レッスン1…接待やデートで恥をかかないためのワインマナー
どんな高級店であっても、相手の好みに合わなければ、意味がありません。接待にしろレストランデートにしろ、スムーズにスマートに食事を楽しみ、成功させることができるかどうかかは「リサーチ力」「事前準備」にかかっています。相手の好き嫌いやアレルギーの確認はもちろん、お酒を嗜まない場合もあるので、お店のソフトドリンクメニューの種類なども事前にリサーチしておきましょう。
ワイン好きな方とわかっているならば、ぐっと距離を縮めるチャンス。事前にリサーチする機会があったらラッキーです。最低限、泡、白、赤のどのワインが好きかを確認し、そこから例えば、白ワイン好きなら辛口タイプかフルーティなタイプどちらが好きか、赤ワイン好きなら軽いタイプか重いタイプかまで聞いてソムリエに伝え、そこからはソムリエに協力してもらいましょう。
またレストランでワインと楽しむ場合の最低限のマナーとして、以下のことを意識しておきましょう。
①ワイン注いでもらう時に、グラスを傾けない
日本はお酌文化があり、親密な雰囲気を盛り上げるためにボトルのワインを注ぎ合うことがあります。注いでもらう時に、ついビールグラスの感覚でグラスを傾けてしまいがちですが、見た目もよくないし、注ぎにくいのでやめましょう。
②乾杯の際、ワイングラスは合わせない
ワイングラスは薄ければ薄いほど、管理された最適な温度で美味しく飲めます。そのため高級店ほど薄いグラスを使用しますが、そのようなグラスを乾杯で強くあてると割れる可能性もあります。ワインでの乾杯は、目と目を合わせてにっこり微笑んで、がスマートな基本マナーです。
ただカジュアルなお店や、飲み放題の小ぶりで分厚いグラスでの乾杯でしたら、当然ですが当てても問題ありませんので、そこは臨機応変に。
③ワインの飲み口を汚し過ぎないように意識する
お料理と交互にワインを飲んでいると、気づけは飲み口一周すべて油まみれになっていることがあります。これだと見た目にきれいではありませんし、相手に不快に思われることも…。脂ものを食べたら、ワイングラスに口をつける前に軽くナプキンで口を押さえて飲むように心がけましょう。また少しグラス汚れたなと思ったら軽く指で拭いたり、紙ナプキンでサッと拭きとったりすることも大事。口をつける箇所を一箇所にするように意識して飲むと、一瞬でさりげなく拭き取れるので、スマートに見えます。
レッスン2…レストランで接待をスムーズに成功させるポイント
◎ソムリエやサービススタッフを味方につける
ソムリエの立場からすると、何も情報なし丸投げで「とりあえずなんでもいいから美味しいワイン持ってきて!」という方は、あまり印象がよくありません。もちろんそういう方に対しても、ソムリエの仕事として、お客様が頼んでいる料理に合うワインをチョイスしますが、ソムリエ、サービススタッフも「人」です。適当にあしらわれたり、話も全く聞かない、言葉もなにもない方よりも、美味しそうに飲んで食べてくれたり、笑顔を見せてくれたり、美味しかったらちゃんと言葉でいいリアクションを見せてくださる方には、よりよいサービスをしよう、おまけのサービスしようとなるのは自然の流れ。“いいお客様”を演じられたら、受けるサービスの質は確実にあがります。
よって、ワイン好きの大切な方を喜ばせるコツの1つにお店のスタッフを味方につける。要はリアクションです。想いを言葉でちゃんと伝えたり、笑顔を出してみたり、いいリアクションをすることで美味しいワインが飲めること以外にも、いい事が沢山起こりますよ!
飲食接客業を20年以上経験している経験から言うと、ソムリエやお店を見方につけるメリットはかなり大きく、多少のトラブルがあっても色々とスムーズになるのは間違いありません。お店側は予約の電話時から丁寧な口調か、雑な言葉遣いかなどで、そのお客様のお人柄を色々見ています。最後に「よろしくお願いします」と伝えるなどの気遣いができる人は、普段から周囲に好かれていると思いますが、もちろんお店からも好かれて自然とサービスがよくなります(笑)。
レッスン3…これだけは知っておきたいワインの基礎知識
ざっくりの特徴だけでも押さえておくと、会話が弾みます。
◎白ワイン2種
①シャルドネ…すっきりドライで料理に合わせやすい。迷ったらシャルドネが、一番無難です。
②ソーヴィニヨンブラン…爽やかなハーブや柑橘の香りで清涼感がある
両方とも前菜魚料理にピッタリ!
◎赤ワイン3種
①カベルネソーヴィニヨン…濃厚でしっかりとした味
③メルロー…リッチでコクがあり綺麗な味わい
④ピノノワール…上品で繊細で軽やか
カベルネソーヴィニヨンとメルローはしっかり濃い味のお肉にピッタリ!
ピノノワールは鶏肉特に鴨肉などとの相性がよいです。
このブドウの簡単な特徴と定番のお料理の組み合わせだけ頭の片隅に入れておいてみてください。そして実際にワイン選ぶ際、自分の引き出しの中から「確か、これとこれ合うって言っていたな」を思い出して、このブドウはこんな感じの味と香りなんだと意識して飲んで、特徴を感じ取ってみてください。
相手を思い気遣いができる人ほど、人生のチャンスが広がる
私が食事の場で20年間、サービスを担当させていただいてつくづく感じるのは、「相手に気遣いができる人ほどいいチャンスが広がる」ということです。
人生は全て人と人とのコミュニケーションで成り立っていますが、中でも最も距離をぐっと縮めるチャンスが多いのが、一緒に食事をする場。そのチャンスをうまく活かすためには、まず相手が何をしたら喜ぶか、楽しんでくれるのかを、自分目線ではなく相手目線で考えてみることが大切です。相手の事を考えて行動していくと自然と気遣い力がつき、いい印象を与えられるので、その結果チャンスも広がっていきます。サービスをして素敵だなと感じるのは、このような“気遣いができる人”。社会人としてスターを切った方々はぜひ相手を思う“気遣い力”を意識して磨き、食事とワインを楽しみながら、人生のチャンスを広げられるジェントルマンを目指してくださいね。
取材・文/桑原恵美子
関連サイト/ワインとマナーのジェントルマン講座