毎月届く電気料金の請求書明細で見かける「1段料金」「2段料金」「3段料金」という表記。これは電気料金に含まれる三段階料金の種別を指している。三段階料金とは、多くの電気事業者が採用する料金システムだ。
本記事では、三段階料金の仕組みや、その他の電気料金の内訳について詳しく解説する。この機会に、電気料金がどのように決定するのか理解を深めておこう。
三段階料金とは
三段階料金とは、電気使用量が多いほど電気料金の単価が高くなる料金システムのこと。電気の使用量が一段階目の対象消費電力量を超えると次段階に移り、電気の使用量が増えるほど電気代の単価が高くなる仕組みとなっている。
東京電力、関西電力、北海道電力などの大手電力会社の多くが提供している「従量電灯プラン」では、この三段階料金の制度が採用されている。
大手電力会社以外の電力事業者の場合は、必ずしも三段階料金が適用されるわけではなく、定額となる電気使用量を選び、それ以上使用した場合は料金が加算される二部料金制などの他のプランを提供していることもある。
段階料金の内訳
次に、三段階料金を構成している3つの料金段階について詳しく見ていこう。ここでは、東京電力エナジーパートナーの料金プランを例に、プランの仕組みを紹介したい。
第一段階料金(一段料金)
0~120kWh未満の使用電力量に適用される料金で、三段階料金の中で一番安い料金段階。東京電力エナジーパートナーの場合、2023年4月1日以降の料金単価は19.91円に設定されている。
※1kWh(キロワットアワー)とは、1kW(キロワット)の電力を1時間使った場合の、電化製品を動かすときに使われる電力である消費電力量のこと。
第二段階料金(二段料金)
121~300kWh未満の使用電力量に適用される料金で、三段階料金の中でも2番目に安い料金段階。一般的な家庭が1か月に使用する電力量を考慮して設定された平均的な料金とされている。東京電力エナジーパートナーの場合、2023年4月1日以降の料金単価は26.51円に設定されている。
第三段階料金(三段料金)
301kWh以上の使用電力量に適用される料金で、三段階料金の中では一番高い料金段階となる。国の省エネルギー化に伴い、電力の使用量をなるべく減らす必要があったため、高額に設定された。東京電力エナジーパートナーの場合、2023年4月1日以降の料金単価は30.60円に設定されている。
三段階料金を含めた電気代の仕組み
電気を使えば使うほど、電気料金が高くなる三段階料金。この三段階料金は、実際に請求される電気料金の内訳のどの部分に含まれるのだろうか。ここからは、毎月支払う電気料金を構成する5つの要素について紹介する。
1. 基本料金
電気の使用量に関わらず、毎月必ず請求される料金のこと。基本料金にはアンペア制と最低料金制の2種類がある。アンペア制では、契約するアンペア容量をもとに基本料金の金額が決まり、アンペア容量が大きいほど基本料金の金額が高くなる。一方、最低料金制は一律の基本料金額が設定されているプランとなる。
2. 電力量料金(従量料金)
電気の使用量に応じて請求される電気料金のこと。先ほど紹介した三段階料金のシステムは、この電力量料金(従量料金)に適用される。
3. 燃料費調整額
原油や液化天然ガスなど、発電の燃料となる原材料の価格変動を毎月の電気料金に反映させるもの。基準としていた燃料価格に対して3か月の平均燃料価格が高騰した場合は電気料金に加算され、急落した場合は電気料金から減算される。
4. 再生可能エネルギー発電促進賦課金
電気事業者が太陽光、風力、水力、地熱やバイオマスなどの再生可能エネルギーによって発電した電気を買い取り、その費用を電気の使用量に応じて電力使用者全員が負担するもの。
5. 消費税
電気料金にも10%の消費税が課税される。
電気代を安くするには?
電気代をなるべく安くしたい場合は、いったいどのような対策をすればいいのだろうか。最後に、電気代を節約する方法についてチェックしていこう。
電気使用量を1~300kWh未満に抑える
まず、1か月の電気使用量を、第一段階料金(一段料金)の適用範囲の1~120kWh未満、第二段階料金(二段料金)の適用範囲の120kWh~300kWh未満に抑える方法。一人暮らしなどで世帯人数が少なく、電気の使用量が少ない場合は、使用量を抑えられるように意識してみよう。
電化製品の使い方を見直す
2つ目は、日頃使っている電化製品の使い方を見直す方法だ。エアコンの設定温度や冷蔵庫の使い方を見直したり、洗濯乾燥機の乾燥機能は雨天時や冬場のみ使用したり、省エネ家電やLED照明を使用したりなど、できる範囲で工夫してみよう。
どうしても電気代が下がらない場合
どうしても電気代が下がらない場合は、電力の契約内容を見直すのも選択肢の一つ。契約アンペアや三段料金を採用していないプランに変更したり、契約している電気事業者自体を検討し直したりしてみよう。プランや電力事業者を見直す際には、ライフスタイルに合ったものを選べるように、自身や一緒に住んでいる家族の生活リズムを十分に把握しておくことも大切だ。
※データは2023年3月下旬時点のもの。
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文/編集部