ケーブルが一切ない「完全ワイヤレスイヤホン」
数年前まで珍しかったものの、最近になって一気に普及したものに、ケーブルが一切ない完全ワイヤレスイヤホンがある。
いまや、ものすごい種類が販売されているが、いずれも外観はイヤーピースのついたイヤホン本体のみ、音源とはBluetoothで接続するのが共通している。
筆者は、店頭に出始めた頃から注目し、6000円くらいのものから数万円するものまで、さまざまな価格帯の製品を使ったことがある。
最近は低価格化が激しく、数千円台のものでもおおむね満足できるクオリティの製品が売られている。
それにしても、相場よりはるかに安い、1100円の完全ワイヤレスイヤホンが、ダイソーから続々と登場しているのには驚いた。
安いといっても、外観は数千円台のものと比べて遜色ないのが第一の魅力。では、性能面ではどうだろうか? 主力3製品を実際に使ってみた。
目次
元祖ながら古さは感じない外観・性能のダイソー「TWS001」
「完全ワイヤレスイヤホン TWS001」(以下「TWS001」)は、2年前にダイソーが、初の1100円完全ワイヤレスイヤホンとして発売した元祖的存在。通常のイヤホンとしてだけでなく、スマホのハンズフリー通話にも対応している。
「元祖」と言っても2021年の発売なので、古さは感じさせない。発売当初は、カラーは本体・ケースともにブラックのみであったが、今はホワイトがラインナップに加わっている。付属品としては、ケースのほか、ケーブル長の短いマイクロUSBケーブルType-Bと取扱説明書が同梱されている。
充電は、ケース自体を充電してから、イヤホン本体を収納して充電する一般的なかたち。ケースがゼロからフル充電されるまで、(USBポートの出力にもよるが)約4時間かかる。
本体をケースに入れてフル充電されるまで約1時間半かかる。いずれの場合も、充電中はケースないしは本体の小さなLEDランプが赤く光る。これが消えると充電完了。
ちなみに、購入した時点で多少は充電済みなので、すぐ使える。
接続はBluetooth 5.0対応で、マルチペアリングは最大3台まで可能。初回のみ通常の操作でペアリングを確立させる必要はあるが、2回目以降は自動でペアリングする。
本体の自重は片方4g。自重は、長時間使用時の快適さを左右する重要な要素だが、より高い価格帯の完全ワイヤレスイヤホンに全然負けていない軽さ。そして、装着感もよく、つけていて違和感や窮屈な感じはしない。
この時点で個人的に買いだが、肝心の音質について確認してみよう。製品の箱には「リズム際立つ 迫力の重低音」とあるので、セールスポイントは「重低音」なのだろう。
YouTubeのトークチャンネルからクラシック音楽まで、ひととおりの音源で聴いてみた。
正直な話、価格に対する先入観からあまり期待してなかったが、ほとんどすべての種類の音源について期待を上回るものであった。
「重低音」はもちろん、波の音やカフェでよく聴くような軽いBGMでも、音質は安っぽくならず、ユーチューバーの声も明瞭に聞こえる。
同期性が悪い(遅延がある)、駅前のような雑踏では途切れるといった見解を聞くが、筆者が試したかぎりでは、そうした問題はなかった。
最後に本体の操作について。本体それぞれ(L側とR側)に操作ボタンが付いている。1回押しでスイッチが入り、オンになっている間の1回押しでは一時停止となり、あるいはスマホ着信の受話・終話となる。2回押しで曲戻し、1秒長押しで着信拒否となる。
音量の調節はややトリッキーで、L側の3回押しで音量を下げ、R側の3回押しで音量を上げるとなっている。3回押しの連打はコツが要り、地味にストレス。
また、ボタンがやや硬めで、本体を親指と中指でつまみ、人差し指で押す必要がある。1本の指で押そうとすると、イヤホンを耳の穴に押し込むような力加減となるため、そこがちょっと気になるという人はいるかもしれない。
タッチセンサーボタンで使い勝手が向上したダイソー「TWS-G273」
続いて、昨年発売された「完全ワイヤレスイヤホン TWS-G273」(以下「TWS-G273」)。
こちらも1100円と驚きの価格で、箱に記載の謳い文句は「低音から高音までクリアな音質」となっている。
また、ダイソーの公式ネットストアでは、製品名の横に「タッチセンサーボタン タイプC充電対応」と併記されているように、「TWS001」との大きな違いはここ。
軽く触れるだけでOKなタッチセンサーボタンのおかげで、「耳の穴に押し込むような力加減」は不要となった。
ただ、操作はちょっと面倒になっている。例えば、音量を上げるのは1回タッチ、音量を下げるのは2回タッチというふうに。覚えるまでは、取扱説明書を見ながら操作したほうがいいだろう。
カラーはブラックとホワイトがあるが、公式ネットストアを見るとブラックは「全エリアで在庫なし」となっている。実店舗も何店かチェックしたが、ブラックは見つからなかった。
本体の外観は、「TWS001」よりも、ふっくらしている(自重は4gと変わらない)。この形状のため、装着時に他人の目が気になる人は好まないかもしれない。あくまでも筆者個人の感想だが、装着感は「TWS001」にやや劣る印象。
本体の形状・大きさの「TWS001」(右)との比較
ところで、USB Type-Cケーブルは付属していないので注意。このタイプのケーブルは、既に所有している人は多いだろうが、持っていない場合、別途購入することになる。
充電やペアリングの方法は「TWS001」と同じだが、ケースにLEDインジケーターがついて、バッテリー残量が大雑把にわかるようになっているのは嬉しい改善だ。
ほかに「TWS001」と比較して、フル充電時のイヤホンの連続再生時間は1時間減り、約3時間になった(「TWS001」は4時間)。一方、充電ケースのもちは「TWS001」が6時間に対し、「TWS-G273」は9時間と、3時間も増えている。
スイッチを入れてオンになってから、ペアリングするまでのタイムラグが若干長いようだが、許容範囲内。そして一番重要な音質は、「TWS001」より格段良くなったわけではないが、1100円とは思えないレベルのクオリティはある。
細かい改善点が評価できるダイソー「E-TWS-2」
最後に紹介するのは「完全ワイヤレスイヤホン2 E-TWS-2」(以下「E-TWS-2」)。箱が上の2機種より縦に長く、店頭でひときわ目立つ存在となっている。
製品名の終わりに「2」とあるからには、先行機種の「1」もあるのだが、筆者の住む地域での実店舗3店では見当たらなかった。カタログスペック的には、「1」の連続再生時間が約6時間に対し、「2」では約5時間、カラーは「1」はブラック、「2」はホワイトという違いがある。
本体の外観については、「TWS-G273」と同様、ふっくらとかなり厚みがあるのが気になる点だ。また、イヤーピースは小ぶりで筆者の耳に合わなかった。
もっともこれは、イヤーピースを取り替えれば済む話で、イヤーピース単体はダイソーで何種類も販売されている。
「TWS-G273」にはなかったUSB Type-Cケーブルは、「E-TWS-2」には付属している。
操作ボタンは、(タッチセンサーボタンではなく)物理ボタンとなっているが、「TWS001」と違い、あまり力を入れなくてもレスポンスしてくれるのがGood。
音質については、ユーチューバーやアナウンサーなどの人の声は、クリアで聴き心地はよい。反面、BGMは音量が高めのときに、音が割れやすい、ノイズになりやすいのが気にかかった。ここは値段相応と言うべきか。
★★★
以上、ダイソーで販売中の完全ワイヤレスイヤホン3機種を紹介した。性能・使い勝手を総合的に見て、「これしかない、イチオシ」というものはなかったが、いずれも1100円という価格を考えるとコスパに優れた逸品ぞろいと評価したい。あとは色や形状という、個人の好みで選んでよいかと思う。
・DAISO公式通販・ダイソーネットストア https://jp.daisonet.com/
取材・文/鈴木拓也