理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センターの中村 泰信 センター長、産業技術総合研究所 3D集積システムグループの菊地 克弥 研究グループ長、情報通信研究機構 超伝導ICT研究室の寺井 弘高 室長、大阪大学 量子情報・量子生命研究センターの北川 勝浩 センター長(大学院基礎工学研究科 教授)、藤井 啓祐 副センター長(大学院基礎工学研究科 教授、理研 量子計算理論研究チーム チームリーダー)、富士通株式会社 量子研究所の佐藤 信太郎 所長、日本電信電話株式会社 コンピュータ&データサイエンス研究所の徳永 裕己 特別研究員らの共同研究グループは、2023年3月27日に量子コンピュータをクラウド公開し、外部からの利用を開始した。
研究開発の推進・発展を目的とした非商用利用であれば、いずれの研究・技術者でも利用申請が可能
量子力学の基本原理を計算・通信・計測といった情報科学・情報処理技術にも適用するため、量子情報を取り扱う技術の研究が世界中で進められおり、理研では、2021年に量子コンピュータ研究センターを設立し、量子計算を実行する量子コンピュータの研究開発を進めている。
今回、共同研究グループは量子コンピュータによる量子計算プラットフォーム構築の一歩として、超伝導方式による国産量子コンピュータ初号機を整備。さらに、本機を用いて、インターネットを介して外部利用が可能なクラウドサービス「量子計算クラウドサービス」を開始した。
「量子計算クラウドサービス」は、量子計算などの研究開発の推進・発展を目的とした非商用利用であれば、いずれの研究・技術者でも利用申請が可能だが、当面は、理研との共同研究契約を通じて利用手続きを行なうとのこと。
ユーザは理研外のクラウドサーバーに接続することで、超伝導量子コンピュータへのジョブ送信や計算結果の受信を行うことが可能となり、共同研究の目的に合致した用途であれば、超伝導量子コンピュータを利用することができる。
なお、大学を含む国内研究機関と企業との連携によって、今回の「量子計算クラウドサービス」は実現。本サービスは、研究開発段階における国内の量子情報の研究に関わる人材育成だけでなく、人材の受け皿となる、情報技術分野を基幹とした国内産業の発展ももたらすと期待できる。
構成/立原尚子