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買い方次第でほぼ無料に!Xiaomiの激安スマホ「Redmi 12C」は買いなのか?

2023.04.08

■連載/石野純也のガチレビュー

 コスパに優れたスマホを開発するメーカーとして定評のあるXiaomiが、2万円を下回る価格で新モデルを発売した。それが、「Redmi 12C」だ。MVNOの契約と同時に購入するなど、販路や買い方によってはほぼ無料で入手することも可能。10万円はおろか、20万円を超えるハイエンドスマホが当たり前になりつつあるなか、エントリーモデルとは言え、破格の安さだ。ミッドレンジモデルも価格が上昇傾向にあるため、買いやすいモデルと言えるだろう。

 一方で、単に価格が安いだけでは、コスパがいいとは言えない。コスパの高さとは、突き詰めるとコストとパフォーマンスのバランスが優れているということだ。単に安いだけで性能が十分でなければ、安物買いの銭失いになってしまいかねない。2万円を下回る価格と聞くと、その性能に不安を覚える向きもあるはずだ。

 チップセットなどのスペックを見ると、エントリーモデルの中では比較的ミッドレンジモデルに近いRedmi 12Cだが、充電端子がType-BのmicroUSBだったりと、コストをとことん削っているようにも見える。同モデルは、一体どの程度の性能を持った端末なのか。実機を借り、その処理能力やカメラ性能、使い勝手などをチェックした。

シャオミのRedmi 12Cは、2万円を切る超低価格モデル。その性能をチェックした

安っぽさをうまく隠したデザイン、安価ながら背面には指紋認証も

 価格帯の高いハイエンドスマホは、アルミやステンレスといった金属フレームが一般的で、質感やワイヤレス充電などの機能と両立させるため、背面にはガラスを採用していることが多い。その処理方法も多彩で、質感の高さやデザイン性を競っている。これに対し、Redmi 12Cは背面が樹脂で、どことなくチープさが感じられる。

背面は樹脂でできており、高級感は少ない

 ただ、これはあくまで金属やガラスと比較した時の話。背面にはレジメンタルタイのような斜めのストライプ模様が施されており、ツルっとした樹脂にありがちな安っぽさは感じられない。少しざらざらとした手触りも独特で、ついつい指で感触を確かめてみたくなる。質感は価格相応だが、一工夫を加えることで安物感は払しょくされている印象だ。

引きの写真ではややわかりづらいが、斜めにストライプのような模様が入っており、樹脂の質感から受けるネガティブな印象を緩和している

 カメラ回りのデザインも同様。シャオミのXiaomiシリーズやRedmiシリーズに合わせ、スクエアな形状の台座の上に、2つのカメラとフラッシュライト、指紋センサーを並べている。スマホのトレンドと言えるデザインだが、エントリーモデルの中にはこうした細部の処理が雑な印象の端末もあるだけに、仕上げがきちんとしている点は評価できる。

カメラのデザインは、シャオミの上位モデルと共通性を持たせている

 ただし、指紋センサーがこの位置にあるのは、評価が分かれるかもしれない。2万円以下の端末で生体認証に対応しているのはうれしい一方で、背面にあると、本体を机やテーブルの上に置いた際に利用するのが難しくなる。片手で握った時、自然と人差し指が当たる場所にあるため、目視する必要なく指を当てることは可能だが、電源キーと一体化した指紋センサーと比べると慣れは必要になる。

指紋センサーも、カメラの横に配置。片手で持つと、人差し指が自然に当たる位置だ

 前面のディスプレイも、ミドルレンジ以上のモデルに比較すると、ややベゼルが太い。これは、ディスプレイに液晶を採用している影響だろう。コストを考えると致し方ないが、このようなディテールから、エントリーモデルであることが伝わってくる。ディスプレイの解像度は1650×720pで、フルHD以上のモデルに比べて粗く見える一方で、本体にあまり近寄って見なければあまり気にはならない。価格帯を考えれば、十分なスペックだ。

有機ELを採用したミドルレンジ以上の端末と比べると、ベゼルがやや目立つ

充電端子は難点だが、カメラは価格以上の性能

 外観にも関わる部分だが、端子がmicroUSB Type-Bなのはかなり気になった点だ。ご存じのとおり、昨今のスマホはiPhoneを除けば、ほぼすべてがUSB Type-Cを採用している。シャオミも例外ではなく、日本で現在販売中の端末は、Redmi 12C以外、すべてUSB-Cだ。上下の区別をする必要がなく、USB PDという高速充電規格にも対応できるため、便利な仕様と言えるだろう。逆に、Type-Bは上下の形状に差がり、向きをそろえて刺さなければならない。この点は、少々不便だ。

充電端子は底面にある。microUSB Type-Bなのが難点だが、ケーブルは付属している

 ケーブルはパッケージに同梱されているため充電できないといった問題が起こることはなさそうだが、サブ端末として利用する際には、注意が必要になる。メイン端末はLightningなりUSB-Cなりを採用しているケースが多いだろう。充電器が1つだと、その都度ケーブルを交換しなければならないからだ。この端末だけというのであれば特に問題はないが、価格が安いだけに、予備の端末として使う人もいるはず。こうした使い方に、microUSB Type-Bは不向きと言える。

 やはり2万円以下だとトレードオフになっている部分も目立つ一方で、メインカメラは5000万画素と高画質。しかもピクセルビニングに対応しているため、1200万画素相当なら比較的明るい写真を撮ることが可能だ。以下は、明るい場所で撮った写真。5000万画素をそのまま生かしたモードも呼び出すことができ、一部を拡大してもデジタルズームのような劣化がない。料理写真は色がややコッテリしている印象も受けるが、屋内写真としてのクオリティは上々だ。

風景写真。青空もまずまずの色合いで、バランスはいい

同じシーンを5000万画素で撮影

5000万画素モードは画素数が高いため、一部を切り出しても画質が劣化しない。ズーム代わりに使える

料理の写真は、彩度がやや高めながら、比較的バランスよくまとまっている

 暗所での撮影は以下のとおり。HDRがオフになっていたためか、ライトアップされた看板の白飛びは目立っているが、手ブレや夜空のノイズは少ない。暗い場所にも関わらず、ビルのディテールもしっかり表現されている。エントリーモデルのスマホとしては、合格点を与えることができるクオリティと言えるだろう。

HDRが標準でオフだったため、ライトアップされた部分は白飛びしている。ただし、暗い場所のノイズは少ない

 ただし、安価なだけに、カメラ機能は少ない。同モデルはデュアルカメラのように見えるが、もう1つのカメラは深度測定用。ポートレートモードなどで、背景にボケを加えるためのものだ。そのため、スマホで一般的な、超広角での撮影ができない。5000万画素で撮り、切り出しをすることである程度代用はできるが、望遠カメラも非搭載だ。エントリーモデルなだけに、こうした点への割り切りは必要になる。

レスポンスは要改善か、NFCにも非対応なのは残念

 使っていて少々気になったのが、レスポンスだ。同モデルはチップセットにメディアテックの「Helio G85」を採用。メモリは3GBと4GBのどちらかを選択できる。Helio G85もクロック周波数は2GHzで、そこまで低速には見えないが、やはりミドルレンジモデルと比べると応答速度は一段劣る。アプリの起動が遅いのはもちろん、ホーム画面をスクロールさせるだけでも、その差が如実に出る。

 撮影時のレスポンスはあまり気にならないが、5000万画素モードで撮った写真をフルの解像度で表示しようとすると、やはりわずかに待たされるような間が空く。拡大・縮小など、基本的な操作でもカクつくことがある。カメラのスペックに対し、処理能力が追いついていないと言えるだろう。ミッドレンジ以上のモデルを使ったことがある人にとって、このレスポンスは少々厳しいかもしれない。

致命的というほどではないが、5000万画素で撮った写真を拡大すると、操作時のレスポンスが鈍くなることがある。

 ベンチマークアプリでスコアを取ってみても、上位のチップセットを搭載したミッドレンジモデルには及んでいないことがわかる。CPUの性能を図れる「Geekbench 6」で計測したスコアは、シングルコアが409、マルチコアが1278。ミッドレンジモデルより数値は低く、それがレスポンスに直結している印象を受ける。ディスプレイのリフレッシュレートも60Hzで、スクロールに滑らかさが欠ける。

Geekbench 6で計測したスコア。シングルコア、マルチコアともに数値は低めだ

 また、オープンマーケットに投入されるエントリーモデルという位置づけ上、おサイフケータイには非対応。さらに、NFCにも対応しておらず、VISAなどのタッチ決済も利用できない。最近は、PayPayやd払い、au PAYといったQRコード決済が普及しているため、それでもさほど問題ないシーンは増えている一方で、やはり何らかのタッチ決済には対応していてほしかった。グローバル版のRedmi 12CはNFCを備えているため、この点は大きなマイナスと言える。

 一方で、デュアルSIMに対応していたり、シャオミが独自に実装しているソフトウエアは一通りそろっていたりと、エントリーモデルだからといって、必ずしも使い勝手は悪くない。バッテリーも5000mAh搭載されており、持ちはいい。充電や操作にストレスは感じるが、初めてスマホを買うユーザーが、お試し感覚で使ってみるにはバランスがいい。MVNOにとっても、セット販売で売りやすい端末と言えそうだ。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★
持ちやすさ     ★★★★
ディスプレイ性能  ★★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★★★
音楽性能      ★★★★
連携&ネットワーク ★★★
生体認証      ★★★
決済機能      ★★
バッテリーもち   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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