毎月、電力会社が発行する検針票には、「kW(キロワット)」や「kWh(キロワットアワー)」といった単位が記載されている。しかし、検針票になんとなく目を通していても、両者の違いについてよくわからない方も少なくないはず。そこで本記事では、それぞれの単位が何を表すのか、また、電気代の計算方法についても解説する。
「kW」と「kWh」の違いは?
まずは、「kW」と「kWh」の違いや、電気代の計算方法について見ていこう。
kWは消費する電力を表す単位
「kW(キロワット)」は、電化製品を1秒間動かすのに必要な電力の大きさを表す単位。一般的に、電化製品の消費電力は「W(ワット)」の単位で表されるが、電気料金を算出する時は、WをkWに換算して使用電力量を求める。
家庭で使用する主な電化製品の消費電力は以下の通り。
・エアコン(10畳用):冷房580W(立ち上がり時1400W)、暖房660W(立ち上がり時2000W)
・冷蔵庫(450ℓ):250W
・洗濯機(縦型):400〜500W
・洗濯乾燥機(ドラム型):洗濯時200W、乾燥時1300W
kWhは使用した電力量の単位
「kWh(キロワットアワー)」は、実際に使用した電力量を表す単位で、毎月請求される従量制料金では、この使用電力量をもとに請求金額が算出される。
使用電力量は、以下の計算式で求めることができる。
【計算式】消費電力(kW)×使用時間(h)=使用電力量(kWh)
例えば、洗濯機を3時間使用した場合の電気使用量は、以下のような計算式で求められる。
【計算例】0.45kW×3hr=1.35kWh
※一般的な洗濯乾燥機の消費電力450WをkWに換算した上で計算
使用電力量から電気代を計算する方法
例えば、消費電力が1200W(1.2kW)の電子レンジを1分間使用した場合の電気代は、以下のように計算できる。
まず、消費した総電力量(Wh)を求め、そのWhをkWhに換算したものに料金単価を掛けて電気料金を算出する流れだ。電気料金単価を1kWhあたり27円と仮定した場合(1kWhあたりの料金は契約している電力会社や料金プランにより異なる)、消費電力総量は「1200W÷60=20Wh(使用時間は1分のため、60で割る。1時間=60分)」となる。
これをkWhに変換すると、「20Wh÷1000=0.02kWh」。これに料金単価27円を掛けて、求める電気代は、「0.02kWh×27円=0.54円」となる。
なお、毎月請求される電気料金については、上記の例のように電化製品の電気使用量に電気料金単価を乗じて計算した「電力量料金」のほか、基本料金、燃料費調整単価、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価が加算された上で請求される。
一般家庭の世帯別電気代の平均
次に、一般家庭での一ヶ月あたりの世帯別電気代の平均を見ていこう。政府の統計によると、世帯人数別に見た1か月あたりの電気代平均額は以下の通りとなっている。
【2023年1月】
2人世帯: 15,130円
3人世帯: 17,992円
4人世帯: 19,061円
5人世帯: 21,453円
【2023年2月】
2人世帯: 16,478円
3人世帯: 18,845円
4人世帯: 21,793円
5人世帯: 23,032円
※総務省e-stat統計資料より参照:家計調査2023年1−2月月当たり世帯別電気代の平均額
kWとkWh以外で知っておきたい電力の単位
最後に、電気の検針票に記載されている主な電力の単位を4つ紹介しよう。
W(ワット)
W(ワット)は、電力を表す単位。電気の発光やモーターが力を出す大きさを表す。
「電力(W)=電圧(V)×電流(A)」で計算する。
Wh(ワットアワー)
Wh(ワットアワー)は電気使用量を表す単位。
「Wh=定格電力×使用時間」の計算式で算出できる。
A(アンペア)
A(アンペア)は、電流を表す単位。
家庭では、20Aや30Aなど電気の使用状況に合わせて、契約を選択できる。
V(ボルト)
V(ボルト)は、電圧を表す単位。電圧が高いほど、多くの電気が流れる。日本では一般的に、家庭用は100V、工場など生産機械には200V以上の電圧が使われている。
※データは2023年4月上旬時点のもの。
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文/編集部