DIME MAGAZINE
3両編成で全長29.520m。座席数は50席で乗車定員は約160人。宇都宮市は雷が多く「雷都」とも呼ばれている。そのため芳賀・宇都宮LRTの車両は「雷の稲光」をイメージした黄色をメインカラーにしている。
【8月開業】芳賀・宇都宮 LRT開業
自動車の普及とともに全国的に数を減らした路面電車。しかし今、地方が抱える課題を解決する手段として再び脚光を浴びようとしている。〝ネットワーク型コンパクトシティ〟宇都宮の新路線に注目だ。
芳賀・宇都宮LRTとは
今年8月に開業を予定する宇都宮駅東口と芳賀・高根沢工業団地を結ぶ全長約14.6kmの路線。19の停留場があり、うち5つは駐車場やバス停を備ており、交通のハブの役目を担うトランジットセンターとなっている。運営は第3セククターである宇都宮ライトレールが担当する。1日当たりの利用者数は平日で約1万6000人、休日で約5000人となる見込み。
宇都宮駅やショッピングモールベルモールといった商業施設、宇都宮陽東キャンパス、工業団地など人の流れが多い要所を結んでいる。宇都宮駅東側だけでなく、2030年代には駅西側区間にも路線を整備する計画があり、将来的には、宇都宮駅を東西で結ぶ路線として期待される。
地方都市ネットワークの〝背骨〟となるLRT
今年8月、宇都宮に新たな路面電車が開業する。国内で路面電車の新規開業は実に75年ぶりである。さらに国内ではまだ普及の進まない「LRT」（Light Rail Transit）を導入するという点でも注目の新路線だ。〝次世代の路面電車〟とも呼ばれるLRTの利点は何か。
「『芳賀・宇都宮LRT』はこれまでクルマやバスでしかアクセスできなかったエリアを走ります。バスよりも輸送人員が多く、天候などに影響されずに輸送できるため、交通渋滞の解消や時間どおりの移動が可能となります」（宇都宮市LRT企画課協働広報室）
加えてLRTは地下鉄やモノレールに比べても建設コスト、整備コストが安価であり、北米や欧州では身近な交通手段として導入されるケースが多い。
しかし、それ以上にLRTは宇都宮市が抱える、ある問題を解決する。
「市街市の郊外他や高齢化の進む宇都宮市ではクルマがないと、中心部とのネットワークが確保しづらい状況にありました。この状況が続くと、消費活動が落ち込み地域の経済は衰退してしまう。クルマがなくても都市とつながるLRTは、宇都宮市の目指す『ネットワーク型コンパクトシティ』の背骨となる存在です」（前出同）
LRTは既存の公共バスを連携させることで広範囲な公共交通ネットワークの構築が可能となる。宇都宮市のつくる地方都市の未来像に期待したい。
宇都宮駅前の再開発も進む
始発駅（終着駅）である宇都宮駅東口周辺も街の拠点として再開発が行なわれている。昨年8月には商業施設やホテルの入った複合施設「Utsunomiya Terrace（ウツノミヤテラス）」、11月には隈研吾氏がデザインを監修した交流拠点施設「ライトキューブ宇都宮」が完成したばかりだ。
JR東日本でも新駅がOPEN！
関東最大級のイオンモールに直結する京葉線「幕張豊砂駅」
JR京葉線にも新習志野駅と海浜幕張駅の間に「幕張豊砂駅」が3月18日に開業する。海浜幕張駅は球場やイベント施設が多くあり、1日の乗降者数が急増しているので混雑緩和が期待されている。幕張豊砂駅はイオンモール幕張新都心店に直結しており、建設にはJR東日本のほか、イオンモールも参画している。
取材・文／峯 亮佑 写真／宇都宮市、JR東日本千葉支店
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