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中華系EVメーカー株は買いなのか?電気自動車が普及している中国・広州で感じた本音

2023.04.05

中国広州に来て驚いたことは、電気自動車が普及していることです。日本では電気自動車を見かけることはまれでしたが、タクシーはすべて電気自動車、一般車でもたくさんの電気自動車を見かけます。中国の自動車事情を紹介します。

電気自動車が日本より普及

日本では電気自動車をまれにしか見かけかせんが、中国広州市では実感としては半数が電気自動車となっています。電気自動車かどうかはナンバープレートを見ればすぐわかるようになっています。ナンバープレートが緑なら、EV(電気自動車)またはPHV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池車)で、青ならガソリン車またはハイブリッド車などに区分されており、一目でわかるようになっています。

タクシーのナンバープレートは100%緑色で、電気自動車です。これは、中国政府により公共交通機関は100%電動化するという目標がもとでしょう。また、次に紹介する中国の車規制(NEV)により、一般車においても電動化が進んでいます。

実際には、中国全体のEV比率は2022年1~9月で全体の約20%(中国自動車工業協会)で、農村部では電気自動車の拡大が市街地ほどではないかもしれませんが、今後もこの規制により電気自動車が大きく伸びそうです。一方で、日本は2021年でEV比率が0.88%(日本自動車販売協会連合会)であることから、中国の電気自動車普及率の高さがわかります。

電気自動車は上海汽車集団、長城汽車集団、広州汽車集団、専業ではBYD、新興メーカーでNIO、理想汽車(リー・オート)、小鵬汽車 (Xpeng)、威馬汽車(WM Motor)の販売が伸びています。

中国電気自動車メーカーは、自社でバッテリーを生産し、日本メーカーと大きく変わらない航続距離で、安価な価格で購入できるため、中国では中国メーカーの電気自動車が普及しています。

BYDから第3四半期に発売される『秦PLUSDM-i』は9.98万元(約195万円弱)、上汽通用五菱汽車開発の(上海汽車から販売)の2022年『宏光MINI EV』が3.48万元(約68万円弱)と手に入れやすい価格になっています。それに対して、中流層向けのBYDとトヨタの共同開発『bz3』が18.98万元(約370万円)、高所得層向けのテスラで一番安いモデルタイプ3は22.9万元(約447万円弱)と一般にはまだ手に届かない価格帯となっています。

都市部では、高所得者層が多いため上記高価格帯の電気自動車も見かけますが、中国メーカーの高価格帯モデルも高性能で洗練されたデザインが販売されているため、高価格帯においても中国メーカーの電気自動車をよく見かけます。

また、町中にガソリンスタンドは少なく、各駐車場には急速充電ができる設備が設置されています。航続距離は300~400km程度、急速充電なら充電が30分で可能と、電気自動車でもそれほど困ることはありません。ただ、充電設備は電気自動車の数が充電設備の設置数以上に多いため、並ぶ必要があるなど充電設備はまだ不足しており、さらなる設置が必要だと思われます。

最近、スーパーやデパートで、理想汽車の展示をよくみかけます。高級車であるためか、高所得者層が訪れるデパートによく展示されており、洗練されたデザインで、目を引きます。2015年創業と新興メーカーで、2021年通期で9万台程度ですが、前年比2.8倍と電気自動車の新興メーカーで販売台数を伸ばしてきています。

中国の自動車規制

中国の自動車規制は主に、NEV規制とCAFC規制があります。

NEV規制は、NEVとは新エネルギー車のことをいい、EV、PHV、FCVが該当します。

中国国内で3万台以上生産、輸入するメーカーに対して、販売台数の一定率以上NEV車にする規制です。比率は2020年は12%、その後年ごとに2%ずつ加算され、2021年14%、2022年16%、2023年18%というように一定率以上NEV車でなければなりません。一定率を下回った分は、上回っている他の企業からクレジットを購入しなければなりません。

そして、CAFC規制として、2000台以上生産するメーカーが、燃料消費量が一定以下に制限し、超えた場合はこれも他社から購入する必要があります(3年間繰越すことも可能、NEV規制のクレジットとの相殺も可能)。

上記規制から、電気自動車メーカーは薄利となる安い車を販売しても、他の比率を上回ってしまった企業にクレジットを売ることで利益を得ることができます。

また、購入面でも、充電設備の設置拡大支援、NEV車購入者に対する補助金(2020年末終了予定が2022年末まで延長されて終了)、購入税を免税する支援を行っています。

さらには、都市部の6大都市である北京、上海、深圳、天津、杭州、広州では、ガソリン車のナンバープレート(青)の発行数を少なく制限し、購入は抽選となるため当選して購入するまで時間がかかります。かつ、入札に少なくとも100万円以上かかってしまいます。それに対して、NEV車のナンバープレート(緑)は無料ですぐに取得できるようになっています(交通渋滞緩和のため発行上限はあり)。

自動車メーカー株

中国市場での電気自動車販売の伸びは高く、世界の電気自動車販売でも存在を高めていますが、株式投資では、以下の通りすでに販売が拡大しているBYDは買われすぎの可能性があり、新興メーカーでは赤字を脱却し、利益を伸ばせるかどうかがカギとなります。

投資には注意が必要です。

■BYD(01211:香港)

著名投資家バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイは、2022年からBYDを複数回にわたって売却している。「時価総額がドイツのメルセデス・ベンツを超えており割安感が薄れた」との理由だ。

■NIO(ニオ、09866:香港、NIO:NYSE)

2014年設立の新興メーカーで、高級EV販売。自動運転技術などで他社と差別化。2021年は9万台を販売し、売上高の伸びは高いが、未だ赤字が拡大している。

■理想汽車(リー・オート、02015:香港)

高級スマート新エネルギー乗用車(NEV)を手掛ける、2015年設立の新興メーカーで、2021年は9万台を販売した。創業間もないため、赤字だが、売上高の伸びは高く、赤字は縮小している。

(参考)
【電子版】中国で進むEV化 ガソリン車ナンバー、2年待っても取得困難に | 自動車・輸送機 ニュース | 日刊工業新聞 電子版 (nikkan.co.jp)

取材・文/大堀貴子

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