子供たちとグータッチする三笘(左)と守田(右)=筆者撮影
2026年北中米ワールドカップ(W杯)に向けた新生・日本代表の初陣となった3月2連戦が終わった。ご存じの通り、結果は24日のウルグアイ戦(東京・国立)が1-1のドロー、28日のコロンビア戦(大阪・ヨドコウ)が1-2の敗戦。幸先のいいスタートというわけにはいかなかった。
後者では注目度ナンバーワンの三笘薫(ブライトン)が打点の高いヘディングシュートで開始早々に先制。「三笘女子」というワードがツイッターでトレンド入りするなど、彼を取り巻くフィーバーがひと際、盛り上がりを見せた。だが、まさかの逆転負け。後半33分の浅野拓磨(ボーフム)の交代シーンで、森保監督が布陣変更を伝えるためのメモを渡したことが物議を醸すなど、何となくスッキリしないゲームになってしまった。
その後、明らかになったテレビ視聴率は、ウルグアイ戦が14.8%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)、コロンビア戦が14.5%(同)。2連戦の直前に行われたワールドベースボールクラシック(WBC)決勝・アメリカ戦の42.4パーセントに遠く及ばないのは仕方ないにしても、昨年11~12月の2022年カタールW杯の熱気が冷めつつあるのは否めない事実と言える。
「W杯直後に凱旋試合をやれていたら、もっと関心が高まった」と日本サッカー協会(JFA)幹部も語っていたことがあるが、サッカーの場合は代表活動のできるインターナショナルマッチデー(IMD)が3・6・9・10・11月の年5回しかないから、それは不可能。4カ月のブランクは想像以上に大きいと痛感させられた関係者も多いだろう。
それでもJFAはサッカー人気維持のために努力を払い続けている。今回も新生ジャパン始動に向けていくつかのアクションを起こしたのだ。
人気維持策の1つは練習公開とファンサービス再開
その1つが代表練習の一般公開だ。日本代表は3月20~22日と25~26日の計5日間、千葉・幕張の高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングを行ったが、フル公開日の20・21・25日に1000人のファン・サポーターを招待した。希望者は昨年11月にローンチされた公式アプリ「JFA Passport」を通じて応募する形を取ったが、定員をはるかに超える人気ぶりだったという。
しかも、子供たちが主要選手とグータッチができるという特典もあった。ウルグアイ戦翌日の25日は土曜日だったこともあり、凄まじい数の小学生が集まったが、三笘・守田英正(スポルティング・リスボン)・鎌田大地(フランクフルト)のカタールW杯主力3人が登場すると大変な歓声に包まれた。
コロンビア戦でキャプテンマークを巻いた板倉滉(ボルシアMG)もハイタッチ(筆者撮影)
JFAは以前から20代以下の若者世代の新規獲得に注力しており、ファンサービスを子供たちだけに限定したこともその一環だろう。WBCで大谷翔平(エンゼルス)や村上宗隆(ヤクルト)の活躍を目の当たりにして、野球に興味関心を抱いた少年がいたとしても、実際に三笘や鎌田、堂安律(フライブルク)らと接した感動は代えがたいものがある。そういう体験を数多くしてもらおうと、選手たちの協力を仰いでいるのだ。
2020年から始まったコロナ禍の3年間は人と人の触れ合いが禁じられ、代表練習の公開どころか、無観客試合が長く続いた。我々メディアも2020~2022年半ばまでは代表選手と対面で話すことが叶わなかった。2022年9月の欧州遠征で久しぶりに対面取材が実現し、10代の頃から知っている遠藤航(シュツットガルト)に「やっと話せたね」と言われた時には心底、嬉しかった。彼らと滅多に接することができない子供たちにしてみれば、ハイタッチ1つでも本当に貴重な体験に他ならない。今後は国内で活動があるたびに、触れ合いや交流の場を数多く設定してほしい。