職場で「〇〇の件は、今誰がボールを持っている?」のような表現を聞いたことがあるだろうか。この発言における「ボールを持つ」は、責任の所在を確認するための比喩表現だ。
本記事では、ビジネス用語として使われる「ボールを持つ」の意味や由来をはじめ、使い方や注意点、類義語や対義語を紹介する。この機会にぜひ、正しい使い方を確認しておこう。
ボールを持つとは?
まずは、「ボールを持つ」の意味と由来について確認していこう。
意味
「ボールを持つ」は、単純に手にボールを持っている状態を表す以外にも、責任の所在や仕事の担当者を確認するための例えとして使われることがある。
野球やサッカーの世界では、ボールを持つ選手がその瞬間において責任重大なポジションとされることから、責任の所在や実権を握っている人物を確かめるニュアンスを含む比喩として使われるようになった。また、投げられたボール(質問)に対する回答を待っている状態や、保留している状態のことを「ボールを持っている」と表す場合もある。
ちなみに、「ボールを持つ」は、SNSを中心に最近話題となっている「おっさんビジネス用語」の一つとされており、ビジネスシーンでは年配者が好んで使う傾向にある。
由来
「ボールを持つ」という比喩表現がどのようにして使われ始めたのかは、はっきりとしていない。しかし、野球の全盛期であった1960〜1970年代に、野球用語がビジネスの現場でも用いられるようになったと考えられている。
野球に由来するビジネス用語は「ボールを持つ」以外にも存在する。例えば、「全員野球で」「言葉のキャッチボール」のように、仲間と協力することやコミュニケーションを図ることを野球に例えた比喩表現もよく使われる表現だ。
「ボールを持つ」の使い方
次に、「ボールを持つ」の使い方と使用時の注意点について見ていこう。
例文
具体的な使い方をイメージしやすくするために、ここでは例文をいくつか紹介する。
【例文】
「今回の企画でボールを持つ者に命運を託すことにした」
「そういえば、このプロジェクトで今ボールを持っているのは誰だっけ?」
「私は今、〇〇さんの進捗に関してボールを持っています」
使用時の注意点
「ボールを持つ」という比喩表現を使う時は、意味が通じる相手かどうかを見極める必要がある。また、ややくだけた印象のある表現となるため、目上の人や社外の人への使用は避けた方が良いだろう。使う相手によっては失礼な印象を与えてしまうため、注意が必要だ。
「ボールを持つ」の類義語
「ボールを持つ」と似た意味を持つ言葉としては、同じくボールを使った比喩表現の「ボールがある」「ボールを掴む」「ボールを握る」などが挙げられる。いずれも、進行中の業務などの主導権を握る、報告や回答を保留することの例えとして使われる。
・ボールがある
【例文】
「ボールがある人の采配で、成功の有無が決まると言っても過言ではない」
「今日のイベントでボールがある人は誰ですか?」
・ボールを掴む
【例文】
「投げられたボールはしっかり掴んで最後までやり遂げたい(」
「このプロジェクトの命運は、ボールを掴む人に懸かっている」
・ボールを握る
【例文】
「今、〇〇の業務でボールを握っている人は誰だっけ?」
「今月は過去最高の売り上げに貢献できたので、会社の業績への影響についても、私がボールを握っている状況に近い」