食料問題解決の切り札・淡水魚養殖シム『Aquaculture Land』
STEAM HPより
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さて、現代は90年代後半とは違って世界の津々浦々にネット回線が整備されている。
インターネットは、文字通り世界を変革してしまった。あらゆる情報を瞬時に地球全体へ配信できる。そしてIT分野の産業や企業が現代の花形業種になった。
しかし、どんなにネット回線が速くなろうと人間は哺乳類である。毎日食事をしなければ死んでしまう。ところが、IT分野に若者が流れているため農業や漁業の分野に人が行かず、結果として一次産業が衰退してしまう……ということが起きつつある。
しかし、一次産業は軌道に乗れば大きな収益を見込める分野なのだ。
『Aquaculture Land』(Maulidan Games開発)をプレイすれば、それがよく分かるだろう。これは世にも珍しい淡水魚養殖シミュレーターで、農村の空き地に堀を作ってそこで食用魚を生産する。ティラピアや雷魚、ムール貝等を育て、それを市場で売ったり卸売業者やレストランのシェフに回して手数料を得る。
これも現実のインドネシアで広く行われていることだ。養殖事業は農村の経済成長と食糧問題の解決を促す有望分野として、中央政府も注目している。中には養殖事業をオンライン化するスタートアップもある。
『Aquaculture Land』をプレイすれば「淡水魚養殖とはどういう仕事か」を少しでも知ることができ、そこからこの分野に興味を持つ若者も現れるかもしれない。
ソフトウェアも国内製であるべき
インドネシアでも日本のメーカーが制作したゲームに人気が集まっている。
しかし、中央政府は案の定それを良しとはしていない。自動車やスマホと同じく「ソフトウェアも国内製であるべき」と、閣僚が発言しているほどだ。
かつてAppleがiPhoneの最新ナンバーの発売を開始した時、インドネシアではこの機種の国内発売が大幅に遅れたということがあった。国内部品調達率が規定に満たないというのがその理由だ。
そこでAppleはインドネシア国内にデベロッパーアカデミーを設けることで、ようやく最新iPhoneの販売を行うことができたという経緯がある。
最近のインドネシア製ゲームの台頭も、そうした流れの上に立つものだ。そして、この国から配信されるタイトルが世界屈指のブランド商品として人々から認識される日もそう遠くはないかもしれない。
【参考】
Coffee Talk
https://store.steampowered.com/app/914800/Coffee_Talk/?l=japanese
A Space for the Unbound 心に咲く花
https://store.steampowered.com/app/1201270/A_Space_for_the_Unbound/?l=japanese
Aquaculture Land
https://store.steampowered.com/app/858630/Aquaculture_Land_Fish_Farming_Simulation/
取材・文/澤田真一