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質の高い「低炭水化物ダイエット」で2型糖尿病患者の死亡リスクが低下する可能性、ハーバードT. H.チャン公衆衛生大学院研究報告

2023.04.13

質の高い低炭水化物食で2型糖尿病患者の死亡リスクが低下

炭水化物の摂取量を減らして他の栄養素の摂取量を増やすという「低炭水化物ダイエット」が、2型糖尿病患者の死亡リスクを低下させる可能性のあることが報告された。

ただし、炭水化物の代わりに何を取るかが重要であることも示された。米ハーバードT. H.チャン公衆衛生大学院のYang Hu氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」2023年4月号に掲載された。

米疾病対策センター(CDC)によると、米国内の糖尿病患者数は3,700万人以上であり、その大半は2型糖尿病。2型糖尿病は、血糖調節ホルモンであるインスリンに対する感受性が低下して発症する。

インスリン感受性の低下は肥満に関連して生じることが多く、その改善には食習慣の見直し、運動の励行、減量が基本となる。これらの治療戦略のうち、食習慣については近年、低炭水化物ダイエットによる減量および血糖改善効果が注目されている。

低炭水化物ダイエットは、ケトジェニック食(ケトン体を産生させるための厳格な糖質制限食)に比べれば負担なく続けやすい。

米国の2型糖尿病患者1万人以上を対象としたこの研究から、炭水化物の摂取量が比較的少ない人は多い人に比べて、約30年間の死亡リスクが低いことが分かった。

ただそれは、適度な量の炭水化物を食べており、かつ、野菜や果物、食物繊維の豊富な穀物、豆類を十分に摂取していた人に見られるもので、肉類や乳製品の摂取量が多い低炭水化物ダイエットの人では、そのようなメリットは認められなかった。

Hu氏は、「全ての炭水化物食品が同じというわけではない。特に糖尿病の人にとっては、精製された白パンなど、食物繊維の少ない炭水化物や砂糖などの単純糖質を避けることは理にかなっている」と話している。

Hu氏らは、医療専門職者を対象とする二つの疫学研究のデータを利用して、低炭水化物ダイエットと生命予後との関連を検討した。追跡期間中に2型糖尿病を発症した人1万101人(女性看護師7,224人と男性医療従事者2,877人)を含む集団で、30年以上の追跡中に4,595人の死亡が記録されていた。

研究参加者の食事スタイルに関しては、複数回にわたって実施されていた食事調査に基づき炭水化物摂取状況をいくつかの指標で評価した。

そのうちの一つは、炭水化物の総摂取量が少ないほどスコアが高いというもので、他の指標は、炭水化物から置き換える食品が動物性食品中心か、植物性食品中心かなど、低炭水化物ダイエットの質を評価するもの。

それらの評価結果と死亡リスクとの関連を解析すると、炭水化物総摂取量が少ない人の方が死亡リスクの低いことが分かった。

ただし、低炭水化物ダイエットの質の評価結果との関連を見ると、植物性食品中心の低炭水化物ダイエットをしている人では死亡リスクが有意に低く、動物性食品中心の低炭水化物ダイエットをしている人ではその関連が非有意だった。

具体的には、植物性食品中心の低炭水化物ダイエットらしさを表すスコアが10点高い場合に、全死亡(あらゆる原因による死亡)リスクが24%低いという関連があった〔ハザード比0.76(95%信頼区間0.71~0.82)〕。

この報告について、米国の栄養と食事のアカデミーのスポークスパーソンであり、糖尿病療養指導士としても活動しているJulie Stefanski氏は、「低炭水化物ダイエットに関する研究ではあるが、この研究参加者の炭水化物摂取量はそれほど少ないわけではない。スコアが上位20%の人でさえ、摂取エネルギー量の約40%を炭水化物から摂取していた。これは、厳密な意味での低炭水化物ダイエットの定義をはるかに超える水準だ」と指摘。

それとともに、「糖尿病患者は炭水化物の摂取量に注意すべきであることは確かだが、栄養面で優れている植物性食品を十分に摂取するためには、その制限を緩やかにするという考え方も必要」と述べている。

またStefanski氏は、本研究の参加者の大多数が白人であり、高等教育を受けた高所得の医療従事者で占められていることに言及。「実臨床では、2型糖尿病患者の多くが、健康的な生鮮食品の入手が容易でない状況にある」という別の問題も指摘している。

そのような問題を抱えている患者に対する一つのアドバイスとして、「冷凍野菜を購入してストックしておくのも良い。例えば、卵にほうれん草を混ぜるだけで、ヘルシーな低炭水化物の朝食になる」と同氏は語っている。

なお、本研究からもう一つ重要な点が明らかになった。

Hu氏によると、植物性食品中心の低炭水化物ダイエットと死亡リスクの低下との間に最も強い関連が認められた集団は、タバコを吸わず、過度の飲酒をせず、習慣的に運動をしている人たちだったという。(HealthDay News 2023年3月20日)

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://diabetesjournals.org/care/article-abstract/46/4/874/148449/Low-Carbohydrate-Diet-Scores-and-Mortality-Among

Press Release
https://www.hsph.harvard.edu/news/press-releases/plant-based-low-carbohydrate-diet-linked-with-lower-risk-of-premature-death-for-people-with-type-2-diabetes/

構成/DIME編集部

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