2022年4月より高等学校では「情報」が共通教科となった。そして、2025年度の共通テストより「情報Ⅰ」が試験科目に追加される予定だ。30~40代の世代が経験していない教科である「情報」の内容とは? そして来るべき科目「情報Ⅰ」の共通テストに向けて、どういった教育を子どもたちは受けることになるのか? 教育現場の最前線に立つ教員に、教科「情報」の内容やそれを取り巻く教育現場の実情について聞いた。
新たな受験科目「情報Ⅰ」とは?
2021年7月、文部科学省から通知された「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告」にて、大学入学共通テストに「情報Ⅰ」の科目が出題されることが正式に発表された。「情報」とは、2018年に改訂された高等学校の学習指導要領に基づき、2022年4月から必履修科目となった教科だ。30〜40代のビジネスマン世代が習うことのなかった教科「情報」とは、一体どういった内容なのだろうか。新渡戸文化高等学校の教員を務める、プロジェクトデザインチーフの勝田浩次さんが解説する。
「以前はプレゼンテーションの方法やメディアについてなど、情報社会におけるコミュニケーションに関することを学ぶ『社会と情報』と、プログラミングなどITに関する科学的な理解を深める『情報の科学』という2科目から選択する方式でした。改訂後はこれらが統合される形となり、2単位必履修の『情報Ⅰ』と2単位選択履修の『情報Ⅱ』へと変わりました」
具体的に「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」ではどういった内容を学ぶのだろうか。
「『情報Ⅰ』では、まず情報モラルなどのリテラシーや情報についての考え方を学びます。そして日常などで起こる問題の発見・解決を目標に、その手段としてプログラミングやデータの分析など様々なツールの使い方や考え方を身に着けていきます。『情報Ⅱ』はその発展型として、映像やWebサイトなどを複合させたコンテンツの制作やデータサイエンスなど、より深く情報に関する理解を深め、考え方を養います」
これを受けて、大学入試センターでは試作問題を作成、公開している。
「センター試験と同じマーク式の試験が想定されています。情報モラルやリテラシーなど基礎的な部分から、プログラミングや情報デザイン、データ分析に関する応用的な問題が出題される予定です。どれも共通しているのが『日常的な問題を解決する』ことを主眼としている点です」
ペーパーテストで実施されるため、出題範囲がプログラミングや統計処理など限定的な内容になってしまうことが懸念されると勝田さんは語る。
「当初はPCを用いた出題方式が構想として上がっていましたが、ペーパーテストでの出題となりました。そのため、情報デザインの中に含まれる、色の組み合わせや、デザインの良し悪しなどに関する出題が難しく、内容に偏りが生じてしまうことが懸念点です。しかし、現在推進されている一人一台の端末を用いるなど方法はあると思うので、いずれは解決するでしょう」
プログラミングの授業で扱われるプログラミング言語は学校によって異なる。そのため、共通テストでは独自のプログラミング言語を用いた設問が盛り込まれる予定だ。