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接客された人の反応は?ChatGPTで話題の「会話型AI」活用事例

2023.04.02

2.オリオンスターロボティクス「受付ロボットMini」

コロナ禍を経て、非接触・非対面のロボット接客はもはや珍しい光景ではなくなった。その一方で、まだまだ受付ロボットは、人による接客と比べれば心もとないところがある。

今後は、ChatGPTと連動することで、コミュニケーションがよりスムーズになっていく可能性がある。

その最初の一歩を踏み出したのが、オリオンスターロボティクスの「受付ロボットMini」だ。先日、ChatGPTと連動したことを発表した。

●「受付ロボットMini」とは?

Miniは、受付・案内用のロボットで、音声機能と大きな高品質画面で多様な受付ニーズに対応できるのが特徴だ。独自開発された音声機能と視覚機能により、人を検知し、主動的に挨拶したり、やりとりしたりすることができる。

また通過できる最小の通路幅は55cmで、複雑な環境でもスマートに走行線路を算出可能。

複数台のMiniを連携させて稼働する場合は、お互いのタスクやIDによって優先順位を決めて動く。滞在や衝突の心配はないという。

●ChatGPTと連携してどう変わった?

MiniがChatGPT連携したことで、具体的に何が変わったのか。

同社の広報担当 殷 静冬(イン セイトウ)氏とプリセールスエンジニア 李 昌達(リ ショウタツ)氏は次の3点を挙げる。

1)自然な対話

「MiniがChatGPTと連携することで、ユーザーとの対話がよりスムーズになり、より自然なコミュニケーションが可能になります」

2)より多様な情報を提供

「従来よりも多様な情報を提供できるようになり、ユーザーのニーズに合わせた情報提供が可能になりました。例えば美術館で『モネの作品を紹介してくだい』と質問した場合、Miniはモネの作品を詳しく紹介できます」

3)コミュニケーションのニーズを満たす

「ユーザーのニーズに合わせた適切なコミュニケーションのサービスを提供することができ、顧客満足度の向上につながることが期待されます。

例えば、老人ホームには、認知症の高齢者が入所している場合がありますが、MiniとChatGPTを連携させることで日常生活のサポートを行うことができます」

●活用想定例

ChatGPTと連動後の会話イメージ

現時点ではまだデモの段階で実例はないが、図書館や介護施設では次のような活用が想定されるという。

1)図書館の活用例

自分が欲しい本を素早く見つけられたり、関連本を推奨してくれたりする。また音声対話で、人が「マンガの棚はどこ?」と問うとロボットが回答し、道案内してくれる。

2)介護施設の活用例

介護施設では高齢者のコミュニケーションのニーズをより効果的に満たすことができる。

例えば老人ホームの施設内には多数の部屋や設備があり、新規利用者や来訪者にとっては迷いやすい。Miniなら利用者からの問い合わせをChatGPTに転送し、ChatGPTが利用者に対して適切な案内を行うことができる。

例えば、「会議室はどこにありますか?」という問い合わせに対して、ChatGPTは「会議室は2階の101号室にあります。エレベーターで2階に上がり、左手に進んでください。」といった回答を返す。認知症高齢者への生活サポートも可能だ。

●今後の展望

「MiniがChatGPTと連動が可能になったことで、2023年3月8日にグローバルパートナーが実験を開始しました。4月中旬には正式版をリリースする予定です。Miniがさまざまな業界や社会生活に取り入れられ、新たな価値が創造されることにより、人が重労働から解放され、仕事と生活がよりスマートになればと思っております」

3. スキルプラス「対話型デジタルヒューマンサイネージ」

各種デジタルソリューションを開発するスキルプラスは、先日、自社開発によるAI動画ソリューション「MetaSpeaker(メタスピーカー)」を用いたタッチ式デジタルサイネージ「対話型デジタルヒューマンサイネージ」を発表した。

主に空港、駅、商業施設、ホテル、美術館、展示会などにおけるガイド役として、業務の省人化や104ヵ国68言語に対応する多言語化を実現する。

●「対話型デジタルヒューマンサイネージ」とは?

同社は、これまでにわざわざ利用者が自分で動画を撮影しなくても使える、独自のデジタルヒューマン「NEM(Non Existent Member)」を提供してきた。NEMを用いれば、高品質なデジタルヒューマンを用いたAI動画の制作・導入・運用が、誰でも簡単にできる。

同社はこれまで、NEMを用いて第1世代の対話型デジタルヒューマンサイネージの研究・開発を行ってきたが、いよいよ商用利用として提供できることになった。

●AI活用の対話機能について

同社の取締役 塚田侑氏は対話型デジタルヒューマンサイネージに搭載されているAI活用の対話機能について、次のように述べる。

「音声、テキストに合わせて、モデルの写真の口を動かします。これにより、キャラクターによるナビゲーションではなく、より人間に近いデジタルヒューマンによるナビゲーションが可能になります。また、68言語をカバーしているので、日本のインバウンド向けはもちろん、海外での利用も可能です。すでに国外からも問い合わせをいただいております」

●「NEM」の活用事例

対話型デジタルヒューマンサイネージのモデル

1)海外向けPR動画のナレーター

NEMは東急グループの施設の海外向けPR動画内のナレーターとして利用されている。これまでは動画にナレーターを差し込む場合、キャスティングや撮影等が必要だったが、NEMを活用することで不要になり、より短期間でのナレーター付き動画制作を実現した。

2)サービス紹介動画

出典:https://vimeo.com/792831564/bb49e1b271

非上場のコングロマリット(復合企業体)企業の事例では、フィリピン企業の日本進出支援の一環として、MetaSpeakerによるPR動画作成を斡旋しているという。そのサービス紹介動画に、NEMが使用された。

「この2社に共通する点は、動画にナレーターは登場させたいものの、現地語ネイティブのキャスティングや収録の手間やコストをできる限り省きたいという課題を解決したことにあります」

●利用したお客さんの反応

「お客様からは、使いたい言語のナレーターキャスティング業務がなくなり、費用も時間もカットできたため、助かっているというお声をいただいております。また、肖像利用権、著作利用権の権利処理をクリアしているため、気軽に使えるという声もいただいています」

●今後の展望

「今後労働人口が減っていき、現場での人手不足が深刻な中、公共交通機関をはじめとした様々な施設のナビゲーターとして、人手不足解消の一助になればと思います。また、インバウンド需要に合わせて、外国人観光客への多言語対応による『おもてなしツール』として利用いただきたいです」

いずれの会話型AIサービスも、スムーズな対話や誘導により、従来よりもロボットとの違和感のないコミュニケーションが実現できる可能性を感じた。

さらなる進化で、AIがより人間に近い接客をこなす日は近いだろう。

【取材協力】
エビソル「AIレセプション」
オリオンスターロボティクス「Mini」
スキルプラス「対話型デジタルヒューマンサイネージ」

取材・文/石原亜香利

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