ピクセラは、ChatGPTを活用した革新的な翻訳デバイスとテレビ字幕を自動翻訳するアプリ「Xit」を開発すると発表した。
ChatGPTは、OpenAIが開発した対話型AIツール。4兆単語という驚異的な量のテキストを学習し、多様な分野の翻訳で高い精度を発揮するだけでなく、くだけた表現でも適切に対応。さらに、自然な会話を生成するよう調整されており、従来の機械翻訳システムに比べて、より自然で高品質な翻訳が可能だ。
また、同社は2016年に大阪大学と共同でテレビ字幕翻訳に関する研究を実施し、すでに字幕翻訳について豊富な知見を持っているのも強み。この研究成果にChatGPTの翻訳エンジンの力を組み合わせることで、対応言語の大幅な拡充とより自然な翻訳の実現が期待できる。
今回開発する翻訳デバイスでは、ChatGPTを翻訳エンジンとして採用し、迅速かつ正確な翻訳や通訳を実現。さらに、テレビ視聴アプリ「Xit」では、放送電波から同時に送信される難聴者向けの日本語字幕データを、「Xit」アプリからChatGPTに送出し、自然な外国語に翻訳した結果を「Xit」アプリに戻し、映像とリアルタイムで同期させて表示するという。
なお、開発に至った背景には、新型コロナウイルス感染症に関する規制緩和の結果、2023年1月の訪日外国人数は149万7,300人(出展:日本政府観光局(JNTO))に達し、急速に回復の兆しを見せ、かつての社会情勢に徐々に戻りつつあることがあるとのこと。
同社では、このような社会情勢の下でChatGPTという革新的なAI技術が登場したことから、今後、コミュニケーションの質の向上、文化交流の促進、ビジネスや学術研究の拡大、人権や教育の支援、技術イノベーション、言語と文化遺産の保護、教育水準の向上、緊急時の対応能力の強化、旅行および観光業の推進など、多岐にわたる分野で翻訳ソリューションが重要な役割を果たすものと判断したため、開発および製品化に着手することを決定したという。
構成/立原尚子