時代の流れとともに変化するビジネス用語。一時期流行し、職場で使われる場面も多かった「なるはや」という言葉も、最近ではあまり聞かれなくなってきた言葉の一つだ。
そこで本記事では、なるはやの意味と使用例、言い換え表現について紹介する。この機会に、使用時の注意点や英語表現も併せて確認しておこう。
なるはやとは?
なるはやは、「なるべく早く」を省略した、いわゆる「おっさんビジネス用語」の一つで、「最優先ではないものの、できる限り急いでほしい」ことを伝えるために使われる。主にビジネスシーンで、相手の仕事量を考慮しながら、無理のない範囲でなるべく早く、というニュアンスを込めて使われる。
なるはやの使用シーン
なるはやは、相手に何かを頼む際、できるだけ急いでほしいという気持ちを伝える時に使われる。
【例文】
「忙しいところ申し訳ないけど、明日までの企画書作成なるはやでお願いできる?」
「来月主催するイベントだけど、万が一スタッフの欠員が出た場合の連絡は、なるはやで頼む」
「スケジュールの空きが分かり次第、なるはやで連絡もらえる?」
「昨日依頼したプロジェクトの企画案だけど、なるはやで企画書をもらえる?」
いずれの場合も「あまり時間の余裕がない」ことを強調しながらも、相手に強いプレッシャーをかけたくないというニュアンスも含められた表現と言える。
使う時の注意点
「なるはや」は、くだけた言い回しのため、使用シーンや使う相手を誤ると、失礼に値することもある。信頼関係を損ねてしまう使い方をしないように、これから紹介する使用時の注意点や使用を避けるべき場面も把握しておこう。
目上の人や社外の人への使用は避ける
なるはやは、くだけた口語表現であるため、社外の人や目上の方に使うと、トラブルの元になることがある。相手が「なるはや」の言葉を知らないこともあるため、相手が知らないと感じた時は、他の言葉に言い換えた方が無難だ。
期限を明確に伝える
人によって時間の感覚は異なるため、依頼する方と受け取り手で認識している期限の擦り合わせをしておくことも大切だ。本当に急いでいる時は、「何日・何曜日の何時までか」と具体的な日時も明確に伝えることで、大きなトラブルを防げることもある。
メールや文書では別の言葉に言い換える
なるはやは、会話で使う口語表現のため、基本的にメールや文書では、相手がわかりやすい言葉に置き換えた方が良いだろう。
なるはやの言い換え表現
ここからは、なるはやと似た意味を持つ言い換え表現をいくつか紹介する。時と場合によって適切な言葉を選べるようにしよう。
早急に
「早急に」は、なるはやに比べて、比較的緊急性の高い事態に対して使われるフォーマルな表現だ。読み方は、本来は「さっきゅう」だが、現在は「そうきゅう」という読み方も一般化しつつある。
【例文】
「書類に不備が見つかったので、今から早急に修正いたします」
「先日は繁忙期にも関わらず、早急にご対応いただきありがとうございました。」
至急
至急は、なるはやとほぼ同義で、大急ぎや非常に急ぐといった意味の言葉だ。なるはやに比べて、緊急性の高さが強いニュアンスを含んでいる。「至急〜お願いします」と言うと、相手をかなり急かしているように聞こえるため、至急を使う時は緊急の場合のみにした方が良いだろう。
【例文】
「10分後にはセミナーが始まってしまうのに、必要な備品が一つ足りていない。大至急準備と最終確認をお願いします」
「具合の悪い乗客が倒れています。大至急、対応できる医師を呼んでください」
なるはやの英語表現
なるはやを英語で表現したい時に使えるのが「ASAP(できるだけ早く、なるべく早く)」だ。「ASAP」は英語の「as soon as possible」の略語で、主に口語として使われる。ASAPは、アサップ、エイサップ、エイエスエーピーと読む。また、職場で部下や同僚に急ぎの仕事をお願いする際のメモ書きで「asap」「ASAP」「A.S.A.P」などと表記することもできる。
ただし、ビジネスシーンでASAPを使う場合、使うタイミングや双方の立場の違いによっては命令と捉えられることもある。また、スピード感のある表現のため、相手に過度のプレッシャーを与えてしまう可能性もあるため、使用する際は適切なタイミングをしっかりと見極めたい。
【例文】
Please let me know your schedule ASAP.(予定をなるべく早く教えてください)
Please call me back ASAP.(できるだけ早く折り返しの電話をください)
文/編集部