米スタートアップのオープンAIが開発した「ChatGPT」が話題になっている。対話型の人工知能で、より自然な会話ができるといわれる。
そんなChatGPTをはじめとしたAIを活用した「会話型AI」サービスが国内の接客業にぞくぞくと導入されている。果たして、お客さんの反応は? 接客はどれくらいスムーズにできているのか? 活用事例を3つ紹介する。
1.エビソル AI電話予約応対サービス「AIレセプション」
人手不足に苦しむ飲食店の課題の一つとして、ピークタイムに予約の電話が取れないことがある。機会損失につながることから、何らかの工夫が必要だ。その対策の一つが、飲食店向けの予約管理システムを展開するエビソルが提供する、飲食店向けAI電話予約応対サービス「AIレセプション」だ。
AIスタッフ“さゆり”の会話イメージ
「AIスタッフ“さゆり”」が、電話予約を中心に、店舗にかかってくる電話に応対し、機会損失を防ぐ。すでに「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」「俺のフレンチ」や「俺のイタリアン」など全国約1,000店舗の飲食店に導入されており、電話対応件数は累計200万件以上という。
●「AIレセプション」とは?
「AIレセプション」は、飲食店にかかってくる予約電話にAIスタッフ“さゆり”が応対し、そこで聞き取った内容とエビソルの予約管理システム「ebica」の空席データをリアルタイムで参照、予約登録までを自動化する。まるで人と会話しているような自然な音声と、丁寧な応対シナリオが特徴だ。
●活用事例
1)都内企業が運営する洋食レストラン
ある洋食レストランでは、2021年1月に店舗の電話不応答率が61.4%と高くなっていたが、「AIレセプション」導入直後の2021年5月は3.0%にまで大幅減少し、来店への機会損失を大きく改善した。
2)新宿の人気焼肉店
新宿の焼肉店は、「AIレセプション」を導入したことで、特にピークタイムにおいて店舗スタッフが電話対応にかかる時間が大幅に削減され、従業員が来店客への接客に集中できるようになった。
●利用したお客さんの反応
「AIレセプション」を利用する飲食店のお客さんはどんな反応なのだろうか? エビソルの代表取締役 田中宏彰氏は次のように話す。
「初めて『AIレセプション』を体験したお客様、特にご年配の方などは、最初は驚いて切ってしまうというケースもありますが、弊社実施の利用者アンケートやSNS上で発信されている声としては非常に好意的なものが多く、“さゆり”の会話のクオリティに驚くコメント、“さゆり”に親しみを覚えるコメントに加え、外食業界のDX化を応援するメッセージが目立ちます。皆、角度はそれぞれですがAIスタッフ“さゆり”との会話を楽しみ、便利に使っていただいていることが分かります」
【実際のコメント(同社実施アンケートより)】
「お店のスタッフが相手だと忙しいところに電話して申し訳なく思って焦ったり、相手の話し方が早くて聞き取りづらくても聞き返しにくかったりする。AIによる案内を今後もぜひ続けていただきたいです」
「とても良いと思います。人間の方の対応よりもスムーズでした」
「空いている時間の提案があったのはよかった。向上に努めていただければAI導入は良い取り組みだと考える」
●今後の展望
「AIが対応するということで恐る恐る使い始めたお店も多いですが、ご利用いただくと『もう、もとの運用には戻れない』という声も多数いただきます。また導入店舗では、お店のデジタル化推進を理解したお客様が自発的にネット予約を使い始めるなど、『AIレセプション』の活用をきっかけにネット予約割合が増えていく結果も検証できています。
いつか、“お店に電話予約がほとんどかかってこない=外食のネット予約化”が当たり前となり、“『AIレセプション』自体が必要なくなる=発展的解消を遂げること”が我々の目的です」