優先しがちで、やりたいことになかなか着手できない。「『映画を見る』『書店に寄る』など、日時を指定してカレンダーに入れて時間を確保すべき」
〝主体的〟な時間を確保する
やりたいことを予定に入れたら、できるだけ動かさない。「他人都合の予定ではなく自分が主体的に立てた予定は、達成した瞬間の満足度が高くて、人生が楽しくなります」
仕事を楽しむ・自分を大事にする
「時間は貴重。だからこそ自分のやりたいことやプロジェクトに費やすべき。重要ではない仕事を見直し、情熱を持てることの優先度を高めれば、毎日の充実度が変わります」